父と猫さん。

先日帰省の際、感動的な光景を目にした。父に呼ばれた猫さんが、きちんと対応し、なでられに寄ったのである。
家族なので当然だと思うかもしれないが、父と猫さんのドライな関係において、私は「おぉっ!」と声をあげるほどに驚いた。

猫さんは、弟に泣きながら拾われ、兄弟2匹で我が家にやってきた。
まずは、父の悲哀その1:猫が苦手。
犬は大好きな父であったが、猫と暮らすなんて考えたこともなく、苦手だと家族も知っていた。

我が家には当時2匹の犬さんがおり、一緒には暮らせないと皆が考え、休日の度に近所の施設(里親探しのため、朝預けて夜迎えに行くことができた。)へ父が連れて行っていた。1匹はすぐに家族がみつかったが、もう1匹の家族がみつからない。
ここで、父の悲哀その2:朝施設へ連れて行ってお別れし、夜迎えに行くといる猫が、可哀想になって辛い。
「ぱぱはもう連れて行けない。」

猫さんは家族になった。
猫さんは、すくすくと成長し、年上の犬さんたちも押しのけて自由に暮らし、我が家の頂点に君臨した。この頃には、既に父は猫好き(ただし我が家の猫さんに限る、つまり親バカ。)となっていた。

続いて、父の悲哀その3:ひっかかれて、猫ひっかき病を発症。しかも2回。
ご機嫌斜めになると、ターゲットを父に絞り攻撃的になる猫さん。ひっかかれた箇所がとてつもなく腫れ、発熱し、病院で診断された。もともと痛がりで騒ぎたがりな父は、かなり辛かったようだ。

さらに父の悲哀その4:猫さんは母が大好き。
同じご飯をあげても父からは食べず、気にくわないと父をひっかき、父が寄ると逃げてゆく。
定期通院のため、診察券を出した後、病院の駐車場でひとり数時間待っている父に対して、診療が始まる頃に母とやってくる猫さんは、毎回父を華麗にスルー。
母とは寄り添って写真に映るが、父は隠し撮りレベルで距離をとられている。

そんな猫さんが、父に寄って行った。
かなり高齢な猫さん、許容範囲が拡がって、大人の余裕が生まれたのかもしれない。
“仕方ないな~なでられてやるか。”って思ってる可能性が高いな。

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