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DDT9.25後楽園大会雑感

時間たっちゃったけど日曜日に後楽園で見たDDTの雑感。

ここのところ週末が台風ばかりで、やっと雨の降らない休みが来た気がする。
隣の東京ドームはEXILE。EXILEのファンはみんなカラフルなTシャツやタオルをお召しになる。

試合前に男色ディーノさんのデビュー20周年記念書籍が徳間書店より刊行されることが発表。
さらには発売を記念した後楽園大会も開催。
来場者には書籍付き。

ということは通常のチケット代+2000円くらいの値段設定になるんだろうか。
書店でよくある本代込みのトークイベントの派生系ですな。
はいはいそこの人、「後楽園のキャパがだいたい1000人くらいだから、団体がこれくらい買い取って、ってことは初版が…」とか計算しない。

ということはディーノさんは「本の発売を記念して本屋でプロレス」とかやったりしないってことね。
よく考えるとDDTで個人の本出したのって大社長と飯伏さんしかいなかったんですよね。
ディーノさんいわく「ビジネス書と自己啓発書の中間くらい」だそうです。
たぶんその流れを作ったのって飛鳥新社の『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか』(2014年)だったんだよね。
あれが売れてからそういうタイトルの本が増えたんだけど…この先は居酒屋で。

○オープニングマッチ 30分一本勝負
MAO&朱崇花&赤井沙希 vs 大鷲透&平田一喜&アントーニオ本多

DDT日曜昼間の後楽園にありがちな平和な昼下がり。

○第二試合 いつでもどこでも挑戦権争奪3WAYマッチ 30分一本勝負
<挑戦権保持者>青木真也 vs 勝俣瞬馬<挑戦者> vs 飯野“セクシー”雄貴 with 男色“ダンディ”ディーノ<挑戦者>

バタバタした末に気が付いたら青木真也がフェロモンズ化していて勝俣に勝利、でもフェロモンズに入るわけではない、というややこしい結末。

先日DDT公式YouTubeチャンネルにアップされた男色ディーノさんのロングインタビューの中で
「私は2003年にDDTに上がって、2005年にKO-Dを獲ったわけだけど、あの時代に飯野“セクシー”雄貴がいたらもっと上に行ってたと思う」
という話をしていて「そうかもなー」という部分と「でも飯野は自分でやったわけじゃないからなあ」の部分が半々だった。
飯野“セクシー”雄貴がKO-Dに挑戦する試合は後楽園とかであってもいいような気がするけど。面白い気がする。

○第三試合 スペシャルタッグマッチ 30分一本勝負
西村修&川松真一朗 vs 彰人&納谷幸男

今月も登場、川松都議会議員。
見に行った人からだいたい不評。
本人はまじめにやってるんだけど、どうしたって「有名人特権」なり「政治力(チケット営業力)」を使ってリングに上がってるわけで、それをひっくり返すほどのキャラクターの魅力がないんだと思う。
だから来月くらいに平田あたりが「あんた、なんでここに出てるの?もう出ていけよ」とか言い出して、平田が通常のキャラクターを捨ててボコボコにしてしまって、そこまでやったあとに川松先生が1からプロレスを這い上がっていくようなストーリーをやっていけば多少支持されると思うんだけど…今のプロレスだと難しいかな。
昔、中牧昭二という人がそうやって泥にまみれながら少しずつ支持を得ていったんだけど…まあいいや。

○第四試合 30分一本勝負
佐々木大輔&藤田ミノル&KANON with MJポー vs 吉村直巳&火野裕士&大石真翔

ダムネーションTAと復活したΩ(オメガ=2000年代後半にK-DOJOで活躍した大石、火野らを中心としたユニット)の対抗戦。の前哨戦。
Ωって誰がいたか忘れたので今ウィキペディアで見てきた。
大石、旭志織、火野、バンビ、MIYAWAKI、稲松三郎、あと何人か入ったり出たり。だそう。バンビさんとか最近元気なんだろうか。稲松は引退したね。

試合後には劣勢の大石さんを加勢しに旭が乱入、2人でKANONに「サボテンの花」を決めていた。
久しぶりに見た。本番は10/12。

わりと乱戦な試合を見ながらKANONってずいぶん買われてるなーと考える。
KANON、キャリア3年。デビューはTAKAみちのくのJUST TAP OUT、今年の春にDDT移籍。26歳。プロレス入りは遅かったらしい。

KANONは身体は出来ている。
試合もそつなくこなす。
が、まだキャラクターがない。
フィニッシュの技もあるのかもしれないが、まだあんまり浸透してない。

しかし佐々木大輔の正パートナーに抜粋され、連日メインどころと対戦している。
秋のシングルリーグ戦「D王グランプリ」にも選出された。
大きな期待をされてる。

佐々木大輔のネクストミッションは「3年以内にKANONを一人立ちさせること」なんだと思う。
KANON、正田、高鹿、小嶋、石田、岡谷といったあたりが次のDDTを支えることになる。
今のところKANONと正田が一番その期待を受けていると思うが、さて。

