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『読者を没入させる世界観の作り方 ありふれた設定から一歩抜け出す創作ガイド』作家は自分の書きたいこと以外はいっさい書く義務はない

 ファンタージやSFに限らず、1冊の本や連載、ちょっとしたインタビューから講演まで、スリーリーは重要な要素になる。どんな分野でもそうだと思うが、言語化というアウトプットをすることで、自分の考えはクリアにまとまってくるものだ。それに読者を魅了するストーリーをもたせることができればどんなに素晴らしいことだろう。

 本書からそのノウハウをピックアップしてみよう。

 プロローグと第1章があるということは、本の冒頭にフックが2つあると考えてもいい。これにより作家は読者に対して2つの大きな問いを提示できる。ただし、このダブルフック構造には、第1章のフックから生じる緊張感をプロローグのフックが損なわないようにすることが必要だ。

 ほとんどの場合、フックは次のいずれかを実行する。

 1)読者がもっと知りたいと思うような問いを投げかける
 2)賛否両論を巻き起こすような主張を提示する

 そして、プロローグで状況設定する方法には、謎を軸にする手法と、心情を軸にする手法がある。

 ほとんどの作家は、第1章の構成として次の3幕構成に慣れている。

 1)問題の提示
 2)問題の探求
 3)問題の解決

 第1章の書き出しで、設定、トーン、キャラクター、声、ムード、葛藤、緊張感、ドラマ、ジャンル、テーマ、ミステリーを強調する。あらゆる小説の中で最高の書き出しは、ジョージ・オーウェルの『1984年』のそれだ。

「4月の晴れた寒い日だった。時計が13時を打っている。」

 本のためにできる最善のことは、最初の章がそのあとの章のトーンを適切に表すようにして、本全体をまとまりのあるように見せることだ。

 ストーリーを理解するために必要な背景情報を、状況説明という。状況説明は3つにわけて考える必要がある。

 1)状況説明をどう処理するか
 2)どのような情報を伝えるか
 3)いつ伝えればいいのか

 伏線はストーリーの要素というより、むしろストーリーをつくりあげるためのツールだ。伏線とはストーリーの序盤を使って、後半で起こる出来事への期待や理解を深めることを指す。

 主人公と敵役を描く場合、敵役に動機をもたせ、説得力もたせてストーリーに織り込むことが重要だ。それには「語るな、見せろ」という原則がある。メインの敵役は、主人公の一番の弱点を攻撃することに世界一長けている人物だ。適役との関係を発展させる理由は純粋に主人公と敵役が同じものを欲しがることだ。

 最終決戦は1次対立と2次対立に分割することができる。

  • 2次対立とは、通常、主人公と敵役の目に見える対決を指す

  • 1次対立とは、性質やテーマと密接に関連した内的な戦いこのことで、登場人物の内側にある葛藤や変化を含み、最終決戦の結果を左右する

 小説家には庭師タイプと建築家タイプがいる。建築家は家を建てるときに事前にすべてを計画し、1枚目の板に釘を打つ。庭師は穴を掘り種を植えて水をやる。その種はファンタジーの種なのか、ミステリーの種なのかはわかっているが、枝が何本になるかはわからない。この中間として、逆方向に考えるという方法もある。

1)クライマックスシーンを考える
2)核となるシーンを考える
3)三幕構成にあてはめる

 筆者は、作家は自分の書きたいこと以外はいっさい書く義務はないと主張する。書きたいことを書いて、独自の世界観で読者を魅了させること。これを実現させるのが本書なのだ。

 

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。