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アナタの"懐かしい"

夕食後、自室のドアハンガーに掛けてある最近買った大正時代の藍染半纏を見てふと疑問に思った。

「僕はなぜ明治、大正、昭和初期などのいわゆるレトロという物が好きなんだろう。百年と十年の違いで好きが変わるのはなぜ。」

YouTubeにあげられている映画クレヨンしんちゃんオトナ帝国の逆襲の解説動画で、
"親のヒロシ達の今の現実よりも夢がまだあった帰れない幼少期の昭和という過去、子供のしんのすけ達の自分が生きている今。"
こういう対比を解説していた。
しかし、僕は昭和に生きていた訳でもなく老人でもない。
こんな僕が懐かしいと言ってしまうのは大人達がこのレトロというジャンルに「懐かしい」の形容詞的な枠で形にし、世に形骸化した"懐かしい"が幽霊船となっているからで、絶えず僕はその中身の見えない幽霊船に海岸に一列に並んだ各時代の大人達を真似して手を振っているに過ぎないのではないか。
その手を振ることが平成令和からの僕にとって新しい文化と捉えているのかもしれない。
ホンモノではない"懐かしい"を楽しむ若者。まだ表現してやる言葉が足りない気がするが、きっとこの若者は今の若者より今ばかり見てなくて、昔の若者より今をみているのだ。

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