見出し画像

やってみてよかった情報36 「唱えないで九九を習得」

九九の習得というと、「九九を唱える」とイコールで捉えがちですが、
「唱える」がハードルになってしまうことがあります。

イメージしやすいのは、4の段と7の段の混乱でしょうか。
「し」と「しち」がごちゃごちゃになって、「あれどっちだったっけ」となる子は結構います。

もちろん、唱えることで覚えやすくなる子もたくさんいますし、
それを否定する気はないんですよね。
ただ、「それを全員が必ずやる」「唱えられなければ合格しない」
なんていうのはちょっとなあと思っている訳です。

特に文字と音の一致が悪い子たちにとっては、
これ本当に辛いんですよね。

・普段使わない読み方が数字に当てられている
・視覚的な手がかりなしで想起する

どちらも苦手な上に

・似た音がつづく

訳ですから、混乱必死です。
誤解を恐れずにいえば、
「唱えることで九九が不確かになる」
子もいます。
実際に複数人であってきました。

でも、その子たちも「九九を使って解決する」
というのは大事なわけです。

でどうするか。

大したことはしないんですよ。
基本は
・負担少なく、正しく繰り返す
をどう保証していくかかなと。

まずに使うのは、プリントです。
それも段に分かれていて、順番に出てくるタイプ。
2の段なら「2✖️1」から「2✖️9」までが順番になってるやつです。

最初は
「2の段は、2個づつ増えていくよ」ということを絵を使って伝えます。
そして「2✖️1は2」とプリントに答えを書き、
「2✖️2は2増えるから・・・」と指を2本出して、
さっき書いた答えを指さして「2」
立てている指を折っていきながら「3,4」として「4」を書く。
スタートはこんな感じでこちらがガイドしていきますが、
自分の指を使ってできるように促していきます。
つまり、2の段のプリントを見たら「指を2本」使って数えたしていく訳です。
もちろん指でなくてもおはじきでもいいです。
プリントに丸を2個書いておくでもいい。
とにかくその段の「増えていく数」をカウントできる方法を持たせます。

そうすると、確実に自分で答えが出せます。
だって順番に増えていくから。
すると繰り返しが負担でなくなるんですよね。
「2の段? 簡単簡単」な感じ。

たっぷり繰り返したら、
2の段がバラバラに出てくるプリントに取り組んでみます。
面白いのは、最初はどの子も、バラバラに並んだ問題を、順番を探してやるんですよね。
つまり、「2✖️1」を探して、次に「2✖️2」を探して・・。みたいな。
これだと、順番に出てくるプリントと同じことをする訳ですから、無理がないですよね。
ここで「飛ばさずにやってごらん」とは言いません。
だって、まだバラバラの順番では難しいということですから。
でもね、たんまり繰り返していると、だんだん「すっと書ける答え」が増えてきます。
「2✖️1」「2✖️2」「2✖️3」までは数えなくても書ける。みたいな。
つまり、覚え始めるんですよね。

これくらいの段階で始めるのが、「選択して答える」タイプのアプリです。
今だとコレを一番使ってるかな。

・選択肢あり
・時間制限なし
なのでとてもありがたい(⌒▽⌒)

そして、アプリを使う時には、九九表を渡しておきます。
そうすると、
・覚えているもの、ぼんやのたぶんこれというものは自分で選ぶ
・覚えていないものは、九九表で調べて選ぶ
ことで、必ず「正解」で終われます。

プリントで繰り返してぼんやり入ってきている状態の時にこの
・選択して答える
・調べて答える
を入れると、より想起しやすくなっていきます。

そうそう、
2の段の順番プリントがほぼスムーズになって、バラバラプリントを入れるタイミングで、
3の段の順番プリントを入れていきます。
3の段ですから指は3本。
システムは2の段と変わりません。

ぼんやり入っている2の段、
まだ覚えていない3の段を並行していく感じですね。

混乱しない?と言われそうですが、
「2の段を完璧に覚えてから」とする方が難しい気がしてます。
そもそも「完璧に覚えてから次」を求めると、数が増えていくとキツくなっていくのが目に見えてますし、時間もかかります。
そうすると、嫌になっちゃうんですよ。進まないし。

なので、ぼんやりのとこでも
「2の段上手になってきたねー。じゃあ3の段もいってみるか」
と始めちゃいます。
方法を持たせてあるので、いけますしね。

と、こんな感じで5の段までいきます。
あっ、選択解答がスムーズになってきた段は、
よりしっかり覚えるために入力解答のアプリを使うといいですよ。
いろいろありますが、私が大好きだったものはもう配信終了してるんですよね(T . T)
ただ、「段に分かれているもの」を選ぶことをお勧めします。

