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『年収300万円時代を生き抜く経済学 雇用大崩壊!自分らしい生活を送るために』要するに、家賃や物価が安く、野菜が自給できる、という結論

 森永卓郎氏の『年収200万円でもたのしく暮らせます』を読んだので、ついでに300万円バージョンを読んでみた。てっきり、200万の次は100万円の生活術の話になるかと思いきや、年収10万円で暮らす時代がくるというのが筆者の主張である。

 なぜ、年収10万円かというと、汎用人工知能が普及して9割の仕事が置き換えられ、人間の仕事のそのものがなくなると予測しているからだ。働かなくてもよいのではなく、働くところがないという予測だ。プロ野球や吉本興行の世界をみれば明らかなように一握りの人が収入を独占し、超格差社会がすでに到来していると。直接結びつけて解説されていないが、ベーシックインカムの時代になり、給与が下がっても年金が下がっても貧困にはならないとしているので、そのときに収入が年収10万円でも食べていけると主張しているのではないだろうか。

 本書は、小泉政権下の2003年に出版されたものが増補版として出版されたものだ。2003年当時の非正規労働者が生まれてしまった背景など、年収が300万円になるという予測本だったが、それは現実となり、さらに下がっている。著者は、『年収200万円でもたのしく暮らせます』では、トカイナカの生活を推奨しているが、この本でもそれを自らの所沢生活から紹介している。要するに、家賃や物価が安く、野菜が自給できる、という結論に行き着いてしまう。

 2023年にスタグフレーションが来襲することで、低コストな生活術の必要性が高まることから、この手の本がたくさんでてくるのではないかと予測できる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。