見出し画像

『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』小見出しからのエビデンスという構成

 ベストセラーを読むことはめったにないが、現在のメジャー読者層を勉強するために読んでみた。どの例も、学術的なエビデンスを付けた上での解説だが、最初に断定をしているので、エビデンスなど難しいことはどうでもいい、という人にも響く構成になっている。

 たとえば人間の脳は、爬虫類脳⇒旧哺乳類⇒新哺乳類と進化した結果だという。

 爬虫類脳(ワニやトカゲ):個人が生きるための脳
 旧哺乳類(ウマやイヌ):種の保全のために働く脳
 新哺乳類:共生を志向する脳

 別の脳科学の本によると、私たちの脳はこの3つを併せ持つため、「脳の三位一体論」という仮説があるという。人間の3大欲求である「生きたい、関わりたい、成長したい」を司る。

 人間の脳は自分の命を守ることからはじまって、他者と共に生きるためという方向で進化してきた。つまり、脳は戦ってだれかを蹴落とすことより、共生をめざすことのほうが高いパフォーマンスを発揮できるのだ。

 結果、「運のいい人はライバルの成長を祈る」という小見出しとなっている。難しいことは知りたくなく、小見出しだけで十分納得できるタイプの人はエビデンスの解説をさらっと読むか、読み飛ばせばいい。ちなみに、私のようなタイプは、エビデンスが書いてあっても疑い、違う仮説を立てそのエビデンスを探すことがある。

 

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。