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『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』共感できる点と共感できない点(未来予測)

 この本は人にススメられて読んでみたが、いくつか共感できる点と共感できない点があった。
 以下は共感できる点。

共感1)正解を出すから、問題を探す人材へ
共感2)緻密に計画し実行するから、とりあえず試す人材へ
共感3)奪い、独占するから、与え、共感する人材へ
共感4)HOWを示すリーダーから、WHYを示すリーダーへ

 一方、共感できない点は以下となる。

1)メガトレンドにスタグフレーションが入っていないので、これからはこの本の前提が大きく違う時代となる。まさに筆者の言う通り、未来予測はあたらない。

2)「オールド」と「ニュー」と人材タイプを分けると本としては分かりやすいが、以下の4段階に分けた方が現実的だ。企業が自社の競争力として無形資産を求める限り、求められる人材ニードは、A)⇒ B)⇒ C)⇒D)の順で高くなる。特に、C)⇒D)へのアップデートが難しいため、日本中が「B to B企業化」してしまったのが現在の日本だからだ。


A)知識を伴わない定型労働  時給1000円
B)改善労働を伴う非定型労働  年収300万〜500万円
C)知識を伴う定型労働   年収400万円〜600万円
D)複数分野の知識を伴う創造的知識労働  年収1000万円〜数億円

『「タレント」の時代』(講談社)

3)シナリオ・プランニングは、シナリオ・ライティング法をピーター ・シュワルツ(現在のセールス・フォース社の戦略計画担当上級副社長)が発展させたもので、その後、適応型シナリオ・プランニングと変容型シナリオ・プランニングに分かれ、それぞれ目的が違う。本書では、シナリオ・プランニングの目的を「将来のリスクを試算する」としているが、捉え方を間違えている。

4)本書の最後に、「人類がスペースコロニーに移住するとしたら、日本の文化遺産の中から、何を持っていきたいですか?」とすべての読者に質問したいとある。スペースコロニーに移住する未来とは、アメリカのハーマン・カーンがシナリオ・ライティング法で科学的に予測した未来だ。アメリカはそれが前提にあり、ジェフ・ベソスもイーロン・マスクもこの予測を伝承し行動している。 

 しかし、英国は違う。糸川英夫博士の親友である英国のジェームズ・ラブロックが、99歳のときに書いた著書『ノヴァンセン』(人新世の次)で、コスモス(人間が観測できる範囲の宇宙)で人間が存在できるのは地球上しかないと科学的に論証している。したがって、地球上で人間はサイボーグ化すると予測し、103歳でこの世を去った。これは大阪大学の石黒浩教授と同じ考えだ。 

 したがって、著者の読者への質問の前提条件が、アメリカのハーマン・カーンの未来予測を何も考えずに受け入れた結果となってしまっている。残念なことだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。