SPEEDのすべて ストリートでたむろする少女たちの孤独

SPEEDの歌詞の世界観では、「街」というものが大きなウェイトを占めています。
主人公はティーンエイジャーなんですが、学校という歌詞は一切出てきません。

>街のざわめきに かき消されてく
>いくつもの叫びと愛の唄

>風に吹かれて この街に立ち 涙を拭おう

「Starting Over」より

>溢れ出してく メインストリート
>この街の中 生きてる意義
>必要とされてる実感
>少しでも 感じていたい

「Long Way Home」より

>すれちがう人は誰もが足早で
>ひとりだけこの街に取り残されたよう

「Cryin’」より

>ため息もすぐかき消される街の中で
>傷つくたび やさしくなっていけるはず

>魂まで 街の誰かに 奪われないで

「Carry on my way」より

>みんなの待つ街へくり出そう!!

「Brand new weekend」より

街に繰り出して何をしているかと言えば、
たむろしていたり出逢いを求めたり友達と踊ってオールしたりしています。

>HIPなビートに合わせて たむろしてるBad Boyz & Girls

「Kiwi Love」より

>群れてるだけのEvery Night

「Long Way Home」より

>夜が明けてく公園で 仲間たちと話題がずっと尽きない

「Too young」より

>陽気になって街へとびだしアタシたちは歩いてく

>さあ 今夜は朝までParty Night
>いつもの顔が揃ったら 指を鳴らし
>ハメをはずして歌い踊り明かそう!
>いっしょにいたいねMy Best Friends

「Happy together」より

>今日も出逢い求めて
>街へくり出そう

「Body&Soul」より

>街へ夜が今日も降りてきたら
>キガエテ・・・気の合う仲間と出逢える場所へ

「Another Sweet Field」より

>地下鉄をおりれば にぎわう街 Weekend
>待ち合わせの ファーストフード
>くりだそうぜ Funky Night
>車の列のすき間 小走りに渡れば

>Backst.からR&B
>アタシたちの Little World
>顔見知りの Funny Guy
>群がっていく”Clap your hands!”
>はみ出したいよ 今夜は思いきり みんな忘れて

>Step into the Night 夜はこれから
>さぁ踊り明かそうよ Over Night

「RAKUGAKI」より

家はあるんでしょうが、帰りたいと思う場所ではないのです。

>Heartbreak 踊りつづけてた
>朝の風がムナしかった
>帰るトコなんてなかった日々

「All my true love」より

>帰るアテなく
>街の風に吹かれてる

「Street life」より

恋愛も街の仲間たちから発生します。

>仲間とは違う サインで呼び合うたび
>強くなれる

「White Love」より

>メールで毎晩「おやすみ」っていい合って眠る習慣
>いつしか友達のひとりから あなただけリンクしていた

「Eternity」より

恋愛のパターンとしては、
・好きな男子に振り向いて欲しい 「Luv Vibration」「STEADY」
「熱帯夜」「Confusion」「Lookin’ for Love」「ラブリーフレンドシップ」
・好きな男子を恋人にしたい「Up To You!」
・彼氏とお別れする 「サヨナラは雨の日・・・」「Luv Blanket」「I remember」
・彼氏とお別れしたから男遊びしよう「Long Way Home」
・彼氏とお別れしたからひとりで生きて行かなきゃ「Brand-New Weekend」
・男遊びしちゃおう 「RAKUGAKI」
・彼氏がいるけど違う男子に乗り換えよう「Secret Eyes」
「Moonlight Honey」「コケティッシュDreamin’」「Deep Blue & Truth」
・彼氏がいるけど違う男子と恋の予感を感じている「Kiwi Love」
・別れた彼氏とやり直したい「季節がいく時」
・彼氏と別れてつらい「君とまた逢える日を」
・彼氏と別れなければよかった「蒼いリグレット」
・彼氏と会えなくて寂しい「Let’s Heat Up!」「Snow kiss」
・彼氏といつまでも一緒にいたい「Two of us」「Eternity」
・彼女がいる人を好きになってしまった「カルア・ミルク」
・彼氏のために生きていきたい「White Love」

などです。
SPEEDの歌詞世界では恋人との行為を現すのはKISSが多いです。
SPEEDの後で伊秩弘将が同じようにプロデュースしたdeepsというグループがあるんですが、
その歌詞にはこんなフレーズがあります。

>マッタリ ラブホで

「ハピネス」より

Deepsの世界では恋人とセックスしてるっていう描写なんですが、
SPEEDの歌詞世界では抱き合うとか抱きしめるぐらいで収まっており、
セックスには触れられていません。
これはSPEED自身が10代だって言うのもあるんですが、
恋愛を歌いつつも清純なイメージを保っておきたいと言うことなのだと思います。

SPEEDの歌詞世界では彼氏とお別れした後にまた友達の所へ帰っていきます。

>ひとりになったけど
>ひとりじゃないって事
>やっと気づいたよ My Best Friends

>踊りにいこう いつものグループで

「I’ll be all right」より

友達も大事ですがそれよりも彼氏が大切なのです。
彼氏がいる時に友達に相談したりする描写はありません。

SPEEDの歌詞世界の主人公は自分たち以外の世界に興味がありません。

>矛盾だらけの世の中じゃ
>いいも悪いも興味がないよね

「Go!Go!Heaven」より

自分たちの世界で完結している訳です。

自分たちの世界のことをSPEEDの歌詞では「リトルワールド」と呼びます。

>Ah! 誰かにもたれ たむろしてたBack Street
>始発が来るまで 街中さまよっていた

>Little World 私が私でいれるトコ

>ここを出ていく いつか誰もが
>どんなに離れても いつまでも
>私たちだけは 染まっていきたくない
>逢うとすぐ 昔に戻れるね たとえ
>小っぽけな世界でも 唯一本当の事
>教えてくれた 大切な場所

「Back to the Street-リトルワールドへの想い-」より

ここで重要なのは自分たちの世界が「リトル」であることを自覚している点です。
街の中でも狭い領域で自分たちが生きていて、それ以外の方法が分からないのです。

リトルワールドには期限があります。それは大人になるまでです。
時が経てばすべてが変わっていくという感覚が色濃くあります。

>こんなにしあわせなのにね
>人はみんないつか 離れてくなんて嘘だよね

>変わってくこの街で

「Eternity」より

>変わってく 街も人も愛もみんな

「My graduation」より

>もうすぐこんな風にいつも会えなくなるんだね
>想像できない未来のドア アタシたちは開けていく

「Happy together」より

>陽だまりをさがして今日も 街を彷徨ってた
>ひとりになるのがずっと怖かった
>誰でもいつか 離れてゆくこと どこかできっと知りながら
>寂しさ 暖め合っていた

「You are the moonlight」より

今しかないこの瞬間だからこそ、リトルワールドのこの瞬間が大切なのです。
少女たちがリトルワールドへ集うのは、埋められない心の空白があるからです。

>悲しみ分け合える仲間をさがして
この街を飛び交う 孤独なメッセージ

「Don’t be afraid」より

埋められない心の隙間を束の間癒すために、少女は街へ繰り出します。

SPEEDの解散で出された曲では、街を出て行って大人になる描写があります。

>I must go out to the street・・・

>四月がめぐり来る毎に 私達は大人になってく

「April ~Theme of “Dear Friends”」より

ストリートでたむろする少女たちの孤独を歌ったのが、SPEEDなのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?