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『国際水準の人権保障システムを日本に 個人通報制度と国内人権機関の実現を目指して』日本の持つ人権認識の甘さを解決する手段のひとつを知ることができた(環境研究)

 「国際人権入門」(岩波新書)という本で「日本には社会生活における人種差別を禁止する法律がない」ということを知ったが、これに対して日弁連は以下の解決策を提示している。

①「個人通報制度」

 OECDで個人通報制度を持たないのはイスラエルと日本だけ。この制度は、日本国憲法に人権の重要性が語られているにも関わらず、日本人の感覚で日本人裁判官が行う判決が(それが例え最高裁であろうと)、国内法に基づく手続きで救済されないということは、その国の仕組みや(法律や政策)自体に問題があるため、国を相手取って条約機関(人種差別撤廃条約を採択した国連)に対して通報することができる制度。すると、弁護士は国際人権法を学ぶようになり、裁判官は自分の下す判決が条約機関に通報される可能性があるので、慎重に判断を下すようになる。
 もしイスラエルに「個人通報制度」があったら、収監されている相当数のパレスチナ人は釈放されるだろう。

②「国内人権機関」

 国家から独立した組織で、国連加盟国193カ国の6割(122カ国)が設置。費用のかかる裁判にせずとも、ここに人権問題を相談するだけで、事実を調査し、調停・勧告などを受けることができる。さらに、この組織が立法機関に提言することで、人権保証のための立法を促すことができる。裁判を補完する簡易迅速な人権救済の道が生まれる。

 「個人通報制度」「国内人権機関」の2つは人類が生み出した知恵で、国際水準の人権保障システムを日本に構築するための基本になることだ。

 この本の出版社(明石書店)は人権問題に関する本を多く出版しているが、本書は日弁連のシンポジウムを書籍にしたものだ。おかげで、私のような素人でも日本の持つ人権認識の甘さを解決する手段のひとつを知ることができた。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。