見出し画像

ウクライナ刺繍

近日遂行されたロシアによるウクライナ侵攻、今もなお進行中であり、両国民の犠牲者が多数出ているというニュースを耳にします。
海の向こうで避難している犠牲者の方々や遺族の方々にお悔やみ申し上げます。
私も侵攻の数日前まではTwitterで現地のカフェで楽しく賑わうウクライナの人々の動画を見たので
ロシア軍の侵攻によって突然日常が崩れていく様子にショックと驚きを隠せませんでした…。
ロシアと隣り合わせの日本が戦後から今までずっと平和なのは奇跡のようなことなのかもしれません。

元々ウクライナという国は陸続きで土地柄の事情もあり国として非常に不安定、血で血を洗い流す民族浄化の争いが過去にもありました。

そのような悲しい歴史や過去の経緯から、並みならぬ愛国心がウクライナ人の心のなかには存在しています。
その中でも特にウクライナ刺繍は世界に誇る伝統工芸だと言われています。
ソロチカは現代で用いられない繊細な技術で縫われた刺繍もあり、現地のウクライナ人でもソロチカに縫われている刺繍の刺し方を詳しく分析するまでどうやって刺しているのか分からない物も存在します。

手刺繍なのでほぼ同じ刺繍図案が存在しないのも特徴的です。

今回の件で私も何かウクライナの刺繍の魅力を日本でも広めたいと思い、約100年前の1920年のメティスリネン、幾何学柄のウクライナ刺繍のソロチカを1着購入し、刺繍の糸の継ぎ方や刺し方の分析をしました。

ウクライナ刺繍の幾何学模様の事を
Низь(ネイズユ)やнизинка(ネズンカ)と
いうようです。

好評であれば他の種類のソロチカも研究してみたいと思います。ソロチカを購入できれば…の話ですが(汗)

ウクライナ刺繍の本は日本ではあまり存在せず、
洋書でも図案はあっても
プロセスまで記載した本はごくごく、希です。

洋書を買ったり実物を購入しなくてもネットでウクライナ刺繍の図案は検索すれば出てくるので
それを参考にすれば良いと思う方もいると思いますが…
単純にそうもいかなかったのです…。

例として、良ければこちらをご覧ください。

100年もののソロチカを接写レンズで
撮影したものです
この菱形図案の裏側が…
こちらです。
注目して欲しいのは緑の刺繍の縫い方や始末でもなく、
表側の黒い刺繍の面積と裏側の刺繍面積です。
表側はべったり黒塗りなのに
裏側の方がやけに複雑な模様
に見えますね…。

単純に表側から見えるまま真っ黒に刺繍してるのではなくて、ソロチカは裏側の模様を表側を刺繍しながら描かなければならないので裏まで綺麗に、また複雑に図案を刺す必要があるようです。


次は下の図で説明します。
刺繍の表生地の写真のみで刺繍方法を
想像しなければならない場合、
図案Aの可能性と図案Bの可能性があります。

表から見える形は同じですが
Aは裏の糸が2つに見え、
Bは裏の糸が3つに見えます。

Bの方は表側からみると普通は
2本のステッチに見えるのではないか?
と思われる方も居るかと思いますが
今回のソロチカは黒い刺繍糸なので
びっしりと密集させて刺している刺繍の
根本を掻き分けて生地の縦糸、
横糸を1本ずつ数えて確認しないと
表側から何回刺しているのか
非常に分かりづらいです。


裏側を想像のみで刺繍を刺してしまうと
裏がみにくい刺繍になります。

また、肉眼では刺繍で刺した部分が分かりづらく
ルーペなどでやっと確認できるくらい細かい
生地の糸1本引っかけただけの所まであり…。
ウクライナ刺繍は人間の心のように
表と裏、両側が美しくなければいけないの
裏側が汚くなってしまうと
ウクライナ刺繍とウクライナ人、両方への冒涜に…(汗)
冗談はさておき、
綺麗にウクライナ刺繍を再現するためには
実物の表と裏を交互に観察しながらドットを打って記録していくしか方法がないようです。

なかなか一筋縄ではいかない刺繍ですが
100年前の手仕事を
身をもって感じることが出来て、
現代では昔と比較して海の向こうの人が作った
伝統衣装を気軽に知ることができるという
恩恵を感じます。
この幾何学柄の刺繍を考え付いた人は
ただただ、すごいなぁと思いました。

あなたもロマンあるウクライナ刺繍の研究、
してみませんか?奥が深くて楽しいですよ…。
現地のウクライナ女性は解明できていない
ソロチカの刺繍のことが分かるまで
夜も眠れないくらい気になるらしいです。

1マス1マス肉眼で確認しながらドットを
打ってから刺繍を分析しています。時間を要しますが
完成したらこちらに写真を掲載します。

noteの方には今後ソロチカの
パターンの仕組みを
ざっくり説明したいと思っています。

乳児と未入園の幼児を在宅子育て中で
コンスタントに活動できないのが
非常にもどかしいです…。

見てくださる方がいらっしゃるというのが
活力になります!!


またお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?