6の段からも同じようにやるとわかりやすい子もいますが、
数が増えてくるので数えたしが辛くなる子もいます。
そういう時は
・九九は式を逆にしても答えが同じことを教えて
・「✖️5」まではもう覚えているよということを伝えて
・「✖️5」までをまずは今までやったことを使って解決します
・「✖️6」から先は九九表を見ながら解答していき、
答えの流れに繰り返し触れます
これで6の段がぼんやり入ったら、「✖️6」まではいけるとなる訳です。

あっ、9の段は数は多いけど、順番プリントだと
・09、18、27・・・と、10の位が1ずつ増えて、10の位が1ずつ減っていくので、割とすぐにできるようになりますから、5の段の後、9の段をやるのもありです。

鬼門の6.7.8の段も、他の段が入っていると、
新しく覚える部分は割と少ないので、向かいやすくなります。
そして「わからないときは九九表で確認できる」が大事。
覚えてない→できない
だと、詰んじゃって、触れて慣れていくことができないですからね。

方法を持って
・触れる
・調べる
・想起する
を繰り返していくことで、唱えなくてもちゃんと覚えていける子たちはたくさんいます(⌒▽⌒)

ちなみにこうした「たっぷりの繰り返し」は、授業時間でやるなら最初か最後の5分とか10分、
授業外なら朝学習とか給食待ちの時間とかを使うといいです。
だって、いくら方法がある繰り返しでも、長時間は辛いし飽きます。
特にまだ覚えているものが少ない頃は。

なので、余裕を持って繰り返しができるように、
私は「この子は九九が入りにくいだろうな」という子については、
春くらいから取り組んでいくことが多いです。

まだ誰もやってない頃からやってると、特別感があるし、
何より「みんなはもう○段までいってる。急がなきゃ」がない(⌒▽⌒)
時間がかかる段があっても、全ては「予習」ですから、
焦らなくていいんですよね。

昔はよく、
「掛け算の意味がわからないうちから九九だけ覚えても意味がない」
と言われてました(T . T)
でも、「そうかな」って思います。
教科書を見ていただくとわかると思うんですが、
・掛け算の意味を学習する
・九九を覚える
が一緒に出てくるんですよ。
これ、できる子には問題ないですが、
苦手な子は、どっちもアップアップになってしまいます。
むしろ、「意味を授業でやる前に覚えている九九がある」と、
余裕を持って授業内容を聞けて、さらにスラリと答えが出るので、
自信もつきます。
だから、「先に九九を覚えていること」には意味があると思うんですよねぇ。

かといって、「九九の学習に入ってみてなかなか覚えられないことがわかった」というケースももちろんあります。

その時は、「授業の流れの中では、意味理解にしっかり取り組む」を優先して、九九表を持たせます。
そして、「覚える」は別軸にして、授業外の時間を使ってここまで書いてきたような取り組みを始めていく感じでやりました。

目標は「2年生の3月まで」あたりにして、九九表とも仲良くしながらやっていくといいかなと。
なので、「早くから始めてなかったまずい」というわけでもないですよ。


ここまで、「逆唱」が全く出てこないことを不思議に思われた方もおられると思いますが、「逆唱」いらないです(⌒▽⌒)
上のアプリ紹介の記事にもその辺は書いてあるので、よかったらご覧ください。

ここまでしても、もちろん「なかなか覚えられない」というケースはあります。その時は九九表と付き合いながらやっていきますが、
「ずっと九九表を使ってて大丈夫?」というご心配もあると思います。
めっちゃ長くなったので、その辺りはまた後日(⌒▽⌒)

九九はなんだかんだ言っても、ずーっと使う機会があるものです。
なので「きらい」「できない」と拒否するのでなく、
うまく付き合ってほしいなと思ってます。

追記
こういう繰り返しの計算の学習用のプリント、
かつてジオシティーズにあった「学習支援サイト向日葵」ってところがめっちゃ使いやすくてよかったんですよ。
ところがジオシティーズの終了とともになくなってしまって😭
今も当時プリントアウトしたものを元版で使ってます。
いろんなパターンでたんまりあったし、
ページあたりが少なかったし、
印刷もいっぺんにできたし・・・
他のサイトも使うんですけど、なかなか( ;  ; )
というわけで、どなたか「向日葵、ここに引っ越してたよ」ということをご存知の方がおられましたら、教えてくだいな😭


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?