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12.26DDT代々木大会「NEVER MIND 2021 in Yoyogi」雑感


もう今年も残すところあと2日ですがこないだの日曜日にプロレス行った観戦記を相変わらず長く書きます。  

2021年プロレス納め。

会場は代々木体育館第二競技場。
ここに来るとKUSHIDAとリコシェが決勝戦ったベスト・オブ・スーパージュニア決勝戦を思い出す。
あと闘龍門節々のビッグマッチ。
マグナムTOKYOvsミラノコレクションA.T.とかCIMAvs大鷲透を見た記憶があります。

うっかり会場前物販ブースで赤井沙希さんとツーショットチェキとか撮ってたら会場入るの遅れました。

○第三ダークマッチ 15分一本勝負
高木三四郎 vs 魔苦・怒鳴門

魔苦・怒鳴門に対抗したのか後から入場の大社長、カーネルサンダース風衣装で入場。
声が出せたら「KFC!KFC!」とコールしたかった。

いやカーネルサンダースの技って何…?粉をはたいて鶏肉にまぶしてカラッと揚げるくらいしか思いつかないぞ…?とか思ったがそもそも考えてみればドナルドにしたってベンチで両腕を広げて大股開いて態度悪く座ってるくらしか思いつかないので、まあ自由でいいんだと思う。

カーネルがプラスチックケースや有刺鉄線バットを持ち込んで(危ないよ)、最後はプラケースへの健太ッキーボム(=昔小橋建太が作ったオリジナル技。週プロが誌面で勝手にネーミングして以来、小橋が「名前がダサすぎる」と滅多に出さなくなった秘技)。
あっ…!

○オープニングマッチ 30分一本勝負

高尾蒼馬&翔太 vs 彰人&石田有輝

高尾と翔太の新タッグチーム「ROMANCE DAWN」お披露目試合。
高尾はどうして「そっち行っちゃダメ!」という方向に行ってしまうんだろう。
とりあえずこの「DDTで上がり目が見えないからガンプロへ」という悪しき流れはそろそろ止めてほしい。

○第二試合 KO-D6人タッグ選手権試合 60分一本勝負

<王者組>男色“ダンディ”ディーノ&飯野“セクシー”雄貴&今成"ファンタスティック"夢人 vs 青木真也&堀田祐美子&スーパー・ササダンゴ・マシン<挑戦者組>
※第44代王者組2度目の防衛戦。

青木が堀田に恋心を抱いており、その恋が成就するよう二人で大きな共同作業をさせて共に結果を得ることで結束させようとダンゴさんが暗躍して、その相手がフェロモンズという、いろいろ情報が渋滞気味の第二試合。

久しぶりにプロレスを見に来たみなさんが一様に「飯野はどうしちゃったのか」と驚いたり心配されたりハラハラしてたので、連れてきてよかったなあと心から思いました。
今年度のプロレス流行語大賞1位はグレート-O-カーンの『大空スバル式羊殺し』だったそうですが(知らなかった)、私はもう「セクシー」という単語からは飯野か小泉環境大臣しか思い浮かばなくなってしまいました。
「セクシー女優」とか聞くともう先に頭にピンク色のバスローブを着た半裸の男が思い浮かんでしまう。こんばんセクシー!


○第三試合 スペシャルシングルマッチ 30分一本勝負

近藤修司 vs 平田一喜

平田は2009年夏にDDTに入門、2010年3月にデビューしてるのだけどその前にドラゴンゲートで1年以上練習性をしていて、エキシビションまでやってるけどデビューはできずに退団したという。
はっきりした時期がわからないけど、2006年~2008年あたり。

近藤はもともとT2Pという闘龍門のスピンオフ団体でデビューして(エースはミラノコレクションA.T.だった)、その後闘龍門に合流して団体名がドラゴンゲートに変わった直後に2004年年末に「素行不良」という理由でドラゴンゲートを解雇されている。
そのとき近藤は『悪冠一色』というヒールユニットにいて、同じユニットには大鷲透がいた。
大鷲も近藤と同様ドラゴンゲートを解雇されるが、これ以降の二人は別々の道を歩む。
『素行不良』というのはいわゆる選手自身のチケット営業をサボタージュしたため、と言われてるが詳しい内容は明らかにされていない。

平田が練習生だった時代、近藤(と大鷲)はもうドラゴンゲートにいなかった。
なので直接の先輩後輩関係はない。
ただ体育会気質の強い近藤からすると「ドラゴンゲートに練習生でいた」平田は「後輩」みたいなものとして認識されている。
平田のダンスはマグナムTOKYOがかつて行ってたものを模倣しているものであり、近藤からするとマグナムは「最初に入門した団体の先輩スター選手」に当たる。(嫌いではあったみたいだけど)
なので近藤からすると「昔自分がいた団体を逃げ出した奴が、その団体のスターを模倣してお笑いにしている」と映ることになり、良い感情は抱かない。
そして近藤はあまり冗談が通じないタイプだ。

