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地温の変化を和らげる緑肥間作の効果

緑肥間作が、地温の上昇を和らげ、生きものにとっても棲みやすい環境を創出していることを紹介します。


緑肥間作は地表面を保護し有機物を供給する

緑肥間作を導入した栽培では、主作物を栽培しながら、土壌の侵食を防ぎ、地表面を保護し、土壌動物の餌や生息場所となる有機物を生産補給できるなどの利点があります。しかし、緑肥作物を単作してすき込む方法に比べて実施者が少なく、その導入方法について十分な理解が得られていないのが現状です。

緑肥作物を野菜栽培に利用する場合、野菜の栽培前または栽培後に緑肥作物を栽培しすき込まれることが多いですが、主作物の栽培期間中に畝間に緑肥作物を導入する方法(緑肥間作)も知られています。
この場合、主作物との間で起こる養分や水分の競合を避けるために、緑肥作物を適宜刈り払って敷き草に利用(刈り敷き)します。

緑肥間作導入が地温に及ぼす影響

長野県松本市の畑で、耕起処理の緑肥作物を作付けたところ(緑肥下)と作付けないところ(裸地)の地表および地下5cmの温度を土壌温度センサーを用いて、30分ごとに測定しました。
2005年7月22日(晴れ)の測定結果では、緑肥下の地表は日中(9~15時)の温度の上昇が裸地に比べて抑制されましたが、夜間は変わりませんでした。地下5cmでは、終日を通して違いはみられせんでした(図)。
最高気温は、緑肥下の37.4℃に比べ、裸地では54.7℃と17.3℃も高くなり、30℃以上の時間帯は、緑肥下より裸地で1時間長くなりました。
なお、この日の松本測候所の観測値は、最高気温が32.1℃、最低気温が19.4℃でした。

図 緑肥間作導入は地温の変化を和らげる

緑肥間作は土壌生物の棲息環境を創出

緑肥間作の導入は、「空いているところに種を播く」という手軽な管理で、畑地にさまざまな変化をもたらします。
ここで紹介した地温の上昇を和らげる現象は、生きものにとっても棲みやすい環境を創出します。そして、土壌動物の餌や生息場所として利用される有機物が還元されるため、土壌動物群集も豊かになり、多様な生きものを育む効果があります。

参考文献

藤田正雄・中川原敏雄・藤山静雄(2006)緑肥間作の導入による大型土壌動物群集の変化とそれに伴う土壌理化学性と畑作物収量の改善. 有機農業研究年報, 6:136-152.

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