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緑肥間作の導入は、主作物の選定と導入時期に注意しよう

緑肥間作の導入には、主作物と緑肥作物の特性を加味し、主作物に比べて優先させないこと、エダマメのように減収しやすい作物があることに留意する必要があります。


緑肥作物の導入方法

収穫を目的とする主作物を1年間休んで栽培する休閑緑肥、栽培期間の短い作物の収穫後に栽培する後作緑肥、主作物の栽培期間中に畝間に緑肥を栽培する間作緑肥(緑肥間作)の3つに分類され、主作物と緑肥作物との組み合わせを変えることで、さまざまな導入方法が考えられます。

緑肥作物を野菜栽培に利用する場合、野菜の栽培前または栽培後に緑肥作物を栽培し、生産された有機物をすき込む方法がよく知られてします。しかし、緑肥間作は緑肥作物を単作してすき込む方法に比べて実施者が少なく、その導入方法について十分な理解が得られていません。

緑肥間作導入の時期と刈り敷き量の関係

長野県松本市の黒ぼく土で、主作物としてスイートコーンとエダマメ(5月から8月上旬)とダイコン(8月下旬から11月)に栽培しました。畦間に緑肥間作(イタリアンライグラスと赤クローバの混播)をし、緑肥間作をしない無処理と比較しました(図1)。
緑肥間作では、主作物との間で起こる養分や水分の競合を避けるために、緑肥作物を適宜刈り取って敷き草に利用(刈り敷き)しました。

図1 緑肥間作の有無による栽培管理の違い

主作物播種前(4月)から緑肥作物の刈り敷きを行った年(2003年)では、年間の刈り敷き量が多くなり(219 kg/a)、主作物の播種後(6月)に緑肥作物を播種した年(2004年と05年)では、年間の刈り敷き量が03年の16%以下と少なくなりました(35と28 kg/a)。
緑肥作物が主作物より優先した年は、主作物の下まで根が張り、緑肥作物を刈っても生長が早く、刈り敷き量が多くなりました。

主作物の生育・収量との関係

スイートコーンでは、主作物の播種前に緑肥作物を播種した03年は無処理の85%に減収しました。しかし、主作物の播種後に緑肥作物を播種した04年と05年は無処理より増収しました(101と105%、図2)。
緑肥作物の播種時期を遅らせても、緑肥処理でエダマメが減収しました(無処理の65-71%)。ダイコンでは、3か年とも緑肥処理で収量が勝りました。後作のダイコンでは、緑肥作物を刈り敷きした効果が発現したのかも知れません。

図2 緑肥処理の無処理に対する収量比(無処理=100)(藤田・中川原 2006)

緑肥間作を導入するときは、主作物と緑肥作物の特性を加味したうえで、空間的、時間的組み合わせを考慮した総合的な管理を心がけ、下記の点に注意する必要があります。

  • 主作物に比べて優先させないようにすること

  • エダマメのように減収しやすい作物があること

※2004年に発生した度重なる豪雨による湿害については、「不耕起栽培畑では、集中豪雨時に土壌の排水性を保持」を参照ください。


参考文献

藤田正雄・中川原敏雄(2006)緑肥間作の導入が栽培環境や作物の生育・収量に及ぼす影響. 自然農法,57: 15-16.
藤田正雄・中川原敏雄・藤山静雄(2006)緑肥間作の導入による大型土壌動物群集の変化とそれに伴う土壌理化学性と畑作物収量の改善. 有機農業研究年報, 6:136-152.

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