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8.13新日本プロレスG1クライマックス33優勝決定戦・両国国技館大会雑感

今年のG1クライマックスに清宮海斗がエントリーされた時、久しぶりに興奮しました。
うおお清宮!
オカダ戦のリベンジがここで!
さらには棚橋戦!内藤戦!ザックセイバーJr.戦!
みんな見たい!

そう思ってリーグ戦概要発表されるじゃないですか。
まさかの4ブロック制。そして清宮のAブロックはSANADA、辻陽太、海野翔太、成田蓮、ヒクレオ、チェーズ・オーウェンズ、ゲイブ・キッド。
オカダはBブロック、内藤と棚橋、ザックはDブロック。

おおうこれは…そうか、決勝リーグで当たるんだな?
あれ、そしたらこれは優勝決定戦でオカダと当たるとか、そんなストーリーあったりする?
そうでなくても過去G1で他団体のトップ選手を呼んだ時は、だいたい優勝決定戦かベスト4くらいまで行くわけですよ。
秋山準、藤田和之、川田利明、全日本時代の小島聡。

というわけで「清宮は優勝はしないかもだけど決勝戦まで来る」と予想して、優勝決定戦のチケット買いました。
G1のチケットがこれまた高いんですよ。
通常の大会の倍くらいで売る。
優勝決定戦の両国なんか、2階席の一番高いところが10,500円、マス席20000円ですからね。
でも買いましたよ。お盆休みだし繁忙期価格だと思って。

そしたらどうですか。
清宮、Aブロック予選敗退じゃないですか。
清宮!きよみやー!
おまえ何やってるんだ!!
泣いてるぞ!
三沢が泣いてるぞ!!

…失礼、取り乱しました。

いや、まさか予選で負けるとは思わなかったですね。
ジェイクに負けてGHC落としたとはいえ、NOAHのトップですよ?
GALAXY VIEW(サムスン社のAndroidタブレットではない方)ですよ?

TOKYOFMの『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』に出て、プロレスに興味のない山崎怜奈から
「すみません、この得意技の『ジャーマンスープレックス』ってどんな技ですか?」
と聞かれても
「えっとですね…相手選手の後ろに回って、こう…背後に投げるっていうか…」
と音声しかないラジオで一生懸命ジャーマンの模写をしてたり、J-WAVEの「葉加瀬太郎のANA WORLD AIR CURRENT」に出演した時はカナダに遠征武者修行に出てる間にホームシックになって、日本語の歌を聴くと余計里心がついてつらくなるから、そうだ!歌詞のない歌を聴こう!と思いついてインストゥルメンタルの曲ばかり聴いてる時にたどり着いたのが葉加瀬太郎の「情熱大陸」で、「なんていい曲だろう!」と心揺さぶられ、しかもその曲を作ったのが同じ日本人であるということに励まされ、それでカナダで奮起してまた頑張って、帰国してから僕はすぐに葉加瀬さんのコンサートに行きましたよ…!と話してた清宮ですよ?
葉加瀬太郎のコンサートの客層ってわりとアダルティーで、『情熱大陸』を演奏するときは観客がジュリアナ東京で振られてたような羽根つきの扇子(「はかせんす」)を振り回す謎の風習があるんですが

カナダ遠征から帰国した時点で21歳だった清宮が、大半中年客で占められる葉加瀬太郎コンサートではかせんす降ってたらめちゃめちゃいい話じゃないですか!
それは応援したくなるよ!

という清宮が予選で脱落するのは、本当に予想外でした。
そりゃ拳王だってYouTube緊急配信で清宮脱落をネタにするよ…てか拳王、もうただのNOAHファンみたいになってるし。

そんなわけで清宮が脱落し、期待された令和闘魂三銃士の海野、辻、成田も全員脱落、個人的には今年行くんじゃないかなと予想してたタイチも脱落して、ベスト4に残ったのがオカダ、EVIL、内藤、オスプレイ。
その結果2023年のG1クライマックス決勝戦はオカダvs内藤戦になりました。
なんだろう…いろんな大会注目選手が挙げられた末に決勝戦は大阪桐蔭対智弁和歌山になりました、みたいな。
「そうですか」しかコメントがありません。
そんなG1決勝戦。
夏ですね。


第1試合 タッグマッチ
矢野通&オスカー・ロイベ
vs.
清宮海斗&大岩陵平 

そんなわけで新日本プロレスはわざわざNOAHからトップ選手を借りて第一試合で矢野通と当てて、何がしたいんだろう。
「清宮君もNOAHだとトップかもしれないけど、うちに来れば海野や辻たちと同列だよ」
と出したかったんでしょうか。
なんかやな感じ。
公正取引委員会に「優越的地位の濫用」で引っ張られたらいいのに!
(あれはもうちょいシリアスな事案ですが)

