1.2NOAH有明アリーナ大会雑感
当初「ふーんNOAHは来年正月2日に有明アリーナでやるんだ」と横目でしか見てませんでしたが、飯伏さんと丸藤のシングルマッチが決まった翌日にはチケット買いにいきました。
なんでもいいけどこの会場、電車で行きにくいのに駐車場はなく、会場周辺でタクシーも拾いにくく、行きはまだしも帰りがめんどくさいのよね。
あらためて後楽園および東京ドームはいい場所にある。
まあそれも三井不動産の動向次第で今後どうなるかわからんのだけど。
<第1試合・GHCジュニアヘビー級タッグ選手権3WAYマッチ>
(王者)ドラゴン・ベイン アルファ・ウルフ VS YO-HEY タダスケ(挑戦者) VS ニンジャ・マック アレハンドロ(挑戦者)
タイトルマッチを3WAYでやるとタイトルが軽くなってしまう気がするんだけど、いまあんまそういうの気にしないのかな。
とりあえずマスクマン4人いて4人ともシルバーのマスクってどういうことだ。
いやデザインとか模様は違うけどさ、もちょっとパッと見て違いわかるようにできんか。
<第2試合・6人タッグマッチ/International Sensation>
ジェイク・リー ジャック・モリス アンソニー・グリーン VS イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr. ヴィニ―・マッサーロ タイタス・アレクサンダー
ジェイクがレイトン教授みたいな、ロンドンで謎を解きそうな格好して入ってきたことしか印象にない。
<第3試合・シングルマッチ/NOAH vs NJPW>
マサ北宮 VS 石井智宏
なぜこの二人のシングルが組まれたのかまったくわかってないが、G1の公式戦みたいないい試合になって盛り上がった。
石井は誰とやっても名勝負作れるって本当素晴らしいね。
「ベストバウトマシーン」とか名乗るといいと思うよ。
<第4試合・シングルマッチ/NOAH vs NJPW>
潮崎豪 VS 小島聡
いつぞやのサイバーファイトフェスティバルのメインイベントだった試合が有明の第四試合。
私が口を出す筋合いでもないんですけど、そんな扱いでいいんでしょうか。
後楽園のメインイベントとかでやったらいいのに。
そんな単なる潮﨑のリベンジのためだけに組まれた第四試合であっても胸を張って登場する小島聡53歳。
北陸地方で大きな地震があれば、被災地の人たちを心配しながら翌日の自身の試合を告知し(別のポストにすればいいのに…)
新年の始まりの挨拶をしながら「俺はあのCMパンクと試合をした男」という自負を謙虚に覗かせる小島。
「過去は過去。今与えられたポジションで全うしなさい」という『置かれた場所で咲きなさい』スピリットで今日も粛々と「いっちゃうぞバカヤロー」と叫ぶ小島。
そんな小島に私はなりたい。
プロレスで大切なことは一にコンディション、二に社会的常識、三もコンディション、四に試合後に誘われても飲みに行かず、ケンドーカシンに著書で「K島さんは試合終わってからまず飲みに行くことはない。ごくまれに行ったとしても支払いをすることもない。相当溜め込んでるはずだ」と書かれても気にしない強靭なメンタル(そもそも読んでない可能性高い)、五にスタン・ハンセンに教わったはずなのにいつのまにか「ウエスタン」をつけなくなったラリアット。
華麗な飛び技も、カリスマ性も、闘魂スタイルもいらない。
いるのは挨拶。
そんな小島に私はなりたい。
ということで試合は潮﨑が勝ちました。
試合後、潮﨑が「このリングには強さ、激しさ、戦う姿勢が足りていない」と「?」なことを言い出して、「出てきてくれ!」というので一体誰が出てくるんだろう、と思ったら現れたのは小峠、Hi69、モハメドヨネ、齋藤彰俊。
この五人でNOAHを熱くしていくという。
その名も「TEAM NOAH」。
えと…この団体はNOAHというんですが、それはいわゆる「正規軍」とは違うんでしょうか…ここに入ってない選手はNOAHでないんでしょうか。
そもそもこのメンバーに強さや激しさをあまり感じないような…中途入社の社歴が長い人が多いですね。そこに何か紐帯があるような。
いろいろな疑問は沸きつつ、新しいユニットが始まりました。今後乞うご期待。
