3つの影

彼は、ぎょっとした。黒い影の三人組が家の周りをうろついているではないか……? 彼は分厚い眼鏡をかけて身を隠すようにして二階の窓から下を見た。どくどくと脈打つ。黒い影たちは、何か? 話し合っているのだが、この夜半の雪の降り積もる静けさの中でもまったく声が聞こえない。なんとか彼の家に忍び込もうとしている。こいつらはプロだ……。と、彼は、確信した。単なる泥棒にしては、巧妙すぎる。プロの仕業だ。殺人者かもしれない。危険だ。

しかし、結局のところ、逮捕されたのは彼自身だった……。

年老いた彼の父親と母親は、パジャマ姿のまま、何がなんだかさっぱりわけがわからない? と、二人で抱き合ってうろたえていた。すでに彼は、警官二人を刺し殺し、血だらけになっていた。彼は手錠をかけられ、はあはあと荒い息をしている。足元には赤黒い包丁……。それに眼鏡をかけていなかった。ただあるのは明らかに殺人者の眼だ。でも、恐ろしい眼は一つだけだった。もう一つの眼はひとなつっこい眼だ。

部下二人を殺された警官は、怒りを堪えきれず彼の顔から義眼をくり抜き近所にあった雪だるまの眼にした。

こうして奇妙な雪だるまは完成した。

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