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DDT8.20大田区総合体育館大会「WRESTLE PETER PAN 2022」雑感

DDT夏のビッグイベント「WRESTLE PETER PAN 2022」を見てきました。
2009年から始まったので今年で13回目。
「ピーターパン」は「俺たちは大人になんてなれないよ」という意味合いで付けた大会名ですが、最近は言われることも少なくなったので定期的に伝えていきたいと思います。

今日は珍しくダークマッチがありませんでした。

途中でプロレスを引退したLiLiCoさんが来て、12月のTOKYOドームシティホール大会の告知して、自分が大会アンバサダーになったという発表。
そこで「私、肛門爆破をやります!」と言い出して今林さんが「聞いてない!」と困惑するカオスな流れになってたけど、大丈夫でしょうか。
ヘイヘーイ。
LiLiCoさんがナビゲーターを務める「ALL GOOD FRIDAY」は毎週金曜日の 11:30からJ-WAVEで放送中です。

○オープニングマッチ 30分一本勝負

岡田佑介&高鹿佑也&イルシオン vs 小嶋斗偉&石田有輝&正田壮史

入門からデビューまで史上最短の3ヶ月だったという新人の正田(まさだ)を見る。
試合中のたたずまいがまったくバタバタしておらず、完成した雰囲気ある。どこかでなんかやってたのだろうか。
とりあえず愚連隊方面かデスマッチ方面に間違われそうなので改名した方がいいように思います。

○第二試合 3WAY6人タッグマッチ 30分一本勝負

飯野“セクシー”雄貴&男色“ダンディ”ディーノ&竹田“シャイニングボール”光珠 with 今成“ファンタスティック”夢人 vs 火野裕士&納谷幸男&スーパー・ササダンゴ・マシン vs 大鷲透&平田一喜&アントーニオ本多

フェロモンズに新メンバーとしてシャイニングボールが加入していた。竹田って昔、上野や梅田と組んでたよね。こっち来たか。
何をされてもボディビルのような筋肉ポーズで返すおかしな動きが変な魔力あった。

ダンゴさん…というかマッスル坂井が火野に扮していた。
そろそろダンゴさんがパワポやるような試合が見たいです。

○第三試合 スペシャル6人タッグマッチ 30分一本勝負

吉村直巳&梅田公太&奥田啓介 vs HARASHIMA&坂口征夫&岡谷英樹

何年か前にDDTからドラゴンゲートに移った奥田と、何年か前にDDTを退団した梅田を吉村が呼び戻して昔やってた「ナオミキングダム」というチームを一夜復活させる試合。
梅田は今もどこかでプロレスやってるんかな。ほぼブランク感じさせなかった。

HARASHIMA48歳、坂口49歳というとみんな驚く。すごいよな。
そんなHARASHIMAがこのところ調子よかった吉村から3カウント。
まだ第3試合なのに「やって、やるさー!」「なんで~?」を始めてしまい、大会終わるのかと思った。
(声出し可大会だったからやりたかったのかと思われる)

○第四試合 川松真一朗デビュー戦~東京都議会議員vs文京区議会議員 30分一本勝負

川松真一朗&高木三四郎&高尾蒼馬 vs 西村修&大石真翔&彰人

都議会議員の川松先生デビュー戦。スーツぽい服着たままやってたが、厚手の服着てると相手がやりずらいのではなかろうか。
タックルがちゃんとしてましたね。

川松先生はどういう議員なのかなと思って本人のYouTubeチャンネル見たら小池百合子都知事の都政批判動画とか、「モーニングショー」とか「報ステ」「トクだね」などのワイドショー検証動画とか、なかなか香ばしい感じの方だった。
ひらがなまっするには「小池袋東京都知事」という人が出てくるので、ぜひ対戦相手になってください。

○第五試合 スペシャルミックストタッグマッチ 30分一本勝負

秋山準&赤井沙希 vs クリス・ブルックス&朱崇花

赤井さんが秋山準にコーチをしてほしい、ということで結成したミックスドタッグだが、この2人が並ぶとどう見ても「社長と愛人」か「同伴出勤」みたいな絵になってしまうので、ベテラン男子レスラー&若い女子レスラーという組み合わせは難しいなと思った。

そういえば赤井さんがタッグ志願したときに秋山が
「やる気があるならきっちり教える。けどその前に一度デートだな」
みたいな余計なこと言って批判に晒されたりしてたのだが、俯瞰して見るならそういうのをフワッと言ってしまう程度に通常はコミュニケーションないということだと思う。結構そのへん健全にやってるんじゃないかな。

