いのくま あつし

介護の仕事をして8年になります。介護・福祉についての経験、考え、学んでいることをストー…

いのくま あつし

介護の仕事をして8年になります。介護・福祉についての経験、考え、学んでいることをストーリーにしてみたいと思います。事実と理解を手がかりにしたフィクションです。よろしくお願いします。

マガジン

  • チャレンジ 介護士篇出版プロジェクト

    はじめまして。いのくま あつし です。介護の仕事を始めて8年になります。この間に、私が経験したこと、考えたこと、学んだことを物語(フィクション)にしました。私のことでも、他の誰かのことでもないけれど、誰かが経験していること、誰かが考えていることを一つのストーリーとして取り上げています。

最近の記事

『チャレンジ 介護士篇』の出版について(プレスリリース)

介護士の物語『チャレンジ 介護士篇』の出版について 令和3年 6月 1日 猪熊経営経済研究所 代表  猪熊 篤史 【連絡先】 Eメール: ainokuma44@gmail.com  猪熊経営経済研究所では、起業、企業経営、非営利組織の運営から、地域づくり、政治、国際関係まで幅広い分野に関心を持ち研究活動を進めています。  代表者である猪熊篤史は、1993年に大学卒業後、証券会社勤務やボストン大学のビジネススクール(大学院)への留学を経て、経営者を育成するビ

    • 利用者サービスの個別論と技術論

       介護施設における利用者サービスには、排泄、食事、入浴、移動・移乗の介助などがある。これらの利用者サービスの質を高め、また、個々にどのように効率化出来るかという問題意識から私の経験した介護施設における介護サービスの様子は出来るだけ明確に手順に従って書かれている。オムツ交換とレクリエーションの様子を取り上げている「オムツ交換とレクリエーション」は他の話と比べて比較的多く読まれていて、利用者サービスに関する話としては上位にある。  出来れば、そのような利用者サービスについて読者

      • 介護現場でのコミュニケーション

         介護現場での課題は、大きく分けて2つだと思います。一つは、高齢な利用者とのコミュニケーションであり、また、同じ現場で働く他の職員とのコミュニケーションです。耳が遠かったり、自身の事で精一杯になっていて周囲に注意が払えなくなっていたり、認知症を患うなど、投げかけられる断片的な会話によって論理的な会話にはならなかったりする高齢な利用者とのコミュニケーションは重要でしょう。もう一つ、それと同じくらい重要なのは、現場で一緒に働く職員といかに意思の疎通を行うかということです。「おはよ

        • ノーマライゼーションとファーストペンギン

           「障害のある人もない人も、互いに支え合い、地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会を目指す(厚生労働省)」という考え方がある。「ノーマライゼーション」と呼ばれる概念であり、福祉の理念となっている。この言葉を最初に私が知ったのは、介護・福祉の仕事や勉強を始める前に、市議会議員として福祉政策について市の説明を聞いた時だった。そんなことも知らなかったのかと一部の方々からは叱られるかも知れないが、この言葉を聞いた私が考えたことは、「ノーマル=普通、標準」、「普通にする」、「標

        『チャレンジ 介護士篇』の出版について(プレスリリース)

        マガジン

        • チャレンジ 介護士篇出版プロジェクト
          60本

        記事

          分析的思考と認知症

           私は8年程前までビジネス講座の講師をしていた。経営戦略、マーケティング、会計、ファイナンス、リーダーシップ、アナリティカル・シンキングの5科目の講師をほぼ一人でこなしていた。これは、アメリカのビジネススクールで経験したことを、日本において社会人を対象に再現して、ビジネスの効果・効率を高めるために役立てて頂ければと考え、構成してきたプログラムであった。  アナリティカル・シンキングは、「分析的思考」を扱ったものであり、全経営プログラムの中で導入的な基礎講座に位置付けられてい

          分析的思考と認知症

          海野のガールフレンドのリサ

           チャレンジ介護士篇の主人公・海野総一のガールフレンドの大野リサ。彼女も著者である私の想像が生み出した人物です。実在はしません。  リサは、海野が勤める投資会社の同僚の友達の友達で、海野とはパーティで知り合います。海野がアメリカに留学をしていたことがあり、リサの祖母がハワイに住んでいたことがあったことから、何となく気が合い、交際が始まります。物語に登場するリサの年齢を著者としては20代の半ばくらいを想定しています。  リサは、黒い大きな水玉の白いワンピースを着て物語に登場

          海野のガールフレンドのリサ

          主人公・海野総一と私

             「スキ」の数こそ少ないが、チャレンジ介護士篇を読む多くの人に関心を持って頂いているのが、主人公である海野総一についての話です。既に紹介した「ボランティア活動、介護と医療(4)」には及びませんが、全60話の物語の中で2番目に読まれているのが「海野総一(2)」です。その前の「プロローグ(1)」を一つの物語(第1部)が完結した後に誤って削除してしまっていますが、当初のものと新しいものを読んで頂いている閲覧数を足すと「海野総一」を少し上回ります。この辺から、チャレンジ介護士篇

          主人公・海野総一と私

          介護・福祉の仕事を始めた理由

           7年前に、私が介護・福祉の仕事を始めた理由は、色んな要素があると思う。1)もちろん、何か仕事をしないと収入が得られなかったから、2)介護・福祉の仕事に興味・関心を持っていたから、3)求人が結構多くあったから 何の仕事でも、そうだと思うが、基本的には、そんなところだろう。  仕事を失った理由は、結構センシティブなので別の機会に。介護・福祉の仕事に興味・関心があった理由は、今後数十年は明らかに高齢者の人口が増えて、人口に占める高齢者の比率も高まっていくから。そういう私も高齢者

