見出し画像

『システム工学の方法』元来、システム工学は実践の中から生まれた学問体系で、理論先行から出てきたものではない(システム工学)

 原著の著者のHarold Chesnatさんは執筆当時はG.E.研究開発センター情報科学研究所システム部マネジャーとなっているが、アポロ計画ではG.E.の航空兵器部門と先端技術研究所のシステム工学および分析部門、第2次大戦中はB-29航空機で使用される中央射撃統制システムと遠隔制御砲塔の設計に取り組んでいた。

 本書はシステム工学の種々の技術的、解析的な手法を解説した「システム工学の手法」(日本では未出版)の続編という位置付けで、ひとつのシステムの成否に全般的な責任を持っているシステム・エンジニアに関する諸問題が中心テーマとして構成されている。訳者は、糸川英夫氏が監訳となり、実際には弟子の東京大学宇宙工学研究所の秋葉鐐二郎氏、長友信人氏、松尾弘毅氏が翻訳。

 糸川英夫氏はシステム工学を「元来、システム工学は実践の中から生まれた学問体系で、理論先行から出てきたものではない。」と語り、チェスナットは「システム工学の方法としては、いろいろな特殊な構造と副次的機能から成り立つシステムを、全体としてひとつとみます。またシステムは1つの目的を持ち、システム全体としてそのその目的に合致し、しかもシステム内の各部分の最適な状態が保てるように調整することがシステム工学の目的である。われわれはシステム工学の問題を全体として2つの部分に分けて考える。すなわち1つは、システムの作動に関するシステム工学であり、もう1つは、システムを作り出すためのエンジニアリングとそれと関連した作業の過程である。これら2つの部分は互いに強く作用し合うことは明らかである。システム工学の取り扱う問題は、わけのわからないものである。」と語り、最後に結論として「システム工学者は、社会学、経済学、政治学、医学その他の分野の専門家とともによりよい世界を建設する重要な役割をもっている。さて、仕事にとりかかろう。」と、まとめている。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。