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『日本人のための平和論』ヨハン氏は東アジア共同体構想を評価している(環境研究)

 ヨハン・ガルトゥング氏は、平和学の父と呼ばれている。「戦争研究はあるのに平和研究が存在しない」と平和学を提唱したのは彼だ。

 本書は日本を取り巻く課題をヨハンの視点でまとめたものだ。いくつかをピックアップしてみる。平和はプロセスである。恒久的な平和を約束する万能薬や完全なレシピは存在しない。したがって、行為の可逆性というオプションを確保しておく必要がある。集団的自衛権の行使は後戻りできないものだ。日本人にはその認識はない。

 福島原発で、政府に雇われた研究者は誰か、津波の後と前で、誰が何を調査し、何を発表したか、誰が排除されたかを見ておく必要がある。そうすれば、真実が見えてくる。核をめぐる日本のタカ派には次の3つのタイプが存在する。

1)ただ「普通の国」として核兵器を持ちたい。使おうと思わないが、とりあえず持っていたい。
2)北朝鮮や中国との戦争に勝つために必要と考える。
3)核兵器を米国への報復のために使いたいと考える。

 沖縄の基地問題は、一見解決不可能のように見える。しかし、解決する方法は、米軍基地を日本から撤退させればいい。日本は米軍基地がなくとも安全を確保できる。また、米軍基地がないほうが、創造的な平和政策を遂行しやすくなる。東アジアの調和と安全にも貢献できる。沖縄は琉球として自立した方がいい。東アジア共同体の本部都市となるべきだ。

 尖閣諸島は日本と中国の共同所有にすることで解決する。北方四島はロシアとの共同管理でいい。EEZも含めて四島経済圏とし、共同で管理すればいい。

 日本は多神教と考えられているが、実は一神教で、神はワシントンにいるという意見がある。米国の飛び地である51番目の州だともいえる。

 最も印象に残ったのは、ショペンハウアーの4段階だ。新しいビジョンは社会に受け入れられまでにはこの4段階を経る。

1)沈黙:新しい考えに触れたとき、人々の最初の反応は沈黙だ。
2)嘲笑:「現実がわかっていない」「バカじゃないのか」と否定される。
3)疑い:「本当の狙いは何だ」「誰の回し者だろう」と疑いの目で見られる。
4)同意:「私も前からそう考えていた」と言われる。

 ヨハン氏は鳩山由紀夫氏を評価している。鳩山氏は、この4段階の2)嘲笑の段階にある。鳩山氏は首相在任のころ時代の先を歩いていた。いまに時代が彼に追いつくだろう。日本の未来は、米国に従うタカ派か、鳩山由紀夫か、それは歴史が判断するだろうとしている。
 確かに、彼の東アジア共同体構想は、イランでも評価が高い。日本では、彼の評価は 2)嘲笑の段階であることは確かだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。