そしてそんな新日本の「君はまだヤングライオン」みたいな冷たい扱いをポジティブに真に受ける清宮。

清宮…いい奴なんだろうなあ。
まあ清宮かて本当は同年代の選手同士でやりたいんだろうしね。
拳王はライバルぽくしてるけど10歳離れてるし。

第二試合からセミファイナルまで驚異の鍋試合連発。
しかしメジャー団体ってリーグ戦優勝決定戦の日って意図的に他の試合の印象残らないようにするよね。
昔の全日本チャンピオンカーニバル決勝戦とかもこんな感じだったし。

第2試合 8人タッグマッチ
永田裕志&本間朋晃&海野翔太&マスター・ワト
vs.
鈴木みのる&エル・デスペラード&成田蓮&中島佑斗

新日本は海野と成田、後半出てくる辻を売りたいんだなと入場や試合の扱いの良さで実感する。

 
第3試合 8人タッグマッチ
棚橋弘至&石井智宏&エディ・キングストン&YOH
vs.
真壁刀義&天山広吉&小島聡&タイガーマスク

今日は所属選手全員出すことにしたんだな、と感じさせる青コーナー(真壁組)。
天山を超久しぶりに見た。コンディションあまりよくなさそうで。
KAMINOGEで「自分が(生え抜きだと)新日本で一番キャリアが長くなりました」って言ってて、そうか…もう天山が最古参な時代なのか…と感慨深かった。
歳取るわけだ。

https://twitter.com/kaminoges/status/1688447053352034305?t=MGO9nFFLT88TOKqRB3mtvw&s=19


KAMINOGEではお決まりの新人時代のつらかったあんなこと、こんなことの話をしてて、世の中が「業種に限らず新人は先輩社員の言うことを聞いて成長するもの」って不文律が強かった1990年代のことを考える。
天山や西村、小島、真壁あたりからはしばしば当時の理不尽な話を聞くが、「それに耐えられる奴でないとプロレスラーにはなれない」って考え方だったんだよね。
だから今の世の中の基準で言うと「橋本は…」「ライガーは…」みたいになるんだけど、彼らも当時はその価値観に狂ってたわけで、そのへんを踏まえながら聞いてやらないといけない気がするんだよね。
戦争中、敵陣の町や村で人を殺した元兵士を平時になって「あの爺さんは戦争中にね…」と言うのと似てて。

なんの話だっけ。あ、天山。
天山が出てくるといまだに「(シュー)」とモンゴリアンチョップを打つときの呼吸音を真似する観客が結構まだいて「え?まだこんなことやってるの?」とびっくりした。
あれオールドファンがやってるのか?それを若いファンが真似してるのか?
普通に感じ悪いぞ?


第4試合 8人タッグマッチ
後藤洋央紀&YOSHI-HASHI&田口隆祐&ボルチン・オレッグ
vs.
ザック・セイバーJr.&マイキー・ニコルス&シェイン・ヘイスト&藤田晃生

マイキー・ニコルスとシェイン・ヘイストのチーム「TMDK」が"The Mighty Don't Kneel゛(「強きものはくじけない」)の略だと知って、ちゃんと意味のある名前っていいなと思う。
なんだよ毘沙門って。七福神かよ。「戦いの神」みたいな趣旨でつけてるんだろうけど、おまえそれもともとは財宝の神だぞ。
記者会見は毎回神楽坂の善國寺でやれよ!

って描いてて思い出したけど、昔神楽坂のロイヤルホストで友達とバカ話してたら店内に後藤洋央紀がフラッと入ってきたことあって。
声かけたら握手してくれた。めっちゃいい声で「今日は試合見に来てくださったのですか」と聞かれた。
試合…?とポカンとしてしまい、いえ、たまたまそこでご飯食べてて…と説明したら「ああ、そうですか」で終わって、そのあと席戻ってググったらちょうどその日後楽園で試合あったみたいで、試合終わりでやってきたようだった。
あれは悪いことをしてしまった。
ああいうときは嘘でも「はい、見てきました!」と言うべきだったな…と反省するぐらいに後藤さんはいい人だった。

だからこの試合でどちらを応援するかと言われればそらTMDKです。
だってNOAH出てた時から見てるし。がんばれTMDK。

第5試合 10人タッグマッチ
タマ・トンガ&タンガ・ロア&ヒクレオ&エル・ファンタズモ&邪道
vs.
デビッド・フィンレー&KENTA&チェーズ・オーエンズ&アレックス・コグリン&ゲイブ・キッド

ごちゃごちゃしてるけどバレットクラブの「本家」vs「元祖」の分家闘争みたいな試合。
さっき天山が生え抜き最古参という話したけど、純然なキャリア最年長は邪道じゃないかな。
いいキャリアになりましたね。

