激動を生き抜く!これから地方公務員が考えるべきこと:縦割りの弊害を人事異動で打破する!

    公務員にとって人事異動は「宿命」とも言えるものです。特に、地方公務員はあらゆる政策分野を担当するため、まったく異なる仕事を翌日から始める、といった事態も普通に起きてきます。

    こうした人事異動は、負の側面が強調して指摘されてきました。例えば、行政サービスを受ける住民の側からすれば「担当者が急に代わると対応も変わってしまう」「職員が無責任になりがち」といったものです。さらに、「せっかく身についたスキルが次の仕事に活かされない」という批判もあります。縦割り組織の弊害の1つと言っても良いかもしれません。

    確かに、人事異動にこうした負の側面は多かれ少なかれあると思います。しかし、人事異動はジェネラリスト育成を目的としています。つまり、定期的な人事異動でさまざまな分野を経験させることで幅広い視野を身につけさせる、ということです。端的に言えば、幅広い視野を持つことで縦割りの弊害を克服させる役割を職員個人の経験に求めている、といつことになるのです。

   ということは、縦割り組織の弊害が大きくなるのは職員個人のスキル不足、という見方もできます(少し言い過ぎかもしれませんが)。確かに、次のような異動には幅広い視野を活かせそうな感じがします。

①財政課から各部署への異動→(財政課の経験から)コストを意識した政策形成ができるようになる
②観光課から広報課へ→(観光課の経験から)市外へ向けた魅力や情報発信のノウハウを市内に向けても活かせる
③教育委員会から産業振興課・移住促進課へ→(教育委員会の経験から)進学・就職を契機とした若年層の減少抑制策の立案・実践に活かせる

   直感的に3つの例を考えてみましたが、他にも人事異動による経験の蓄積が幅広く活かせる余地はあるように思います。ですが、こうしたことが、地方公務員の現場でどこまで意識されているのしょうか。私には、必ずしも強いようには思えません。それだけ縦割り組織が強固なのかもしれませんが、組織ごとの役割分担のルールは曖昧です(概括列挙)。つまり、それほど強固に組織や役割が固定されているわけではなく、職員の姿勢によって柔軟に対応する余地も大きく残されていると思います。こうした人事異動のプラス面(となる可能性)にスポットライトを当て、職員の実践を期待したいと思います。

   あらゆる政策は、総合計画と呼ばれる体系の中に位置づけられています(実態は逆に縦割りの温床になっている面もありますが、優れた総合計画は体系がしっかりしています)。人事異動を繰り返すことは、まさに体系全体を経験させて体系を身体に染み込ませることにあるのではないでしょうか。人事異動と総合計画は車の両輪となって、縦割り組織の弊害を打破する役割を果たすべきものです。したがって、総合計画への意識を職員が持つことで人事異動による縦割り組織の弊害の打破も力強いものになるのではないか、と考えます。

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