医師免許の価値が高すぎるのであって、東大が悪いのではない
結論から言えば、医師免許の価値が高すぎることに問題があり、東大その他の大学教育や大卒のキャリアシステムが悪いのではないです。
どこの国でも、「大卒資格だけでは使い道がない」「エリート大卒といっても、就職時に少し有利になるだけ」ということは同じです。
日本で、エリート大卒の待遇が悪いように見えるのは、比較対象である医師が優遇されすぎていることに原因があります。
それでも、なぜ、依然として、高学力者の大半が、医学部ではなくて、旧帝大系国立大学とか上位私立大学に進学しているのかを考察すべきでしょう。
高学力者が非医学部に進学する理由は、大学受験まで続けてきた学習をなるべく継続したいからです。医学部に進学すると、川崎医科大学から東大理3まで、リスタートとなり、大学受験までの学習が、全部無駄になってしまうからです。
長期間反復される学習や訓練は、結果目的ではなくて、プロセスに対する執着がないとできません。
「これをやれば金になる」「異性にもてる」「人に自慢できる」という動機だけでは、年単位、数千時間の学習はできません。
勉強それ自体を楽しくやれる人だけが、同年齢100万人中の上位1万人、トップ1%くらいまで行くことができる。
非医学部だと、大学以降キャリアにおいても、高卒以前までの学習との連続性を保てるような気がする。学科名を見ても、数学科、物理学科、化学科、電子工学科、機械工学科など、いかにもアカデミックな感じがする。自分の得意な分野で活躍できそうな気がする。
医学部に進学したら、アカデミズムなんてほとんどない。大学入学までのプロセスは、すべて無駄な作業だったと考えて、捨てねばならない。
医学部入学と同時に、それまでの学習は忘れて、一からスタートしなおすのです。この意識改革は苦しく、困難なのです。
私は change of mind に14年くらいかかりました。
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