見出し画像

『【新装版】イエス・キリストと神武天皇』 ヒンドゥー教の経典「ギータ」に、世俗内禁欲の道がある(世界の歴史)

 「イエス・キリストと神武天皇」というテーマなのでキリスト教と日本の神話を比較した内容かと思ったが、内容は様々な宗教から共通なものを見据えようとするものになっている。

 ミトラ神がゾロアスター教、仏教の新種である弥勒信仰に影響したことはもちろん、ローマがササン朝ペルシアとの戦争でキリスト教にミトラ信仰が取り込まれ、キリストを太陽神として捉えることでローマに浸透していったなど、切り口が宗教だけでなく、当時の情勢から複合的に考察した切り口が面白い。

 最も感心したのは、インドのヒンドゥー教徒が学ぶ「ギータ」という聖典が、インドの経済成長の秘密だという捉え方。

 「次に、ヨーガ(実践)における知性を聞け…あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にはない。行為の結果を動機としてはいけない。」(「ギータ」より)

 スイスのジュネーブのカルヴァンは、「あなたに与えられた職業を一生懸命にやることが救いなのだ」と世俗内禁欲を説いた。それが後に、ヨーロッパ資本主義につながった訳だが、もしマックス・ウェーバーが「ギータ」を分析したとしたら、インドの経済成長を疑わないだろう。

 ヒンドゥー教の救いの道は以下の3つ。

 ①学問的に経典を極め、知性によってブラフマンに到達する道
 ②自分の仕事を一生懸命やることでブラウマンに到達する道
 ③歌や踊りを通じて全身全霊で神を愛する

 ヒンドゥー教の経典「ギータ」に、世俗内禁欲の道があることを知ることができたのは、私にとり大発見だ。
 (ムスリムの聖典である「クルアーン」には、世俗内禁欲という概念は一切ない)

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。