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12.9全日本プロレス後楽園大会雑感



私の「プロレス」に関する一番古い記憶は幼少のみぎわに父親の脇でテレビで見たドリー&テリーのザ・ファンクスとブルーザー・ブロディ&ジミー・スヌーカ組が戦う全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ」決勝戦の映像で。

なんとなく“いい人そう”だったファンクスを応援してると試合中にスタン・ハンセンが乱入してきて場外でテリーにウエスタンラリアット。するとテリーが失神。孤軍奮闘するドリーをブロディとスヌーカが蹂躙し、そのまま勝利。
3vs2の状態でファンクスをボコボコにしているハンセンとブロディ(とスヌーカ)に「きたねえ」と思っていると馬場が乱入してきて怒りの空手チョップを浴びせ、それに泣きそうな気持になりながら「行け行け馬場!」と思ったのを昨日のことのようにおります。 

時に1981年12月。私は7歳でした。

あれから38年が経ちました。
私はいい大人になりましたがあいかわらずプロレスを見ています。
ですが私どうこうというより、いまだに全日本プロレスが存続していて、「世界最強タッグ決定リーグ」が続いているのが驚嘆です。
もう42年もやってるんだよ!?
無形文化財くらいに表彰していいんではないだろうか。



会場到着が第二試合でした。公式戦からレビュー。


第4試合 
2019 世界最強タッグ決定リーグ戦
公式戦 30分1本勝負
ヨシタツ
ジョエル・レッドマン
vs
吉田隆司
ギアニー・ヴァレッタ


こういう「絶対に決勝に残らない個性派チーム同士の対戦」を見ると「あー最強タッグだなあ」と感じる。

長いソバージュヘアー、モジャモジャの髭、振り回すチェーンというギアニー・ヴァレッタ。
ブルーザー・ブロディが亡くなって30年以上経つのにいまだフォロワーは出てくる。
つくづく感じるブロディの偉大さ。

サイバー・コングはマスクを取ってもサイバー・コングでよかったと思う。
なに「吉田隆司」って。どっかの課長みたいな名前しやがって。

ヨシタツが胡散臭いナッツクラッカーみたいな技でヴァレッタから勝利。



第5試合 
2019 世界最強タッグ決定リーグ戦
公式戦 30分1本勝負
ゼウス
崔領二
vs
パロウ
オディンソン

昨年の世界最強タッグに初出場しハチャメチャな戦いぶりで絶賛されたパロウ&オディンソンの「The End」、今年も連続出場。
ちゃんとした公式戦は今日初めて見たが…ちょっと決勝出すには不安な雑さが散見。
しかしあんまり雑さを直すより、今以上にもっとパワーつけてめちゃめちゃやったら面白いだろうなあ。



第6試合 
2019 世界最強タッグ決定リーグ戦
公式戦 30分1本勝負
宮原健斗
青柳優馬
vs
ジェイク・リー
野村直矢

セミファイナルが始まる時点でリーグ戦優勝は

・ジェイク・リー&野村直矢
・諏訪魔&石川修司
・TAJIRI&KAI

の3チームに絞られていて、メインで諏訪魔組とTAJIRI組が当たるんだからセミのジェイク&野村は負けるんだろうなあ…とぼんやり思っていた。
業界最大規模のリーグ戦である新日本プロレスのG1クライマックスではどういうわけか「最終戦でセミファイナル以前に組まれた『決勝進出の可能性を残した選手』はすべて当日負ける」という魔の法則があり、当日の対戦カードを見ると「ああこの選手は決勝行かないんだな」とわかる不思議な出来事があるんだけど、それをついここでも思い出してしまい。
いかにも青柳が負けそうで負けずに頑張って、最後宮原が逆転勝利する絵が浮かんでいた。

ところが蓋を開けたら両チーム譲らぬ大熱戦になった末、最後はジェイクが宮原を逆転のバックドロップ一発でフォール勝ちしてしまったから二重にびっくりしてしまった。
まさかここでこんな結末とは。

これでなお優勝がわからなくなってしまった。



メインイベント 
2019 世界最強タッグ決定リーグ戦
公式戦 30分1本勝負
諏訪魔
石川修司
vs
TAJIRI
KAI

この試合の前に、リングアナウンサーから「この2チームのどちらかが勝てばジェイク&野村は同点で並ぶので、その際はメイン後に『優勝決定戦』を行います。この試合が引き分けまたはノーコンテストで終わればジェイク&野村が優勝です」と案内。『優勝決定戦』…!


最強タッグすべての試合を終えてないけど、得点経過だけで言うなら今年のMVPはTAJIRI&KAIだろう。
だって2年前に同じチームで出たときは最下位ですよ。
それが反則絡みだろうとなんだろうとここまで残ったんだから素晴らしいです。

TAJIRI&KAIは映画「ジョーカー」のペイントで登場。
開始直後からTAJIRIが毒霧→丸め込みで速攻勝利を狙うが諏訪魔に両手でガードされ、万力スリーパーでつかまると最後は口から毒霧をブホッと吐いたところでレフェリーストップ。なんという絵作り。

って3分しか戦ってない。セミファイナル20分以上あったのに!

このような結果、「全然ピンピンしてる暴走大巨人vsもうヘロヘロのジェイク&野村」による優勝決定戦が10分間のインターバルの後に行われることに。


Ex. 
2019 世界最強タッグ決定リーグ優勝決定戦
時間無制限1本勝負
諏訪魔
石川修司
vs
ジェイク・リー
野村直矢


ヘロヘロであってもなんであってもここまで来たからにはまっすぐぶつかっていくしかない。
ということで野村もジェイクもまっすぐ正面から暴走大巨人の二人に向かっていく。
しかしただでさえキャリアで劣る上にコンディションまで差があるとなると、場内は声援よりも「ああ~」というため息の方が大きくなっていく。

ところが。
やられっぱなしだったジェイクと野村が少しずつ反撃していく。
特にヘロヘロだった野村が石川との数十発にわたるエルボー合戦を制して倒したときから、場内のテンションが一段階上がった。
なんだかんだ全日本のファンは諏訪魔が好きなので、もともと声援は暴走大巨人寄りだったがこのあたりからよくわからなくなっていく。
野村が自分よりはるかに体格の大きい石川にマキシマム(変形デスバレーボム)を決めたときはジェイク&野村奇跡の逆転優勝かと思ったがそこから返され、石川のヘビーな攻撃を耐えに耐えて耐えまくった野村が最後はジャイアントスラムでついに力尽きた。



激闘二試合、あんなに頑張ったのに優勝できなかったジェイクと野村。
あんなに追い込んだのに勝てなかったジェイクと野村。
強かった暴走大巨人。
でも今日はあの二人に勝ってほしかった。


川田利明。田上明。小橋健太。秋山準。長井満也。諏訪魔。真田聖也。

最強タッグは若きレスラーが強くなっていくための階段舞台。
繋がれた歴史のバトンを手にしたジェイクと野村が来年は栄光をつかめますように。
いつか誰もが知るレスラーになりますように。

素晴らしい最強タッグ。素晴らしき冬の祭典。


https://www.youtube.com/watch?v=ryaQMEgT45U



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