<第5試合・タッグマッチ/愚零闘咲夜降臨>
愚零闘咲夜 野崎渚 VS 梅咲遥 高瀬みゆき
グレート・ムタの娘、愚零闘咲夜初登場。
やってるのはどこかの女子選手なんだと思うけどわかりません。
完成させるのに二時間はかかりそうな髪型&メイクで、今後出続けるなら大変そう。
ほどほど不気味であるけど、普通に試合するんだなーと思ったところでイス使って反則で終了。
続きはまた次回。
周りの客席からは「パートナー(野崎)が美人」という声がちらほら。
咲夜に合わせてちょっと悪めに試合してました。
<第6試合・シングルマッチ/佐々木憂流迦プロレスデビュー戦/Road to PRO WRESTLER>
杉浦貴 VS 佐々木憂流迦
佐々木憂流迦、プロレスデビュー戦。
総合格闘技で凄かった、的に紹介されてたのだけどごめん、よく知らないのよね。
とりあえず入場は華があって完成されてた。天狗がキャラクターなんだ。
試合はがんばってました。
まだ「これが佐々木憂流迦」というものはないので、これからがんばってください。
<第7試合・タッグマッチ/WRESTLING SYMPHONY>
ザック・セイバーJr. 小川良成 VS 棚橋弘至 HAYATA
1.4レッスルキングダムの棚橋vsザック戦の前哨戦をなぜかNOAHでやる不思議なマッチメイク。
棚橋とHAYATAってなんか接点ありましたかね。
棚橋と小川の絡みを見たかったがあんまやってくれなかった。
棚橋はこれが社長就任後初試合だったそうで、「社長」コールが飛んでました。
相変わらずパッと会場が華やかになるのはすごいね。
<第8試合・GHCジュニアヘビー級選手権>
(王者)ダガ VS Eita(挑戦者)
なんとなくぼんやり見てるうちに終わってしまって「Eitaの入場テーマかっこええな」と思ったこと以外あんまり覚えてません。
<第9試合・6vs6イリミネーションマッチ/NOAH&NJPW vs HOUSE OF TORTURE>
清宮海斗 海野翔太 大岩陵平 稲葉大樹 近藤修司 宮脇純太 VS EVIL 成田蓮 高橋裕二郎 SHO 金丸義信 ディック東郷
【イリミネーションマッチルール】
・勝敗はフォール、ギブアップ、KOの他にロープ最上段から場外に落ちると失格となるオーバー・ザ・トップロープルールを採用
・先に相手チーム全員を失格させたチームの勝利となる
イリミネーションマッチって「特にやることのない地方大会、小規模大会のメインイベント」という印象が強くて、その場で盛り上がりはするものの何も残らない。
というような試合をこんなボリューミーな大会の後ろから三番目に入れる意図はなんだろう、と考えていました。
大勢出したいなら12人タッグでもよかった気がするんだけど。
というわけで一人ずつそれなりに見せ場を作っては消えていくのを繰り返した末に清宮とEVILが残って、オーバー・ザ・トップロープで清宮残って勝利。おつかれさまでした。
この試合も1.4の予告編みたいにされてた気がしないでもないけど。
「HOUSE OF TORTURE」ってホラーっぽいエントランスVを作ってるけど、やることは結構トラディショナルで保守的なヒール象だなあ、と。
成田蓮は見た目変わってないけどあのままでいいのか。
<第10試合・GHCヘビー級選手権>
(王者)拳王 VS 征矢学(挑戦者)
※第43代王者の初防衛戦となります。
金剛時代、脇役に徹していた征矢がかつてのパートナーである拳王に牙をむいた、というストーリー。
いいと思うんだけど征矢が上がったのって夏のリーグ戦で準優勝したとかで、あんまり何かした印象がない。
藤波辰爾と和解した、みたいなのがあったけどあんまり本編に関係ない話だし。
もっと派手にキャラ変して、丸藤とか杉浦を圧倒してから挑戦してほしかったなという気がする。
この試合に関していうと、このあとの丸藤vs飯伏スペシャルシングルマッチが「メインイベント」発表されたことでセミファイナルになり、それを「ビッグマッチのメインが団体のフラッグシップタイトルじゃないなんて」的な批判がSNSで出て、当の拳王もそこに乗っかったことで12月上旬のプロレス界一大論争になったが、これに関して言えば某プロレスラー(本人が公的なところで発言してないので名前伏せます)が言っていた、
