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1.1NOAH日本武道館大会雑感

WWEスーパースター、シンスケ・ナカムラ4年ぶりの日本凱旋、対戦相手はグレート・ムタと来たらそれはもう行くしかありません。
たとえそれが元旦であったとしても。

…と書いてるけど実際「え、元旦までプロレス行くの…?」という感じで家庭内の気温がまたさらに下がったので、プロレスリングNOAHの関係者様におかれましては来年以降開催をせめて別の日にしていただけないかと強く願う所存です。

という愚痴はさておき、日本武道館2階席の上までびっしり超満員!
コロナ禍以降で大箱がここまで入るの見たの初かも。

もろもろの事情で第4試合から。

<第4試合・6人タッグマッチ> イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr. 小峠篤司 吉岡世起 VS 望月マサアキ 望月ススム 望月ジュニア

ドラゴンゲートで令和に突如復活したM2K改めM3Kを初めて見る。
コスチュームはスカジャン&サングラス、入場曲はミッシェルガンエレファントの「G.W.D」、キックボードで入場…何もかもが懐かしい。

望月ジュニアは望月成晃のリアル息子です。
長くプロレス見てるけど「親子タッグ」を見るのはダスティ・ローデス&ダスティ・ローデス・ジュニア組に次いで2例目。

望月ジュニア、デビュー半年ほどのはずだが粗がない。よく育ててるなー。
マサアキが捕まってるジュニアのカットに入ると相手の小峠が「おいおいちょっと過保護なんじゃねーか?」と突っ込むのが面白い。

唯一ヘビー級のワグナーJr含め全員小気味よく動き、最後は横須賀、じゃなかった望月ススムが横須賀カッター。すべてに懐かしい。
今のドラゴンゲートを見てないので、逆にこの人たちがシュンスカイウォーカーとかと闘ってるのが想像できない。
今年は一回くらいドラゴンゲートに行ってみたい。

<第5試合・8人タッグマッチ> 船木誠勝 中嶋勝彦 征矢学 大原はじめ VS X 藤田和之 ケンドー・カシン NOSAWA論外

藤田組のXは最初覆面かぶった細身の男が連れてこられ、けど覆面取る様子はなく、もぞもぞしてると場内にイエローのライトと馳浩のテーマ!
そして馳浩登場!

いやーこれはびっくりしました。
少し前に石川県議会でどこかの議員が「来年2月に馳知事の盟友である武藤敬司選手の引退試合があり、知事がこの大会に(公務に穴を開けて)出ると言われてますが?」みたいな質問をされてて、それに馳が「そのようなことはありません」と答弁してたんだよね。
確かに元旦なら公務はないし。

しかし馳浩、超グッドシェイプな身体作っててすごい!
61歳だよ?それで県知事で。いつトレーニングしてるんだ…。

試合でも馳、ガンガン前に出る。
中嶋勝彦や船木誠勝の蹴りを全部胸で受け止めてたのすごい。
馳、ジャイアントスイングも見せ(さすがに苦しそうだった)、最後は大原にノーザンライトスープレックス!
完璧に投げてたよ!

しかしカシンとか藤田にとって馳ってプロレス界にスカウトした人だよね?こんな風にタッグ組むとは思わなかっただろうなー。
この試合を見た永田さんと中西学のコメントが聞きたい。

<第6試合・シングルマッチ> ティモシー・サッチャー VS ジャック・モリス

今のNOAHの外国人トップ対決みたいな試合。
キャッチアズキャッチキャンを学び、得意技はフジワラアームバーという遅れてきたUWFマニアみたいなサッチャーが勝つのかと思ってたらスコットランド出身の新鋭モリスが勝利。
前の試合が盛り上がりすぎていまいち熱が薄かった。

試合後、聞き覚えのある曲が流れて出てきたのはジェイク・リー!
全日本退団後どうするのか注目されてましたが、NOAHだったとは。
今後が気になるけど、ジェイクには新日本に行ってほしかったかな…。

