10 years

「今
振り返ってみると
あの子が
いちばんいい女
だったな」

友人と10年ぶりに再会した僕は言った
「そうだよ!
だからオレが好きだったんじゃん!」
友人は真剣な眼差しで言った

友人とその子は
船橋駅前の小さな旅行代理店に勤めていた
ちょっと複雑な話になっちゃうけど
もう一人
美人な子もいた

僕は
美人な子(不良っぽい)に惚れていた
それで
僕は都内の音楽事務所に勤めていたんだけど
週に3回は
その4人で
飲みにいったり
カラオケをしたり
して遊んだ

僕は友人に頼まれて
なんとか彼女とその友人を
付き合わせようと
頑張った

友人は友人で
僕と美人な子を
付き合わせようと
頑張ったのだ

僕の方は
からっきし
ダメだった
KENZOのハンカチ
をあげたら
喜んでくれたぐらいだ

美人な子
には
ふかい絆で結ばれている彼氏
がいたんだ

友人の方は
僕の話を
(友人が
どれだけいい奴か)
彼女が
きちんと
一生懸命
何度も何度も何度も
聞いてくれた

でも
結局
ダメだった
突然
彼女は
結婚することになり
北海道へ行ってしまう
ことになった

僕らは
その話を聞いて
船橋の駅前の居酒屋で
大ジョッキ13杯
飲んで
荒れに荒れ
ヤクザにも絡んでしまい
必死で走って逃げた
ベロンベロンに酔った友人を担いて
彼の家に連れていった
玄関からは
友人の妹が彼を担いで
友人は2階へ消えていった

それから
僕は
一度
彼女から誘われて
喫茶店で
ふたりきりで
コーヒーを飲んだ

彼女は
僕の尊敬し
大好きな
ロックンローラー
尾崎豊
の本を5冊もくれた

そして
僕のことを
「好きな女の子
好きになる子
はいくらでもいるよ」
と言ってくれた

そのとき
僕は
ただただ
びっくりした
だけだ

その子は
痩せていないぐらい
の程度で
(彼女にはぴったり)
大きな目
ちょっとだけシャイで
ノーメイク
そして
いつも楽しそう!

そして
友人と
その子のことを
話し込んでいくうちに
彼女の光は
よりいっそうまぶしくなり
僕らを
太陽のように
包み込んだ

そんな子だった

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