「ファンが『どっちの試合が上』みたいに論争するのはわかるし、やればいいと思うが、試合に出る当のレスラー本人が自分で言うのはダサくない?与えられたところで満足させる試合をやるのがプロじゃない?」
に尽きる。
ぶっちゃけ拳王VS征矢が最初に発表されて、それでチケット売れないからスペシャルシングルマッチが発表されるわけじゃないですか。
チケット売れてたら拳王VS征矢がメインだったと思いますよ。
それだけのことだと思うんですよね。
まあ拳王は「二年連続正月ビッグマッチでタイトルマッチなのにセミ」というのが続いて、面白くなかったと思いますが。その「面白くなさ」を貯めこんで後に発散させるのもプロレスですけどね。
といった感じで始まった拳王VS征矢ですが、入場してくる拳王が美容室に行ってなかったので「あ、今日は言うほど気合入ってないな」と思いました。
拳王、大事な試合の前は美容室行って髪型ちょっとかっこよくしてきますからね。サイバーファイトフェスの佐々木大輔戦とか、武藤敬司引退試合のvs全日本プロレス対抗戦とか。
金剛時代のコスチューム着てきたけど、貯めが短かすぎて効いてない。金剛解散したのこないだじゃん。そういうのは3~4年貯めないと効かないんだよ。
むしろ「美容室に行ってない通常営業」の方が気になった。
試合はタイトルマッチぽい重みのある試合で、征矢ががんばって盛り上がった。
よかったんじゃないでしょうか。
防衛した拳王の前に登場したのは新ユニット結成した潮崎。
ただ挑戦アピールへの拳王の返事は「NO」。
それに盛り上がる客席…って潮崎、信頼感落ちてるなあ。
この客席のリアクションみたら挑戦者決定戦でも挟むのかと思ったが、「ただし、おまえの決め台詞『I am NOAH』は欲しい。俺はタイトルを賭けるから、おまえは『I am NOAH』を賭けろ」と不思議な交換条件を出して、それで月末のタイトルマッチが決定。
仮に手に入れたとして、拳王に『I am NOAH!』と言われても違和感しかないが…。「I am 徳島!」だったら納得するけど。
潮崎、昨年秋の「N-1 VICTORY」で優勝したはいいけど、直後にジェイクとやったタイトルマッチが微妙な内容だったんだよね…。
ちょっとここで挽回してほしいけど。
あ、そうだ、闘魂スタイルというのがあってね(略
<第11試合 メインイベント・スペシャルシングルマッチ/DESTINY2024>
丸藤正道 VS 飯伏幸太
試合のタイトルは“DESTINY”、煽りVも「運命」をキーワードに作られていたけど、どちらかというと「青春の忘れ物」の方が近いような気がした。
2005年に初遭遇して、2007年にタッグを組んで、2009年と2010年に対戦が発表されながらどちらかが怪我して流れて、そのままになっていたところから14年。
最初の頃は「メジャー団体NOAHのジュニアのエースと、インディー団体DDTの若手のホープ」だったが、もうそういう図式ではなくなった。
飯伏さんは新日本でG1を獲り、チャンピオンになり、エースぽいポジションまで行ったものの退団して今はアメリカを主戦場にやっている。
対する丸藤は「NOAHの顔」として、団体の看板を張り続けた。
「方舟の天才」と呼ばれた丸藤は44歳、「ゴールデン☆スター」と呼ばれた飯伏は41歳になった。
二人とも歳を取った。
身体の動かないところも出てきた。
その分、二人は13年の歴史を積み重ねてきた。
うまくいったこともあったし、うまくいかなかったこともあった。
予想していたような未来ではなかったかもしれない。
それぞれがもがいてきた「一生懸命」の未来に今がある。
「一生懸命」の積み重ねをぶつけ合う試合。
そうやって組まれたこの試合だったが…結果的には「凡戦」と誹りを受けるような試合になった。
原因は明白で、飯伏さんのコンディション不良だ。
動けない。身体が重い。
すべてに重く、動きが悪いため、丸藤もそのペースに付き合わざるをえない。
長年、飯伏幸太を見続けてきた人間からすると、信じられないような試合だ。
それでもこの試合はメインイベントだ。
