見出し画像

白龍の背に乗る天女

    私が大学生だったときの話です。

   夕食を済ませ、その日は疲れていたのでシャワーを浴びて,すぐに布団に入りました。しばらくうとうとしながら、そろそろ眠りに落ちそうな頃合いで、部屋の玄関の扉が勢いよく開いたのです。

  玄関の扉はしっかりと鍵をかけたはずです。扉が勝手に開くということはあり得ません。私は、心臓が飛び出しそうなぐらい驚きました。意識ははっきりしているにもかかわらず、身体を動かすこともできません。ただ布団の上で横になっていました。

 そんな状況でありながら、自分に起きている出来事に恐怖や不安は全くありませんでした。急に次元が変わったような感覚というのでしょうか。

 扉が開いた玄関に目をやると、「この先は宇宙につながっているんだなあ」と感じました。すると驚いたことに、澄んだ清らかな空気が部屋全体に流れ込み、パーッと明るい光りとともに大きな大きな白龍の頭が玄関先から入ってきたのです。あまりにも大きな龍体であったため、尾までは部屋に入ってくることは出来ないようです。背には美しい天女様(天津乙女)が乗っておられました。

  白龍の金色に輝く龍眼の大きく清く澄んだ黒い瞳が、私の視線と合いました。どれくらいのその時間が続いたのかはわかりません。白龍の大きな瞳に吸い込まれそうな感覚に抗いながらも、いつまでもいつまでもその時間が続いてほしいという不思議で神秘的な時間であったことをよく覚えています。。

  やがて、白龍は向きを変えて玄関からお帰りになりました。
私はというと、そのまま深い眠りに落ちました。翌日目が覚めても、あの出来事がはっきりと記憶に刻まれており、夢ではなかったことを実感しました。本当に考えられないような神秘体験です。なにせ『まんが日本昔ばなし』のオープニングの龍に跨る子供が空中を泳ぐ光景のように、天女様が白龍に跨り私が布団で寝ている部屋に入り、私の横たわる身体の上を泳いで消えていったのですから。

  白龍のことが気になりながらも、時間が経つとともに日々のいそがしさに取り紛れ、考えることが少なくなっていきました。大学の教員をしていた2003年のある日、フジテレビでドラマ『Dr.コトー診療所』が放映されました。その主題歌である「『銀の龍の背に乗って』を耳にしたとき、私には大学生時代の白龍とその背に乗る天女様とお会いした、あの体験が鮮やかに蘇ってきたのです。


  曲を聴いた際に私は、大学生時代の白龍の背に乗る天女の体験が蘇ってきました。この曲を中島みゆきさんがどのような想いで作られたのだろうかとの疑問を解決するため、調べてみたところこの作詞は龍の視点で書かれたものだそうです。

  命に向き合う医師たちは孤独で心細く、時に痛々しい。そんな彼らの勇気のために、命の水の化身である龍に頼みごとをしたかったといいます。では、なぜ「銀」なのか? それは「手術用のメスの色」なのだそうです。(『中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』)

 
 私の産土神様のご祭神の1柱に、高龗神(タカオカミノカミ)がいらっしやいます。この神様は、京都の貴船神社のご祭神である高龗神(タカオカミノカミ)は、時に白龍や白馬に化身することがあると伝えらえています。つまり、岩船神社の白髭のおじいちゃん神様が、白龍に変じて私の前にお姿を現されたのでした。

 何を私に伝えたかったのか。白髭のおじいちゃん神様の白龍からお言葉をいただくことはできませんでした。しかし、そのお姿を拝むことにより、神霊は実在するのだということを教えていただき、神主修行の大学生だった私の神様への信仰がより深まることにつながったのです。


よろしければサポートをお願いいたします。いただきましたサポートは、赤ちゃんの命を守る活動。鎮守の杜の維持や植樹。日本の伝統文化を守るために使わせていただきます!