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いわく付きのシャツ。


私は職場でのシャツ縛りがあり、とにかくシャツがいるのだ。
襟がついていたらなんでも良いことになっては居るのだが、普段なかなかシャツは着てこなかったので、あまり持ってない。

リーズナブルなユニクロでいいやと思い、物色していたが、やはりそこは世界のユニクロ。
必ず他人と被ることはあると思い、それならユニセックスでメンズのSサイズの方がいいのではないかという結論になり、メンズコーナーでネルシャツを選んでいた。去年の暮れの事だ。

そこへバイト帰りの娘が電話をかけてきて合流して来た。

「あ、このシャツにスカート合わせたら可愛いな。欲しい」
などと言いわれ、なんのついでだか分からないが娘のシャツまで買わされる羽目になった。


娘が選んだシャツは、よくある濃いグリーンのタータンチェックで、私は選ばない柄だった。

まったく!世渡り上手な娘め!


次の日に娘は、早速そのグリーンのタータンチェックに黒のミニスカートを合わせて大学へ行った。
若い子がそんなコーディネートをしたらやはり可愛い。


***

夕食の時、娘が今日の出来事を話し出した。

「今日ね、授業でアメリカ人の先生に突然、○○ マエニ、キナサイと言われて、みんなの前に立たされた。そしたら先生がいきなり自分の着ていたセーターを脱ぎ出して(笑)
私の横に来たんだけど、見たら先生とシャツがお揃いでだった!(笑)
みんなに爆笑されて〜!もう恥ずかしくて、あのシャツやだ〜(笑)」


そりゃ嫌だわ(笑)
先生もお茶目と言ったらお茶目だけども。

そんなことがあってグリーンのタータンチェックのシャツは暫く箪笥の肥やしになっていた。


***


先週、あまりに汚い娘の部屋に我慢の限界が来て、強制的に断捨離をさせたら、箪笥の肥やしになっていたあのグリーンのタータンチェックのシャツがシワシワになって出てきた。

「着なさいよ!」
「ママにあげる」
「ママは似合わない、お前が着ろ」
「ママ、ブルベでしょ、似合わなくないよ。」
「似合わない」
「似合うって!」


ブルベとはブルーベースという意味で、最近娘がブルベだ、イエベ(イエローベース)だの言い出して、化粧品や洋服選びの参考にしている用語だ。

肌の白い娘は肌が綺麗なことを自慢して、ブルベだから、あれが良いこれが良いと言っていたのだが、
質問表のYES.NOで、私がブルベに属することを知った娘は、「えーママほんとにブルベの?」
と、まるで一緒であることが有り難くない口ぶりだったのに、こうしてシャツ問題になった途端、「ママ、ブルベなんだから似合うってー」と言い放つ。

ほんとに調子がいいわ!


かくゆう私も
「そう?似合うのかしら?」とシャツにアイロンをあてているのだが。

このように、何度となく要らなくなったお古を持たされている。

けれど私も娘時代に母に同じようなことをした気がする。

娘最強説だ、時は巡る。








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