○第五試合 30分一本勝負
遠藤哲哉&秋山準&岡田佑介&正田壮史 vs 高木三四郎&HARASHIMA&坂口征夫&高尾蒼馬

バーニングに期待の新人・正田を加えた4人vsDDT正規軍のマッチアップ。
大社長がこのあたりの人たちと試合するのは珍しい。
正田に「何年選手だオラ!」と90年代プロレスの名言を吐いていた。
今日も身体を張っていて頭が下がる。

いろいろ経過した末に、遠藤の脂っ気が抜けてしまったなーと思う。
初めて見た人は遠藤が秋山準より格上とは思えないのではないか。
来月から始まるシングルリーグ戦「D王グランプリ」でAブロックになった遠藤が紹介されたのは上野、吉村、ジョーイ・ジャネラに続く四番目だった。
タイトルを持っている選手を先に紹介したから、というのはわかるが、何か今の遠藤のポジションを反映しているような気がしてならない。
「今は樋口の時間」とおとなしくしている部分はあると思うが、遠藤がこのあと再ブランディングできるのかが気になっている。

○セミファイナル DDT UNIVERSAL選手権試合 60分一本勝負
<王者>上野勇希 vs カーラ・ノワール<挑戦者>
※第8代王者の初防衛戦。

本日の目玉試合。
元ロイヤルバレエ団所属、バレエダンサーにして総合格闘技とブリティッシュレスリングを学んだという「ロイヤル・ブラック・スワン」カーラ・ノワールが上野のユニバーサル王座に挑戦するタイトルマッチ。

「世界一入場で魅せる」というカーラの入場がこちら。
(先週の試合)
「客席から拍手も声援も飛ばない入場」というのをDJニラ以外で初めて見た。

ちなみに同行のFさんからは「黒鳥なのか孔雀なのかわからない」「黒潮イケメン二郎の入場の方が魅せてないですか」という辛めな意見が出ていた。まあ雰囲気ですよ雰囲気。

カーラ、試合になると動きが早い。
「師匠はザック・セイバー・Jr」という記述を見かけたが、それを信じさせてしまう程度にレスリングが上手い。
それを上野が同じテンポでやり返すので波長が合った好試合になった。

一進一退の末に勝負に出たカーラが決めたブラックホール・スリーパー
(動画参照)を上野が逃げ、逆転のWR。
初対決でありながらめちゃめちゃ噛み合っていた。
最近の上野の試合の中では一番よかったんじゃないかな。
ケニー・オメガが初めて日本来た時に飯伏さんとやった試合を思い出した。

カーラ、これで帰国らしいけどまた来てほしいな。
帰りにTシャツ買いました。

○メインイベント KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負
<王者>樋口和貞 vs 竹下幸之介<挑戦者>
※第79代王者2度目の防衛戦。

7月に樋口がトーナメントを制してKO-Dチャンピオンになり、樋口は「強さ」を売り出すようになった。
前チャンピオンの遠藤に防衛した樋口が次の挑戦者に指名したのは、ここ数年実質的なエースだった竹下幸之介だった。

極めて注目度の高いタイトルマッチなのに私には引っ掛かりがあり、それは竹下が秋以降に再渡米を宣言してることだった。
海外にまた行く選手に団体の至宝が渡るとは考えにくい。
ピュアな勝敗予測をしにくいマッチメークでもあった。

が、試合はそんな引っ掛かりを吹き飛ばす激戦になった。
とにかく二人とも当たりが強い!
昔でいう小橋とハンセン、最近だと関本大介と岡林祐二の試合みたく「筋肉質の大きなレスラー同士がガチガチにぶつかる試合」になった。
さらに一回り大きくなった竹下はかつてFMWに来ていたザ・グラジエーターを彷彿とさせたが、樋口もまたグラジのパートナーにしてライバルだったビッグ・タイトンのようだった。例えが古くて申し訳ない。

途中場外戦で、竹下が樋口を鉄柱に激突させると樋口はぶつかった状態のまま目を見開いて動かず、そこからユラ~と身体を動かすといきなりものすごい速さで竹下に頭突きを見舞っていったのが戦慄だった。
樋口はイラプション時代がなんだったんだろう…という感じで「何か抜けた」雰囲気をまとっており、迫力があった。
その樋口と大型化した竹下のぶつかり合った終盤は本当に見応えがあり、声援可というのもあって後楽園が沸きに沸いた。竹下も樋口もお互いフィニッシュを返し合い、どうなるのかと思ったら最後は樋口が身体ごとぶつかってそのまま抑え込む、相撲とかレスリングの根元みたいな形で3カウント。
事前にあれこれ考えてたのが吹き飛んでしまう、すごい試合だった。

試合後に「いつでもどこでも挑戦権」を持つ青木真也が現れ、樋口と握手。「次の防衛戦?」という空気になったところで坂口征夫がやってきて、次の挑戦に名乗りを上げる。
「おまえの強いところも、弱いところもよく知っている」と坂口は言った。
坂口と樋口は今年の6月までイラプションという同じチームで何年も戦ってきた。
物語はもう次に進んでいる。
気がつくと青木真也はいなくなっていた。
坂口の次になったのだろうか。

声援可というのもあって、非常に満足感の高い大会だった。
10年くらい前の、DDTが黄金期に向かってる時と同じ空気が出てきた気がする。

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