          介護・福祉の仕事を始めた理由

          クラウドファンディング開始のプレスリリースを行いました。

          ★下記のプレスリリースを行いました。 記者クラブ 御中 介護士の物語「チャレンジ介護士篇」出版のためのクラウドファンディング開始について 令和2年11月16日 猪熊経営経済研究所 代表  猪熊 篤史    猪熊経営経済研究所では、ベンチャー・起業、企業経営、非営利組織の運営から、地域づくり、政治、国際社会まで幅広い分野に関心を持って研究活動をしています。  代表者である猪熊篤史は、1993年に青山学院大学を卒業後、野村證券など証券会社勤務やボストン大学のビジネ

          クラウドファンディング開始のプレスリリースを行いました。

          クラウドファンディングを始めます。

           しばらく投稿が止まっていました。いのくまあつしです。5月からnoteでこっそりと執筆を始めた『チャレンジ介護士篇』。当初から本にするつもりで執筆していました。昨年の秋に書き始めて2万字を目前に書けない、進まないの壁に激突!!今年に入ってから新型コロナの流行と仕事の自粛、リモートワークの推奨などもあって、時間が出来たと言うか、することが無くなった機会をとらえて、書きためておいた原稿を小出しに公開。毎日更新していたのが、途切れ始めたのが、荒野を開拓するフェーズに入った証拠。

          クラウドファンディングを始めます。

          あとがき

           『チャレンジ 介護士篇』を最後までお読み頂き、ありがとうございます。私が、8年前に介護の仕事を始めてから経験したこと、考えたこと、学んできたことを一つのストーリーとしてまとめる試みにお付き合い頂いた皆様に、心より感謝いたします。  ここに登場する人物は、実在しません。それぞれにモデルとなる人物は存在しますが、一人の登場人物には複数の人物像が投影されています。むしろ、共通点を持つ人物は多いのではないかと思いますが、特定の誰かのことではありません。また、そのような人物を非難す

          プロローグ (1)

           海野は芝生に寝そべって空を眺めている。遠く突き抜けるような青空を見上げている。風もない、静かな空。何も求められない自分だけの世界が広がっていた。鳥が空を横切っていく。視界の外でバタバタというヘリコプターのプロペラの音が聞こえた。暖かい日差しに包まれて、空に吸い込まれていくような感覚さえある。無限に続く透明な空間がそこにあった。  海野は、慌ただしさを離れ、草の香りのする大地に寝そべり、地球に体重を預けている。目を閉じるとどこからともなく女神のささやきが聞こえてきそうな午後

          プロローグ (1)

          転職とガールフレンド (5)

           病院に勤める海野の両親は、海野を医者にすることを考えていたのだろう。それでも、海野は医者ではない両親の気質や才能を引き継いだのか、両親に反発したのか、医者にはなりたくないという意識があった。海野には、医療で病気や怪我を治すよりも健康を維持することやそんな働き方に関心があったのかも知れない。  海野は、会社を辞めて、しばらくは友人に会ったり本を読んだりすることが楽しかった。特別にしたい仕事はなかった。ビジネスプランを物語を書くように考えるのは楽しかったが、それを人生を賭けて

          転職とガールフレンド (5)

          ボランティア活動、介護と医療 (4)

           海野は、アメリカに留学して、アメリカでは、お金を儲ける活動とボランティア活動が明確に切り離されていると感じた。お金を儲ける活動では、ひたすらに利益を追求するが、ボランティア活動では、見返りを求めず、文字通り身を捧げて仕える。日本では、働く事がそのまま奉仕活動でもあり、会社に自分の時間と忠誠を惜しまず捧げる事に対して一定の対価が払われているようだ。時代は変わっても、日本人の価値観では、年功序列により定年退職するまで一つの会社に勤め、残業代を請求することなく朝早くから夜遅くまで

          ボランティア活動、介護と医療 (4)

          金融街からの新たな道 (3)

           海野が働く日本オフィスの損失は限られたが、アメリカの本部を中心とする世界的な損失は大きかった。そのため海野の会社は開設してからまだ数年の日本のオフィスを閉鎖することになった。海野は、再びアメリカの本部で働くように誘われたが、日本オフィスの他のメンバーと日系企業に移籍することにした。日本に帰ってくると今度は日本から離れられなくなった。  市場の環境が良い時は楽観して有頂天になるが、悪い時は絶望に沈む。遠くから眺めれば、人が浮かれている時が天で、悲観に暮れる時が底になる。とて

          金融街からの新たな道 (3)

          海野 総一 (2)

           名前は、海野 総一。海野は、病院で技師をしている父と事務員の母の間に生まれた。3歳年下の妹がいる。海野は几帳面な父と大雑把で感情的な母の愛情を受けて育った。共働きの両親のおかげで、裕福という程ではなかったが、両親が仕事の時に親戚の家などに預けられていた以外、特に不自由なく幼少期を過ごした。海野が中学生の時に父親が投資に失敗して、海野の両親は大喧嘩をした。海野の父は母に内緒で投資話に手を出して、その損失を埋めるために貯金を使い込んでしまった。父母は離婚はしなかったが、海野はこ

          海野 総一 (2)