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「子どもたちに最高の給食を届けたい」茨城県常陸大宮市の取り組み

常陸大宮市では、農家が安心して有機農業を実施できるように、有機農産物の販路が確保され安定した収入を得られ、有機農業が地域の農家に受け入れられるための施策を実施しています。
なかでも、学校給食の食材として市内で生産された有機農産物を全量買い上げ、給食費の超過分は市の予算で補填しています。


市は茨城県の北西部の山間地域に位置し、約6割を山林が占める人口約3万8千人の都市。市の耕地面積は3,510ha(田1,660ha、畑1,850ha)で、農家戸数は3,065戸です。

学校給食の食材に有機米100%を目指す

市では、2021年に「常陸大宮市有機農業推進計画」を策定。22年には本格的に有機農業の推進を開始し、23年11月には「オーガニックビレッジ宣言」を行っています。
この間、有機農業推進への市の姿勢をJA常陸に説明し、理解と協力を得ながら信頼関係を築くことに努めました。その結果、JAの子会社である(株)JA常陸アグリサポートが有機農業への取り組みを開始。地元で生産された有機野菜を22年より、有機米を23年より学校給食に導入し、28年には有機米100%を目指しています。

栽培上のトラブルを回避するための施策

栽培上のトラブルが発生しないように、2023年から作付けを開始した有機米栽培のモデル地区内の有機農業、慣行農業を営む農家同士が「有機農業を促進するための栽培管理に関する協定」を締結し、農薬の飛散防止や病害虫のまん延防止などに留意した営農環境の維持に努めるようにしています。

子どもたちの健康は食事から

育ち盛りの子どもたちの健康にとって食事が最も大切であり、安全でエネルギー溢れる食を子どもたちに提供することは大人の責任との考えから、有機給食を開始しました。
学校給食で子どもたちが有機農産物を食べることをきっかけに、保護者の食育への意識を高め、家庭においても有機農産物を食事に取り入れてもらえるように働きかけています。

課題解決のための信条

鈴木定幸市長は、有機給食100%の実現に向け、農家、流通・販売を担うJA、給食センターなどが抱える課題の解決に向け、「あきらめず継続すること、常に挑戦し続けること、思いを大切にすること」を信条に取り組んでいるそうです。

参考資料

鈴木定幸『子どもたちに最高の学校給食を茨城県常陸大宮市~ 有機農業推進と持続可能な社会の実現へ~ 』第2回みどりGXセミナー 2024年

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