<第7試合・GHCジュニアヘビー級選手権> (王者)AMAKUSA VS 宮脇純太(挑戦者)
※第52代王者の初防衛戦となります。

さときゅん改め剣舞改め覇王改めAMAKUSA。
ブルーを基調にしたコスチュームで、カッコよくなりました。
さときゅんをジュニアの柱にするのかー、と当初思いましたがなんかそれなりにうまく回りそうですね。もともと能力高い人だし。

対する宮脇は海外遠征からの凱旋。
オレンジ色のパンツを吐いてた若者…以上のイメージしかありませんでしたが金髪になって白のコスチュームで、微妙に清宮海斗とイメージ被ります。あとDDTの岡田佑介と。

AMAKUSAの場外背面アタックみたいな無茶目な飛び技がすごかった。
宮脇はこの一試合だけで強いインパクトはなく、まだもうちょい見ないとわからない。よさそうな気はするけど。
そういや今日HAYATA出てなかったね。

<第8試合・GHCタッグ選手権> (王者)杉浦貴 小島聡 VS 丸藤正道 KENTA(挑戦者)
※第62代王者組の3度目の防衛戦となります。

2000年代のNOAHを代表する名タッグ丸藤&KENTAがここで復活、杉浦&小島のあぶない刑事タッグに挑戦。
KENTA、NOAH時代のテーマ曲とか使うかなと思ったがBULLET CLUBの曲でした。
ただリングに上がると杉浦、丸藤との絡みは懐かしい空気があり、逆に最近レギュラーになった小島がやや肩身狭そうでした。

丸藤KENTAはギクシャクしながらも勝負どころで往年の連携を見せたりして、われわれ中年ファンを喜ばせる。この2人がここ武道館で三沢&小川のGHCタッグに挑戦した試合、見たなあ…とか思い出した。

試合は最後小島がKENTAをラリアットでピンフォール。ま、そうなるか…な結果。
一人だけNOAH生え抜きじゃない疎外感の中で小島、頑張りました。

<第9試合・GHCジュニアヘビー級タッグ選手権> (王者)YO-HEY Kzy VS 小川良成 Eita(挑戦者) ※第54代王者組の初防衛戦となります。

4人中3人がドラゴンゲート出身(あるいは今も所属)で、残る1人がゴリゴリの全日本スタイルの小川良成という不思議なジュニアタッグ。

Kzy(ケージー)はラッパーのキャラクターで、入場時も自分で歌ったりしゃべったりしている。
ドラゴンゲートでは「ナチュラルバイブス」というチームを率いてて、なんとなくダムネーションと共通するものを感じる。

というKzyやYO-HEYのリズムと小川のリズムは噛み合わせが良くないのか、やや単調に流れたように思えた。小川のところにAMAKUSAとか入ったらよかったんじゃないかな。

<第10試合 ダブルメインイベントI・GHCヘビー級選手権> (王者)清宮海斗 VS 拳王(挑戦者) ※第41代王者の3度目の防衛戦となります。

GHCタイトルマッチがメインイベントでなく、ムタvs中邑の前の実質セミファイナルになったことに清宮や拳王が「申し訳ありません」と謝ってたけど、そうやって謝られること自体が嫌だな、と思った。
試合順は進行の都合なり契約なりいろんな事情から決まるものであって、メインイベントじゃないからGHCの格が下がる…みたいに思われてるなら、それはそこまでのベルトなんだと思う。

結局、清宮も拳王も自分の試合にまだ自信がない。
自信があれば「ムタvs中邑、すごいですよね。僕も見たいです。ただ、試合はわれわれの方がすごいです」みたいに言えるはずだ。
試合順が前であっても、内容でインパクト残すことはできるはずで、そこをことさらフィーチャーしてマイナスのイメージだけつけるのが嫌だった。
単純に、楽しくないよね。
なんかNOAH周りは「否定こそが正義」みたいな価値観が強い気がする。
盛り上げるためのトラッシュトークの側面もあるけど、個人的にはあんまり乗れない。