で、試合は今日も朱崇花さんがよかった。華あるよね。負けてしまったけど。
先週行われた赤井さんと朱崇花さんのシングルは見逃してしまったのでユニバースで見てみよう。

○第六試合 DDT EXTREME選手権試合~スペシャルハードコアマッチ 60分一本勝負

<王者>ジョーイ・ジャネラ vs 勝俣瞬馬<挑戦者>

アメリカインディー界の大物、ジョーイ・ジャネラDDT初登場。
昔サスケさんをアメリカに呼んだり、ヨシヒコとシングルマッチやったりしてたよね。

デスマッチファイターらしく勝俣と激しいハードコア戦。
今回はスタンド席の端の方で見てたんだけど、途中勝俣がやってきて通路下のテーブルに設置したジャネラに向かってダイブするのを間近で見てしまった。
久しぶり過ぎて「うわー!!」しか言えんかったけど、あとからあそこは「holy shit!holy shit!」ってチャントすべきだったな、と思った。

なぜかジャネラがドラマチックドリーム号に乗ってきたり(すごいスピードで向かってきたのを勝俣がバットでフルスイング)、画鋲が出たりハチャメチャな流れになり最後はジャネラ勝利。

これEXTREMEベルトが海外流出ということになるのだろうか。
アイアンマンみたいに向こうで勝手に回されて、気がついたらなぜかジョーイ・ライアンがチャンピオンとして来日、とかそういうのでもいいかと思います。

○第七試合 DDT UNIVERSAL選手権試合 60分一本勝負

<王者>高梨将弘 vs 上野勇希<挑戦者>

高梨の指名で決まった試合。
上野のスピードと瞬発力ある攻撃を高梨がかわしたり切り返したりして対応し、後半は速い展開での切り返し合戦。
そこから上野が得意のWRに持ち込んで逆転勝利。
歯車の噛み合った好試合。

高梨は上野を「これからのDDTのトップに立つ選手」と認識していて、その前にいろいろ教えておこうと思ったのかな、と思った。
長く見てると上野にはかつての飯伏さんを重ねてしまうところがあるのだが、高梨は飯伏さんとも試合してたわけで、こうやって団体の歴史をつなげていくんだな…と思った。

新チャンピオンになった上野の次の相手は「世界一入場が美しい」と言われる元ロイヤルバレエ団のイギリス人レスラー、「ロイヤル・ブラック・スワン」カーラ・ノワール。
これは見てみたい!

○セミファイナル DDT旗揚げ25周年記念スペシャル6人タッグマッチ 30分一本勝負

ディック東郷&佐々木大輔&KANON with MJポー vs 竹下幸之介&MAO&ヤス・ウラノ

4月からAEWに行ってた竹下が帰国、その凱旋と久しぶりのDDT登場になるディック東郷を含めた記念試合。

って竹ちゃんの帰国が「このままDDTに本格復帰」なのか「ビザの都合で一時帰国」なのか、いまいちハッキリしない。
たぶんAEWに呼ばれたらまた行くのだろうけど、このタイミングでの帰国の理由がちゃんと伝えられないので、どうしても「実家を出ていった息子が何の説明もなくいきなり帰ってきた」気分。
えーと、昼ご飯は用意するけど、そのあとは?みたいな。
なんでしょうね。
とりあえず同行の女性陣からは揃って竹下の長髪が不評でした。
いや強くはなってますけど。
一人だけ別格みたいになってました。

久々DDT登場のディックさんにMAOが積極的に当たっていったのは、彼がみちのくプロレスを見てたからだろうか。
東郷、相変わらずビシッとしてる。
ちゃんとしたシングルが見たいなと思いました。

KANONを見てるとダムネーションに入ったばかりの遠藤を思い出す。
今はひたすら吸収の時期だと思うので、頑張ってください。
この日は結構頑張ってました。

○メインイベント KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負

<王者>樋口和貞 vs 遠藤哲哉<挑戦者>

6.12サイバーファイトフェスでDDTチャンピオン遠藤哲哉がNOAHの中嶋勝彦の張り手で失神KO負けしたことは「事件」として受け止められ、久しぶりにプロレス界で広く見解が語られるトピックスになった。
規模も内容も違うけど、「語られる」という部分では橋本真也と小川直也の1.4事変を思い出す。

そこから遠藤が欠場し、復帰して樋口の指名で今回タイトルマッチが組まれた。
そこに関して青木真也が非常に芯を食った発言をしている。

要約すると
・サイバーファイトフェスのあの試合の時、離れたところにいた。リングの近くにいればすぐ行った(中嶋にやり返しに)のに、そこに自分がいなかったことが悔やまれる。
あのとき近くにいた、DDTの人間に行ってほしかった

