武藤敬司引退試合の中継を見返して発見したこと

有料PPVで配信されてた武藤敬司引退試合が配信期間終わってレッスルユニバースに落ちてきたので見る。
現地で見てたけど、中継をもう一度見るといろんな発見がある。

・武藤がムーンサルトに行きかけたとき、実況が絶叫する脇で解説の棚橋が「やめた方がいい」とボソッと低い声で言った。
結局飛ばないんだけど、そのときの実況アナウンサーの「もう武藤に翼はないんです」がなかなかよかった。

・棚橋はずっと冷静なテンションで解説してたが、内藤が武藤の右足持ってドラゴンスクリューに行った時は「危ないですよこれ!」と叫んだ。
棚橋が大きな声を出したのはこの時だけ。
プレイヤーにしかわからない視点がある。

・内藤哲也に負けたあと、ニュートラルコーナー付近でずっとたたずんでいた武藤がチラッと振り返ると勝った内藤がリング中央でポーズを取っていた。
そのときの武藤の表情が「まだいたの?」以外のなにものでもなかった。
そして武藤は内藤に握手しにいくがその握手はおざなりで、小さく手の動きで「どうぞ(リングを降りてください)」というゼスチャーをした。
内藤はそれを見て無言でリングを降りる。
武藤がマイクを持つのはその直後で、その内容は観衆への来場の感謝とこれからのプロレス界はもっと驀進する、といった内容で内藤への言及は何もない。

ああ、やっぱり武藤は内藤のことはどうでもよかったんだ。
もしくは内藤に対して面白くなく思う何かが試合中にあったか。
なんにせよ内藤気の毒だなー。このあと新日で報われてほしい。

・「俺、やり残したことがあるんだよ。蝶野!リングに上がれ!」については、試合前に

武藤「今日さ、オマエ('=蝶野)と最後に試合するからな」
蝶野「いやいやいや、何言ってるの」

みたく蝶野は事前に言われてたけど、まさか本当にリングから呼ぶとは思わなかった…というラインだと思ってたんだけど、あれ、これやっぱり知ってたのかな…と映像見て思うようになった。
だって辻よしなりがゲストに呼ばれてて、蝶野がリングに上がる段になって「オマエが実況しろ」と突然指名されて、中継スタッフがそのまま「ではここからは辻さんが実況します」って、何も打ち合わせがなかったらおかしいよね(笑)

でも蝶野は事前にリングで試合することを承諾してたら、「どうしよう俺足もちゃんと動かないのにできるのかな」で頭がいっぱいになってとても解説なんかできない気もするんだよ。

ということで相変わらずプロレスって底が丸見えの底無し沼だなーと実感した次第。

・試合後にリングで「武藤敬司への詩」を送った古舘伊知郎、当日は「相変わらず目立つところで出てくるなー」と冷ややかに見てたんだけど、映像見返すと結構長い武藤への詩を全部原稿見ないでソラで語ってるんだよね。
あれはすごいことだ。
何日かけて覚えてきたんだろう。
ただ最後の『さよなら、ムーンサルトプレス』のくだりは古舘のオリジナルじゃなくて徳間書店から出た本の書名なんだけど、観客はそのこと知ってるだろうか。

やっぱり何でも映像で見返したり、一次情報に当たるって大事だね。


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