というスタートからの試合だったが、始まってみれば熱戦だった。
清宮の仕掛けが異常に早く、10分過ぎにはフィニッシュに使ってるシャイニングウィザードやタイガースープレックス出したので「え、え?」と戸惑ったがそこから2人のラッシュが始まり、拳王のエプロンサイドへの清宮の腰を強打させるファルコンアローを経て、最後に清宮が初めて見る大技(変形のストレッチボムみたいな技)で決着つけたのは19分だった。
明らかに早い。

清宮と拳王にはおそらく「20分程度で終えるように」という指示があったのではないかと想像する。
それは不本意だったと思うし、屈辱でもあったと思うが、2人はやりきった。
19分の試合は濃く、ムタと中邑には難しいであろう激しい攻防があった。
これがMAXではなくても、2人は現時点で出せる最高の試合をした。
ムタと中邑に次はないが、2人にはいずれ次がある。
そのとき「お、清宮と拳王のタイトルマッチなら見に行くか」となる未来が2人にはあると思う。
中邑と棚橋も、武藤と蝶野も、最初の頃は古参ファンに「これがメインか…」と言われていたのだ。
それぞれがそれぞれに価値をつければ、2人の次の対戦は武道館のメインイベントを張れるものになる。
それはそう遠くない未来な気がするのだ。

<第11試合 ダブルメインイベントII・スペシャルシングルマッチ> グレート・ムタ VS SHINSUKE NAKAMURA

プロレス界久々のドリームカード。
このカードが10月に発表されて以来、中邑は「奇跡だ」とさかんに口にした。
WWEが契約中の選手を海外とはいえ他団体に派遣するなんて異例中の異例、特例中の特例だという。
1月22日に控えてるグレート・ムタラストマッチではAEWのメイン選手であるスティングとダービー・アリンが派遣されるし、武藤敬司=グレート・ムタを送り出そうという点については全てのプロレス団体が協力しようという意志を見せている。これがすごい。
本当に業界のリビングレジェンドなんだと思う。

前の試合が終わって暗転したあとの武道館全体からの(来たああ!)みたいな高まりがすごかった。
入場ゲートにバイオリンを引く人が現れ、印象的な旋律とともにWWEで使用されてるシンスケ・ナカムラの曲がヒットして白装束の中邑が登場したとき、本当に武道館が観衆の絶叫で空間が歪んだような感覚があった。
本当のスーパースターは身体の動きから表情の作り方、立ち止まるタイミング、すべてがよく出来ていて、見いってしまう。
宝塚のトップスターが出てきた時に感じるオーラと近い、けどそれ以上に圧倒的な“華”に酔いしれた。
これはもう言葉が出ない。
見てもらうしかない。

ムタの入場が終わって2人が向かいあい、試合が始まるとそれまでの異世界感から急激に現実世界に戻ってくる。
中邑は試合の作り方が抜群に上手い。
何も技を出してない時間に表情を作ったり、ちょっとした所作を見せたり、アピールしたりして間を作っていく。
言ってしまうとムタはそんなに動けないわけで、その人と「ビッグマッチのメインイベントに足る試合」を作らないといけない。
その難しいミッションを中邑は「間」で成立させていく。
そこが本当に見事だった。

試合が進むにつれ、だんだんSHINSUKE NAKAMURAが「中邑真輔」になっていく。
昔ムタがよくやってた花道ロングダッシュラリアットを中邑が見せた時、「グレート・ムタは僕のアイドルでした」と言ってたのを思い出した。
毒霧に苦しめられながら、最後はその毒霧を口移しで奪い取り(リップロック!)、逆に吹き返してキンシャサ!
本当にWWEを見てるようなフィニッシュだった。
中邑が短い感謝の言葉を述べると、慌てて花道を下がってたムタに駆け寄り肩を貸す。そして2人で一礼してエンディング。
場内に電気が点いても観客の拍手がなかなか鳴りやまなかった。

すごいものを見たな…という興奮で武道館を後にする。
伝説の夜に立ち会えたことを喜びに、明日から生きていこう。


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