途中で中断したように終わることは許されない―と考えたことが、「すべてが出来が悪いのに全部盛り」につながっていく。
かくして重く、どんよりとしてメリハリのない、ただ不格好なロングマッチになってしまった。
試合は飯伏さんがカミゴェで勝つが、あまりそこに意味はないように思えた。
試合後、二人が言葉を交わし、先に丸藤がリングを降りると入れ替わるようにジェイク・リーがリングにやってくる。
すれ違いざまに丸藤に向けた表情は怒りそのものだ。
続いて清宮海斗もやってくる。こちらは退場する丸藤にまったく視線を向けることもなく、すれ違ってリングに向かう。
ジェイクと清宮がまだ立ち上がれない飯伏さんの前に立つ。
どんなアクションをするのか、固唾をのんで見守っているとジェイクは深々とお辞儀をし、そして「お引き取り下さい」とポーズした。
清宮は無表情に見つめている。
飯伏さんの顔に「はぁ?」と言いたげな不機嫌が漂う。しばらくにらみ合っていたが、飯伏さんが外して次に清宮を見る。清宮は無表情…いや、その表情には「帰ってください」と書いてあるように見える。
飯伏さんがリングを降り、ゆっくり、ゆっくり花道を戻っていく。
ジェイクと清宮がそれを見ている。拍手はしない。見守ってる風でもない。無言のまま「早く帰ってくれ」と言いたげだ。
そして飯伏さんの姿が見えなくなるやマイクを握ったジェイクは観客へ来場の御礼、続いてメインを称賛…と思いきや「あんなウルトラヘビーみたいなリズムで試合しやがって!」と罵る。沸く歓声。
ジェイクは、フリー契約で、第二試合だったにもかかわらず、これを言わされている。もちろんジェイク自身の心の声だが、「自分が団体を運営していく」という気持ちがなければ出てこない。
かくして「今年、あらためてもう一度私がこの団体の舵を獲る」と宣言する。
続いて清宮が「今年この団体の中心になる、みんなでNOAHを作っていこう」と宣言。
ジェイクと清宮はあきらかに誰か、団体を運営する人間に「おまえらが締めてこい」と送り出されてきた。
これが飯伏がアクシデントを起こしたから送り出されたのか、最初から決まっていたのかわからない。
ただ、非常に不穏な幕引きで大会は終わった。
コンディションが悪いまま、かつての技を出そうとして無残な姿を見せてしまった飯伏さんのことを考えながら、豊洲方面までとぼとぼ歩く。
飯伏さん、そんな足痛いのに飛べるわけないじゃないですか。
でもできると思っちゃったんですよね。
そして、実際前はできたんですよねきっと。コンディション悪くても。
みんな年を取る。誰だって昔と同じでいられない。
それが他人だと若い時を見ちゃってるから遠慮会釈なく「衰え」とか言う人いるけど、あんただって老けてるでしょ。昔に比べたら。
少しずつ変化していく。
できないことを受け入れながら。
それはプロレスでも、人生でも同じはずだから。
飯伏幸太の動きができなかったことに一番傷ついてるのは飯伏さんのはずだから。
人生にはいろんな出来事があり、いろんな転機がある。
プロレスラーはそれをリングで表現している。
今日はたまたまそういう日だった。
それを見るのも、長い物語の中のひとつだから。
「長く見ていると、いいことばかりでなく、悪いことも出てくる。それを乗り越えることで深みにはまるという点で、推し活と恋愛は似ている」と推し活研究しているライターのひらりささんは言っていた。
傷つく日もある。
それは次の歓喜のための伏線だから。
わかっているけど、考える。
飯伏さん、「飯伏プロレス研究所」の仲間は、どんなことをあなたに言いますか。
「休んでください」と言われたりしますか。
「この技は、もう今の飯伏さんには合ってないと思うんです」とか言ってくれますか。
私は、あなたがいい仲間に出会えて、長くプロレスをやってくれることを願っています。
たくさん驚かせてもらったので、もうこれ以上の驚きは、そんな大丈夫です。
それより長くやってください。
出てきて、こちらが「いぶしー!」と叫んで、ちょっと「おおー!」となって、それで帰る。
そんな試合がまた見られたらいいなと、深く思っています。
いい仲間と、適切な休養を得られますように。
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