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第1回 「カラフルな公務を目指して」から見える地方自治体の政策と地方公務員の仕事①国家公務員の葛藤に正面から向き合ったことだけでも大きな意義がある

井上 武史

 しばらくぶりのnote投稿になります。新たに、最近注目される政策を取りあげ、自分なりの意見を加えることで、読者の皆さんが考えるきっかけになれば、と思っています。当初は手探りになりますが、よろしくお願いします。

 初回は、「カラフルな公務を目指して」という、国家公務員の働き方に関する提言書を紹介します。まだ政策になったわけではありませんが、注目の取り組みですし、長い目で地方にも浸透しそうな気がしています。

 「国家公務員の人気が低下している」と聞かれることが増えています(ただし、公務員全体の傾向ではありません)。応募数の減少(今年は久しぶりに増えました)や若手職員の退職増加などが進んでいるのです。
 その背景には国家公務員の激務があり、「ブラック霞が関」とも呼ばれています。ブラック企業、ブラックバイト、ブラック部活など、世の中に「ブラック」が溢れかえっていますが、国家公務員もその1つとして避けられているのでしょう。現に、新型コロナ対応でも378時間の信じられないような残業をしたことが大きく報じられました。退職した若手職員の中にも「本当は辞めたくなかった」との声も聞かれます。

 国家公務員は国を引っ張る、きわめて重要な仕事です。人気の低下は職員の質の低下をもたらしてしまいます。そこで、危機感を持った若手職員がチームを組んで、これからの公務のあり方を提言したのが「カラフルな公務を目指して-誰もが貢献できる持続的な職場へ」です。まだ具体的な取り組みになったものではありませんが、地方自治体の政策や地方公務員の働き方にも影響があると思いますので、何度かに分けて私なりに感じた意義や課題を指摘したいと思います。

 まず驚いたのが、若手職員が抱える「葛藤」を冒頭で率直に表したことです。個人的には結構大きな衝撃を感じたので、そのまま引用します。

 私たちは、持てる意欲と能力を最大限発揮して、世の中のためになる仕事をしたい、と心の底から思っています。

けれど、降ってきた仕事をこなし、組織の駒となって、家庭生活との両立にもがき続けることが、本当に「世の中のため」になっているのか…

 この葛藤の大前提として、国家公務員になる人には、大きな使命感とやりがいを持っていることが伺えます。難関の公務員試験を突破するために猛勉強を重ねて、しかも給料も決して高くない。「コスパの低い」としか思えない国家公務員を目指す人は、使命感とやりがいしかない、と言っても過言ではないように思います。そのことが、上記の前半に明確に描かれています。

 しかし、後半では、それさえも失われつつある。だから国家公務員の人気が低下する、中途退職が増えてしまうのは必然なのです。もちろん、日本に暮らす以上、自分だけが辞めて解放されるものではありません。むしろ、このような状況が続けば本当に日本がダメになる…ますます心苦しく感じてしまうのではないでしょうか。国家公務員として仕事を続ける人は、同じような意識を持ち続けながら、ますます葛藤が強くなっていくのではないかと察します。

 こうした状況を打開するためには、若手職員の側から行動を起こす必要があります。この提言は、若手職員が自らの葛藤に正面から向き合い、自分たちの(=国の)将来のために自分たちの力で打開していこうとするものである、というだけでも非常に大きな意義があると思います。

 さて、タイトルにある「カラフル」ですが、公務員の「ブラック」というイメージを打ち破ることと、多様性を表現することが意図されていると思います。あまり浸透していない言葉なので「ホワイト」の方が分かりやすいのですが、多様性を打ち出すために1色にしづらかったのかもしれません。ただ、提言には国家公務員が自分のカラーで仕事に向き合える、という趣旨が盛り込まれているので、「カラフル」という言葉に「真っ白なキャンバスにさまざまな色を塗っていく」という意味を込めても良かったのかな、とも感じています(単なる言葉の問題なのですが…)。

 この提言は興味深い内容がたくさんあります。今週から何回かに分けて、気づいたことを述べていきたいと思います。

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井上 武史
東洋大学経済学部総合政策学科 教授(経済学博士・元地方公務員) noteでは、地方公務員が今後の激動の時代にも地域を支える存在であり続けるための学びをサポートします。多くの人に読んでもらえるよう、易しい内容を心がけています。 ホームページ「地域を支える公務員」もご覧ください。