クッキーランで学ぶ英語 魔導士味クッキー編
はじめに
この記事は受験やTOEICの役には全く立たないのでご了承ください😔
クッキーランを英語で遊ぶ
クッキーランの世界累計ユーザーが2億人を突破したそうです。凄いですね。2022年現在の世界人口は約78億人なので、39人に1人はクッキーランナーという計算になります。やばいですねこのゲーム…
さてそんな世界中で大人気のクッキーランですが、言語設定で英語に変えることが可能です。
今回はこれを使って英語で遊んでみようという記事です。学ぶとか書いて遊ぶという…
訳の質
クッキーランの訳は極めて高品質です。機微を穿った訳をされます。
例えば時の管理局のシナリオ、タイムキーパークッキーが本性を表して「あなた」が「あんた」になった時、衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか……
これは口調が荒くなったとかそういうことではなく、キパ様の設定として的確な描写(注1)で、翻訳担当者はシナリオを相当読み込んで訳されていることがわかります。
しかし、「翻訳が優秀なら、日本語版も英語版も同じでしょ?」とはなりません。翻訳には直訳と意訳の二つがあり、直訳だけでは訳がわからなくなるケースがあるからです。ここは荒野のウエスタンだ…
クッキーランにも直訳できない、してはいけないキャラというのはおりまして、その代表格はアボカド味クッキーです。
これはSpell(魔法)とSpelling(綴り)をかけたジョークですが、この通り直訳すると意味不明になるやつです。そのため日本語版は元のジョークは使わず、日本向けにアレンジされたものを収録しています。
アボカド味の面白いとはいえないジョーク集も翻訳者が頑張って考えたと思うと違った味わいがあるのではないでしょうか。ない?そう……
他にもキャラ付けのためにあえて意訳するというケースもあります。英語と日本語版の違いを見ていきましょう。
英語版の皆様
ではキパ様から。
言っていること自体は日本語版と同じなのですが、どこかユーモアのある日本語版に比べて英語版のキパ様はストロングスタイル、自分の力に絶対的な自信を持つ振る舞いをしているように見えます。
続いてライチドラゴン。
日本語版に比べて自信120%増しぐらいになっているのが分かると思います。
このように英語版と日本語版を比較すると、お馴染みのキャラもちょっと違う一面が見えてきます。では今回の主題の魔導士味クッキー。
きびしい……でもそこが良い……
魔導士味クッキーの英語
英語版だと印象が変わるキャラクターは結構いるのですが、中でも魔導士味クッキーは一味違うキャラクター性を持っています。
魔導士味はかわいらしい見た目に反してマイペース、そして強大な魔法を使うというギャップが良い味を出しているクッキーです。
その魔導士味クッキーですが、彼の喋る英語の特徴、それは難解ということです。先に訳したシナモン味クッキーのそれと比べてみましょう。
シナモン味クッキーの英語は非常にわかりやすい。高校1年までの英語で十分に読解できる範囲です。「月の光が明るいから眠れないんだな」ぐらいの意味は取れるでしょう。
対して魔導士味クッキーはかなり難度が高い。特に2行目はGoogle翻訳やDeepLですら訳し損ねるレベル。
例えば「急がないと!」と英語で言うとしたらどうしますか。ほとんどの人は「Hurry up!」とか、よりこなれた「Get a move on!」とかそういう表現になるのではないでしょうか。
しかし魔導士味クッキーは「Make haste!」。
haste(=ヘイスト)の語感でなんとなく分かるものの、こうした表現はなかなか見ないので辞書で調べてみます。
「時間が大切だ(=時間を無駄にするな)!」はどうでしょうか。「Don't waste time!」に普通はなるんじゃないでしょうか。
しかし魔導士味クッキーは「Time is of the essence!」。
これも意味はなんとなく伝わるがほぼ見ない……というより英和辞典では用例が引っかからない……
最後に「her grace」。翻訳サイトでは「彼女の気品」と訳されますが誤りで、「your majesty = 陛下」の非常に古い言い方(注2)。ムーンライト魔術師クッキーのことを指してます。
この表現は王以外の高貴な身分にも用いられたとのことです。ムーンライト魔術師クッキーがどういう身分かは不確定ですが、明らかに魔導士味クッキーより格上、敬意を払われています。
このように魔導士味クッキー(英語版)は見た目に反して難解な言葉を使うという、日本語版とはまた違うキャラクター性がある訳です。
魔導士味クッキーの振る舞い
さて魔導士味クッキーの英語が難しいことはわかりました。ではそれ以外の部分ですが、一つ注目すべき点があります。
魔導士味クッキーの振る舞いが洗練されているということです。
まどまちイベントでなぜ魔導士味クッキーは着替えたのか?実は高貴なお方との謁見の場では様々なルールがあるのです。例えば近世英国ではウール製の帽子を被っていないと逮捕されることさえありました。
次の動画を見てみてください。全編英語ですが、「Guard!(衛兵!)」「Arrest this man!(この男を引っ捕らえろ!)」の二つの単語さえ押さえておけばわかると思います。
これは英国の元女王、エリザベス1世(注3)の謁見の様子を描いたコント……もとい教材です。服装に異常に厳しいことがわかると思います。
魔導士味クッキーはこれを理解しており、やんごとない身分であるムーンライト魔術師味クッキーとの謁見に備えてふさわしい衣装に着替えたのだと思います。
きっと……おそらく……多分…………
まとめ
このように、魔導士味クッキー(英語版)はかわいい一方でやたら難しい表現を使い、上流階級の振る舞いにも詳しい意外な一面がある(?)キャラとして設定されていることがわかります。
ギャップ萌えですね。ギャップ萌えは万国共通です。
このように推しが海外でどういうキャラ付けをされているか調べると、また違った魅力が見えてくると思います。
それでは。
脚注
注1: この第一人称と第二人称で正体がわかるようになっている
注2: http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2017-10-17-1.html が詳しいです
注3: 逝去されたエリザベス2世とは別人のご先祖様です
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