見出し画像

『システム分析』システム分析はデジションメーキングマシン(システム分析)

 この本はランド研究所のお家芸であるシステム分析を解説した本だ。システム分析は別名「デシジョンメーキングマシン」とも呼ばれるが、ランド研究所はこの手法を用いて、数多くの米国政府の仕事をこなした。この本を読んだ目的は、私が学んだ日本流のシステム工学のプロセスにあるシステム分析と、ランド研究所の使っているシステム分析に違いがあるのかどうかを確認したかったからである。

 ランド研究所の前身である米空軍の戦略部門は、日本の東京大空襲を企画立案するときにオペレーションズ・リサーチ(OR)を使い分析し、結果としてB29の機上に搭載するほとんどの装甲機器を捨て去れば、B29は基地からより遠くまで、より上手に、より安全に飛べることを発見したという。結果、マリアナ諸島から飛び立ったB29は、夜間攻撃を主体とし、東京大空襲を実行した。オペレーションズ・リサーチ(OR)は第一次世界大戦で英国で発案されたものだが、それには大きな欠点がある。つまり、東京大空襲のように、手元にある航空機で、敵の工場をどれだけ破壊できるのか?過剰な損害を被らないように飛行するには、どのような編隊が効果的なのか?どの程度のスピードで、どの程度の高度で飛んだらいいのか?という既存システムの研究には向くのだが、敵の工場をどれだけ破壊したいのか?どのような種類の工場を念頭にしておいて、それらの工場はどのような防衛体制になっているのか?この目的を達成するのに最善のルートは何か?どんか航空機で、どんな搭載物がいいのか?などの代替可能なシステムのうちどれを選択するのか、という目的指向の解決策をを扱えるのがシステム分析だ。

 結果、私が学んだシステム分析と、ランド研究所が使うシステム分析にはプロセス毎の名称の違いがあるが、それほど大きな違いはない。逆にオルターナティブの出し方にまで踏み込んだ日本流のシステム分析の方がより応用範囲が広いと実感することができた。この本は1983年の本だが、著者の近藤次郎さんは、国立公害研究所にお勤めで、地球敵規模の環境問題にシステム分析を使っていたようだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。