そんな近藤と平田のシングルマッチ。
入場でダンスする平田の眼前に近藤は登場し、平田を躍らせない。平田の攻撃にもほとんど付き合わない。
窮地に追い込まれた平田が「試合が決する前にこれだけ読ませてください」と手紙を取り出し、朗読を始めたときもちょっとだけ聞いてすぐに破り捨てる。
平田のDDT的なムーブを徹底的に封じる近藤。

困った平田がセコンドにつく大鷲に助けを求める。
すると大鷲はリングに上がって、コーナー上にいる近藤に大きな人形を投げた。ヨシヒコだ。
すると近藤はヨシヒコに大きく投げられる。

この場面は最高だった。

大鷲にとって平田はDDTに来てからのしょうもない仲間で、近藤はかつての自分の盟友だからである。
だからヨシヒコを使った。
冗談が通じないはずの近藤はヨシヒコの技を受け、大鷲は直接手を出さずに平田を助けた。

虚構とリアルと過去と現実が混ざりに混ざる。これがプロレスだ。

その後、平田が「奇跡を呼ぶ一発逆転首固め」を出すとカウント2.8で、いいところまで行ったが最後は近藤のラリアットに平田が散った。

近藤は試合後にこう語っている。

「平田はわざと弱く演じているようで勿体無いような気がするよね」

近藤は冗談が通じない。
でも相手のことはちゃんと見ている。
近藤修司は素晴らしいレスラーだ。

○第四試合 スペシャル6人タッグマッチ~坂口征夫復帰戦 30分一本勝負

坂口征夫&樋口和貞&赤井沙希 vs 鈴木みのる&クリス・ブルックス&伊藤麻希

坂口征夫復帰戦、というテーマが「5年ぶりにDDTに登場した鈴木みのるがクリス・ブルックス&伊藤麻希と珍妙なやり取りを交わす」に塗りつぶされてしまった。

鈴木みのるは序盤は伊藤に対して「てめえふざけたこと言ってるなよ?」と圧をかけてたのが後半になると伊藤に合わせてパンチを繰り出したり、本当に緊張と緩和を心得ていた。
わりとぐちゃぐちゃな組み合わせの中で、鈴木は試合全体の流れを見ながら「自分がどう動くと試合が盛り上がるのか」を熟知しているように見えた。
メジャーだなあ。
同時に、そんな鈴木に対してまったくいつものキャラを通した伊藤麻希もさすがだなと思った。ハートが強い。

一方のイラプションはちょっと損をしてしまった印象。
樋口、鈴木に向かって行ってほしかったな。
ああいうところで引いちゃうんだよなあ…。


○第五試合 BURNINGvsThe37KAMIINA! 30分一本勝負

遠藤哲哉&秋山準&岡田佑介&高鹿佑也 vs 勝俣瞬馬&上野勇希&MAO&小嶋斗偉

ダムネーションが解散してベビーフェイスに戻った遠藤哲哉が結成した新チーム、なんとBURNING。
かつては小橋建太が、その後秋山準が率いたチーム名だ。
遠藤は新チームを作るに当たって小橋のところに行って名前の使用許可をもらい、そして秋山準を参謀役として迎え入れた。

入場時、秋山準は着ていたガウンを脱ぐと、それを遠藤に着させた。
それは小橋引退試合の時に着ていたガウンだったという。
全日本-NOAH-全日本とつながれた「BURNING」という系譜がここでDDTに引き継がれた。
先日、秋山がジャンボ鶴田から引き継いだジャンピングニーを竹下幸之介に教えたことがニュースになったが、小橋建太~秋山準という歴史が全日本やNOAHでなくDDTに繋がっているのが興味深い。

試合は動きのあるスピーディな8人タッグだったが、最後は遠藤がシューティングスタープレスを見せてBURNING初陣を飾る。
高鹿と小嶋の若手二人ががんばってたのが目についた。
新しいチーム結成は若い選手が出てくる格好の機会でもある。

ところでサウナカミーナの入場曲の「サウナ行こう」って歌、ゆずなのね。途中からOffspringに変わるけど。



○第六試合 BLACKOUT presents DDT UNIVERSAL選手権試合 60分一本勝負

<王者>佐々木大輔 vs 高梨将弘<挑戦者>
※第5代王者3度目の防衛戦。

3年前、DDT総選挙1位を取った高梨が当時のKO-Dチャンピオン、佐々木に挑むタイトル戦は激闘になった。
シングルはたぶんそのとき以来。

今回高梨は「『チョコレートプロレス』の代表としてタイトル戦に挑む」という部分がフューチャーされた。
「チョコレートプロレス」はさくらえみが運営しているYoutube配信専用団体で、男女問わずいろんな選手が出ている。
高梨は少し前からそこでコーチをやっている。

バリアンヤッキ、星誕期、藤田ミノル、アントーニオ本多、新納刃(円華)、クリス・ブルックス…とチョコレートプロレス参戦選手が勢ぞろいして高梨のセコンドに付く。
高梨が勝つお膳立てが出来上がっていたように感じたが、勝ったのは佐々木だった。地力強い。

