多様性という名の女子枠
…が、流行っている。
女子枠に大注目。
Xでは批判の声も多いが、この流れは止まらないだろうというのは理解できる。
批判ごときは「引き続き、丁寧に説明を尽くしていきます」でいなせる。
だって国が推奨してるんだもの。
上の記事にもそう書かれていた。
例にあげられた"理工系分野の女子"の原文はこちら。
そのさり気ない例示だけで、他の"多様な入学者"を全部吹っ飛ばすほどの圧《お上からのお達し》。
それこそ以前話題になっていた慶応義塾大学とワタミの男性差別キャンペーン、あれなんかまさにこういった国の方針に沿ったものなのかもしれない。
多様性の確保とは『女子』を援けることであると。
いくらお上だとて”多様な背景を持つ学生”を性別で括ってしまうのは、あまりに乱暴な話じゃないか。
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私は女子枠が嫌いだ。
女が女であることで一芸入試するようなえげつなさを感じる。
"多様な入学者の選抜"を掲げるのは理工系だけで、男子の少ない文系や看護・保育関係の分野に男子枠をつくろうという声は皆無で、『多様性』が建前に過ぎないことを隠す気がないところも。
昨今では、男性保育士や男性介護士に対する風当たりが強い。男性産科医に対する誹謗中傷も、SNSで何度か見かけた。男児でさえ。
社会の流れは確実に、男を追い詰めている。
「歴史的に差別されてきた女性が今それをやり返すのは仕方ない」という意見まである。
それはもう戦争なのでは?
私なんかはそう思ってしまうのだけれど、女子枠に否定的な女性というのはほとんど見かけない。
『女ならではの優待サービス』程度の認識だろう。
実際に女子志願者は増えているというし、この策は功を奏しているのかもしれない。
ただ一点、"男子志願者を排斥している"という弩級の副作用を除けば。
ひとつ理解しておかなければいけないことがある。
女子枠を導入する決定権は、主に男性にある。
現状のお偉いさんはほとんどおじいちゃんだ。
どれだけ賢くても偉くても、『男尊女卑による慈悲的差別感情』が金玉にまで浸透している世代だ。
地位の高い男が男を追い出して女を迎え入れる。
端的に言って、気持ちが悪い。
そんな偉い人たちがいそいそと誂えた席に、娘を座らせたいだろうか。
そんな偉い人たちが鎮座まします大学で、息子を学ばせたいだろうか。
選択権が本人にあるのは当然だとしても、それこそ女子枠が導入されるに至った元凶自身が女子枠を奨めているという、その気持ち悪さに蓋をしたまま子供たちを送り出すことはできない。
個人的な不快感を言葉にするなら、女子枠は国をあげた無自覚な性加害だ。
反対したところでどうにもならない。
間違ってるのは私のほうだ。これは私の問題だ。
社会が理不尽なのは今に始まったことじゃない。
うまく立ち回っていく術を考えるほかない。
お膳立てされたごちそうの毒にあたるのは誰だ?