・「恥をかいた」と(団体はイメージを打ち出して)言うが、言うほどかいてる?と思う。
俺は国民的な非難も浴びたし(中指事件…)、失神KO負けもあったし、何度も叩かれてきた。
それに比べると…とは思ってしまう。

・遠藤はサラッと復帰してしまった。あ、そういう復帰するのね、とは思った。
恥をかかされたんなら、やり返しにいかないといけないと思うんだけど

興味深いコメント連発してるのでぜひ全部見てほしい。

この件に関しては天龍のコメントもある。

・プロレスは離れ際が怖いんだ(と天龍は行ってるが実際には離れ際というより、通常のやり返しの攻防
ではないか)

・失神は仕方ない。ただ団体がかばうのはどうかと思う。

・樋口は両腕をぶらっとさせながら戦うところが気になる。

青木も天龍も、流してるのが当のDDTオフィシャルというのが興味深い。
団体側、選手側、第三者の視点が同時進行する。

樋口はチャンピオンになってから明確に強くなった。
この試合は「チャンピオンの樋口が挑戦者の遠藤を受け止める」という試合になってた。
遠藤は中盤まで以前と変わらない技のキレを見せてたが、後半失速したように見えた。
逆に樋口は強さはありつつ、遠藤が立ち上がってくるのを待つような場面が目立った。ダウンカウントを数えるレフェリーを止めることさえあった。
試合のコンセプトからその姿勢はわからなくはないが、それが多いと間延びする。
「強さを見せる」という事前の言葉と解離する。

樋口は強かったし、遠藤は頑張った。
通常の尺度なら何の問題もない好試合だったのに、私はなんとなくモヤモヤする。
「強さから逃げない」「強さを見せる」と謳いながら、そこにあったのは今までと同じものだったからだ。

「強さを見せる」のであれば、樋口は遠藤をKOしないといけなかった。
DDTの強さを疑わせることをしてしまった当の遠藤を否定すべきだった。
もちろんあれは事故である。遠藤の責任ではない。
でも樋口はその遠藤に対して「一回そこどいてもらっていいですか」と言うのが「強さ」の振る舞いだったと思う。

強さは孤独だ。
てっぺんに立つ人間は大勢の人間から狙われ、それをはね除けてトップに立ち続ける。孤独な行為だ。
けどそれに耐えられた人間だけがトップに立てるし、「強さ」を見せられる。
今の樋口からは「みんなで頑張りましょう」という協調の部分では美徳だが、戦いを見せる立場からは興を削がれる振る舞いが目立つ。

遠藤は試合後のコメントで「DDTは大丈夫」と言った。「ファンの人は胸を張ってほしい」とも。

残念ながらそれを決めるのはあなたではない。
見る側のファンであり、伝えるメディアだ。
あなたがするべきなのは「強さ」と「素晴らしさ」を感じさせる試合をすることで、自分で自分を保証することではない。
さらに「胸を張る」以前に、卑屈になる発想がない。
仮にNOAHに試合で負けたからといって、それはそれでしかない。
そこまで1つの試合に存在を上げ下げするほどの気持ちで見ていない。むしろ「そこまで入り込んでなくてすみません」という気持ちになる。

遠藤は言葉とは裏腹に、「俺はどこに行っても、どこに出しても大丈夫」という自信がないように思える。
自信があれば「好きに見てもらってかまわない」という態度になるはずだ。プレイヤーが言葉で補強しようとすればするほど、見る側は「自信ないのかな」という気持ちになる。
そこらへんは男色ディーノさんが一番わかってると思うので飲みに行ってほしい。

遠藤は少しDDTから少し外れた方がいいと思う。
海外団体に行く、国内他団体に出る、別の格闘技を修練する。
なんでもいい。
イメージを落としてしまったのだから、まったく別の付加価値をつけてから戻らないといけない。
付加価値をつけないと、今のままでは中嶋勝彦の前に立てない。
それ以前に中嶋の前に立ちたいかどうか、遠藤本人はまだ何も言っていないが。

中嶋はこの件について一切触れない。
それは「触れれば何かの形で遠藤を傷つける」とわかってるからだと思う。
さらに言うなら「自分が補助してまで遠藤を上げてやろう」という気持ちもない。
もちろんまったく別のフィールドにいたのだから、持てなくても無理はないのだが。

樋口は次の挑戦者に竹下を指名、竹下も受託した。
竹下はアメリカにまた戻りたい意向を示してるのにKO-Dに挑戦する。
それだけ聞くとやはりモヤっとする展開であるが、見てみないと何が起きるか、どう続いていくかはわからない。
見ていくしかない。

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