次期挑戦者は高梨のセコンドについていた藤田ミノル。
本来であれば10月に佐々木とのタイトル戦が組まれるはずだったがケガで流れた試合を改めてやろうじゃないか、と。

佐々木は10月に木高イサミ、高尾、高梨を挟んで来月は藤田とバラエティーに富んだ相手とタイトルマッチを続けている。
本来の趣旨である外国人選手を広く集めてという試合はできなくなったが、珍しいカードを続けることでベルトを活性化させている。

○セミファイナル WRESTLE UNIVERSE presents KO-Dタッグ選手権試合 60分一本勝負

<王者組>HARASHIMA&吉村直巳 vs 火野裕士&ボディガー<挑戦者組>
※第71代王者組の初防衛戦。

火野裕士&ボディガーって個々の実力はあっても見るからに即席タッグぽいな…と思ったら案の定、押すだけ押して最後逆転負け、みたいな試合だった。
吉村よく勝った、と言うべきか。

ここ最近の陰りの出てきたHARASHIMAがだんだん好きになってきている。
先のD王グランプリで樋口、竹下、MAO、クリス・ブルックスと全員年下の選手に4連敗して得点0の最下位、時代が時代なら引退危機報道まで出かねない結果なのに「まだ何かあるから」みたいなコメントして、最終戦の岡林裕二戦では岡林の怒涛の攻めに耐え切ってやり返し、消化試合とは思えない激闘の末に時間切れ引き分けに持ち込んだ試合なんか見てて感動してしまった。

吉村とのタッグも「ブレイクしそうでしない吉村をなんとか開花させたい」という意思がそこかしこに感じられて、ああ、自分のことしか興味なかったHARASHIMAも年とってこういう選手になったんだなあ…と深く胸を打つ。
なんだかんだHARASHIMAは棚橋弘至と同じようなポジションになっている。

○メインイベント ヤネカベ presents KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負

<王者>竹下幸之介 vs 岡林裕二<挑戦者>
※第77代王者2度目の防衛戦。

8月にKO-Dチャンピオンに返り咲いた竹下はシングルリーグ戦・D王グランプリも優勝。
そのリーグ戦で唯一勝てなかった(引き分け)岡林を相手にした防衛戦。

「(岡林を)パワーでも負けたくない、上回りたい」と言ってる竹下に「君は本当に欲張りだなあ…」と思う。
パワーは岡林のアイデンティティであり、他の部分はともかくそこでも岡林を超えてしまったら岡林はどうすればいいのか。
夏以降得意技にしてるプルス・ウルトラ(変型チキンウイング・フェースロック)にしても、このたび秋山準から教わったジャンピングニーパッドにしても、「まだ増やすの?」という気がしてしまう。

「プルス・ウルトラ」はラテン語で「もっと先へ」という意味だそうだが(「僕のヒーローアカデミア」でたびたび使われるそう)もうちょっと今いるところも大事にしたら?と考えてしまう。

しかし試合はそんなこちらのモヤモヤとは無関係に白熱した。
岡林の攻撃はぶ厚くて重いがゆえにちゃんと受けられない選手が相手だと盛り上がらないのだが、竹下はバッチンバッチン受けてやり返せるので、非常に盛り上がった。
見てない人に説明すると昔、石井智宏がNEVERのタイトルマッチで毎回やってたような試合でした。痛い試合。
こういうハードヒットなメインもできるのを見ると、まあそりゃ竹下がメインでやるべきだよな…と納得してしまう。

ここで岡林が勝って、来年3月の両国まで岡林がKO-Dチャンピオン…という絵を考えてたが、激戦の末竹下勝利。
8月に取り入れたフィニッシュのプルス・ウルトラも一回は岡林に返される、という流れにいろいろ消費が早いよ!と思うがこれが竹下の考えるプロレスなのかもしれない。
最後はプルス・ウルトラと卍固めの合体技みたいな技だった。

試合前の煽りVで
「これはDDTvsBJWですから。熱いですよ。ニュージャパンvsNOAHにも負けないですよ」
と竹下が膨らまし気味なことを言ってたので、もし岡林が負けたら試合後のビジョンにZOOMが起動し、画面の向こうに大日本プロレスの現在のチャンピオン・野村卓矢が登場する…という「リモート乱入」みたいな展開を考えてたのだが(大日本はこの日大阪で大会があった)、残念ながらZOOMは起動しなかった。
竹下幸之介vs野村卓矢、俺めちゃめちゃ見たいけどなあ。
やるときは来るのか。

DDTは年度最終興行の終了後に必ず「この一年を振り返る」VTRを流すのだが、今回も2021年を振り返った名場面と何人かの選手の締めくくりコメントが挟まった映像が流れて、ああこれも今年か…一年あっという間だな…という気分になって終了。
いい大会でした。満足感高かった。

あとプロレス見終わったあと何人かで飲みにいって、これも超久しぶりだったのでうれしかった。
プロレスで生かされてます。
来年も生きられますように。

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