今バレットクラブのトップはデイブ・フィンレーの息子なんだな、と思う程度におじさんです。

第6試合 8人タッグマッチ
鷹木信悟&辻陽太&高橋ヒロム&BUSHI
vs.
ウィル・オスプレイ&ジェフ・コブ&グレート・オーカーン&HENARE

辻は買われてるなあ、というのは入場や扱いを見ればわかるんだがまさかオスプレイに勝つとは思わなかった。それもスピアーで。
いや、いいんだけど、体格良い若手=スピアーってアメプロぽいなあ、と。
まあ鈴木健三さん以来やってる人いないからいいのか。

「オーカーン、このあとどうすれば委員会」が立ち上げられることになりました。

第7試合 8人タッグマッチ
SANADA&タイチ&金丸義信&DOUKI
vs.
EVIL&高橋裕二郎&SHO&ディック東郷

金丸とかDOUKIとか東郷さんとか職人タイプにきっちり仕事が与えられるのはやっぱり外道さんの影響なんだろうか。

リニューアルされたSANADAを初めて見たがコールドスカルがイメチェンしたと言うより「長らく行方不明だった真田聖也さんが発見されました」という感じだった。
もともとエースぽい育て方をしてましたしね。武藤さんが。
人気も出てきたようだし、よかったね。

試合後にチャンピオンのSANADAをロープ宙吊りにして、リングアナウンサーに「IWGP選手権はEVIL選手に譲渡します」と無理矢理言わせるプレイを眺めてて、DDTだったら今林さんがすぐ来て「ちょ!ちょ!おい!何やってんだよ!」と突っ込んでくれるのになあ、と思ってました。
新日本には突っ込み役が常に不在。 

私は今年のG1、タイチが優勝すると思ってました。
タイチちょっとがんばれよ。一回くらいはIWGP獲ろうぜ。 
オールド全日本ファンがあんたの後ろについてるぞ。

G1クライマックス33 優勝決定戦
オカダ・カズチカ vs. 内藤哲也
※蝶野正洋がスペシャルゲスト解説

NOAHから清宮参戦、AEWからエディ・キングストン参戦、令和闘魂三銃士の初参戦…とニューカマーがいろいろ話題になりながらフタを開けてみれば決勝は安心安定の定番対決。
まだ若手に任せられないんだなあ。
オカダは35歳、内藤は41歳になりました。

二人ともここに至るまで連日シングル続きだったからか、明らかに身体が重い。
それでもさすがの二人、両国のメイン、G1決勝にふさわしい激闘してたと思います。
内藤ががんばってましたね。
30分経過したあたりでも「よくこんな動けるなあ」と感心しました。
最後まで決定的なレインメーカーを食らわないよう交わし続けて、デスティーノを連発。
6年ぶりの優勝が決まった瞬間、国技館が爆発してました。
すげえなあ内藤。こんな人気あるんだな。
そもそも両国駅出たところから「こんなにロスインゴのTシャツって種類あるんだ」と驚くくらい、いろんなロスインゴTシャツ着てる人がいましたけど。

内藤もコロナ禍の2020年とかはチャンピオンだったけど(神宮球場で花火をバックに寝転んでたのが印象的)、そのあとはコンディションもあったのかあまり第一線にはいなかったように思います。
回ってくるのはやれ拳王や金剛との対抗戦とか、やれ武藤敬司引退試合の相手…と思ったら蝶野戦の刺身のツマだったとか、そんな仕事ばかりで。

だから久しぶりにこうやっていいところ獲れて、よかったなあと思います。
武藤引退試合を見たら誰だって「このあと内藤少し報われてほしい」と思っただろうし。
半年遅れでやってきました。

東京スポーツに手記が出てましたけど(さすがにこれはファミレス取材じゃないんだ)

これ読むと本当にコンディション悪そうです。
でも、悪いなりにやらないといけないんですよね。人生も仕事も。
悪いなり「今」を頑張らないといけない。
マイナスが増えてくる中年には沁みる言葉だよ、内藤。

内藤はマイクで
「このリングの主役は、俺!」
と言った。
ちょうど10年前、G1初優勝したけど人気はなくて、冷ややか視線にさらされてた時代の決め言葉。
当時はうっすい反応だったのがこの日は大歓声だった。
あれから時間が経って、コンディションとは引き換えに手に入れたものもたくさんあったじゃん、内藤。

あらためてプロレスは時間軸を見るものだなと感じる。
若いと思ってた1982年生まれの内藤も、飯伏さんも、鷹木信悟も、みんな40を超えてベテランになってきた。
時の流れには逆らえなくても、今あるものを、今できることを見せ続けてほしい。
それが私たちを勇気づける。
プロレスに元気をもらった私たちが日々の仕事を頑張ることで少し世の中がよくなったとしたら、それは「プロレスが世の中をよくした」ことだと思うんだよね。

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