見出し画像

『トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグローバル企業』酒井崇男氏こそがタレント(プロフェッショナルマネージャー)

 本書は、今までのTPSにフォーカスしたトヨタ式の本とは大きく異なる。
 トヨタのCore Competence=TPSと理解している人が多いと思うが、TPSは外注企業を含めた全体で行う必要があるため大野耐一氏が「トヨタ生産方式」と題しオープンにしため有名になったものである。
 しかし、本書ではTPDこそがCore Competenceであり、TPSはValue Added(付加価値)だと指摘する。確かに顧客創造という視点からは、以下であることは間違いない。

「Create a Customer=Core Competence(TPD)× Value Added(TPS)」

 そして、それを司る主査というタレントの存在こそがトヨタの強みだと。
(ある意味を長年トヨタを研究してきた方々にとり、本書は虚を突かれた存在であり売れて欲しくないものだろう)

 主査制度をトヨタへ持ち込んだのが、ミッションを重要視するヒコーキ屋であったことも本書では解説されている。つまり、米国の新製品開発開発マネジャーが開発したB29とストッキングでズタズタになった日本(ヒコーキ屋)は、それらの新製品を生み出したマネジャー(ボーイングはシステムスエンジニア、デュポンはプロフェッショナルマネジャーと呼ぶ)の要件を主査制度としてトヨタに持ち込んだ、とも言えるのである。

 米国のシステムスエンジニア、プロフェッショナルマネジャーの要件は以下である(主査と類似している)。

・ゼネラリストであること
・すべてのメンバーと等距離で付き合えること
・イマジネーションが可能であること
・クールなドリーマであること

 この点にフォーカスした酒井氏は、トヨタを研究する人たち(主に大学関係の研究者)にとっては無視したい存在か、あるいは匿名で貶したい存在であり、本名で正々堂々と議論したい存在ではないだろう。そういう意味で酒井氏は日本では嫉妬を受けるか、無視されるだけで、評価という栄養は与えられにくい。

 もし、日本がリーンを本格的にビルトインする必要があるなら、酒井崇男氏というタレントを活かすことを考えるべきだと、本書を読みながら強く感じたが、酒井崇男氏の価値(Value)は三河や日本から物理的に距離が離れれた方が高まるだろう。まずは、本書が英訳され世界中で販売されることが必要だ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。