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M-1グランプリ2022 最終決戦

ついに最終決戦の火ぶたが切られる事になりました。
ここからはまた審査方法も投票システムになり、
引き分けの場合だけ、ファーストラウンドの順位が優先ですが、
ほぼほぼ、ここでのネタの優劣で勝敗が決せられます。
審査員の好み、客受け、色んな事象が投票の影響を受け、
あと30分足らずで7人の審査員が芸人の人生を変える訳です。

まず最終決戦一番手は3位のウエストランドから。

・ウエストランド

ネタはあるなしクイズ。
開口一番「あるなしクイズあるんですけど、やります?」でツカむ。
トリから続けてやる事がこれほどまでいい方に作用した事は、
今まで無かった事ですし、お客さんが井口の答えに
期待値がすでに高まってる事の証拠だと思いました。

アイドルにはあって役者には無いもの、との問いに
向上心!」と答え、アイドルに一定毒づいた後、
無い方の役者にも返す刀であいつら向上心無いと斬る。
「お互いの芝居だけ見に行って、成長全然しない」と
「前売り5500円高けえよ!」はパンチライン。

歌にはあって、コントには無い物で、「メッセージ性!」と答え、
ネタにメッセージ性込めてくるウザいコント師とかいるかー!
と、単独やってるコント師を全方位型で撃ちまくる井口。

極めつけはM-1にあって、R-1に無い物で、
間髪入れずに「夢!」と答え、会場が大爆発。
河本もこれに間髪入れず「そんな事ない」と否定するのが良かった。
その後も立て続けに「希望!」「大会の価値!」「大会の規模!」と
きっとみんなも思っていた事をついに公に言う事で、
心なしか胸のすく想いが生まれる現象が僕の中でありました。

そのあとの「ある方は全部ウザい!」からの
「M-1も?」の切り返しに「M-1もウザい!」と
ついにM-1まで毒牙に(笑)
確かにR-1ばっかりサゲてたら、M-1に出てる自分たちが
上から目線にも見えるから、M-1に行くのは正解だと思います。
ただ「アナザーストーリーがウザい!」と斬ったのは、
M-1が好きで毎年アナザーストーリーを心待ちにしてる
僕の中で予想外に喰らってしまい「言われた方の当事者って、
こんな気持ちになるんかもなー
」って感じたのは事実(笑)

ただ、井口がこれでもかと詰め込んだパンチラインが
全部炸裂してた
ので、この後の二組の出来次第で、
ひょっとするとひょっとするなぁと思わせる漫才でした。

・ロングコートダディ

ネタはタイムマシン。
兎がタイムマシンあったら、絶対江戸時代行きたいというので、
じゃあタイムマシンやったるから練習したらと堂前。
江戸時代だと思って突入したら、大体去年だったという、
ロコディおなじみのワンシュチュエーションテンドンネタ。

テンドンネタなんで、先は読めるんですけど、細かい所で
ボケを挟んで、飽きさせないように持って行くネタ。
ロコディのネタは他の人がやったら、ハネないようなネタ
多いと思ってて、やっぱそこは堂前と兎のマンパワーで、
持って行ってるなぁと思いますが、一本目に比べたら、
少しパワーダウンの印象は否めないのと、
やはり基本堂前が横に離れるので、コント色が強めと取られて
これが投票に影響するのは避けられない印象がありました。

でもお客さんはちゃんとウケてたし、狙い通りのネタの運びは
出来たと思います。最後の兎の「もうええど」が好き。

・さや香

ネタは男女の友情。
出てきて、すぐに新山がコンビ名をがっつり噛む。
演者の緊張が客席に一気に伝わって、空気が少し淀む。
が、石井の男女の友情は成立するからの大人の関係は一回あるよの
新山のスイッチで一気に会場を立て直す!
新山の「シラフやん」とか「昼やん」の表情と言い方や、
「シラフの一回はベロベロの五回」などつらつら並べていき、
新山のただ叫んでるだけではない緩急の幅が漫才のリズムを作るし、
常に客席に呼びかけていくのでお客さんをどんどん巻き込む。

「モヒカンは坊主か?」の問いと男女の関係と言っても
キスしかしてなかった事きっかけで、キレイに攻守交替して、
キスだけやったらある程度清潔感あったら誰とでもできるわい!」と、
さんざんわめいた後、ふと我に返る演技も素晴らしかった。
一本目と同じく圧巻の王道しゃべくり漫才だったと思います。

ついに最終決戦が終わって、投票となりました。
僕はウエストランドの踏み込んだ勇気を買いたいので
希望としてはウエストランドに優勝してほしいかな
考えてましたが、審査員が好みそうなのは
王道の漫才たらんとしてたさや香かなと分析して、
多分さや香が優勝するだろうと投票前は踏んでいました。

上戸彩ちゃんの恒例のやつも聞けた後で、ファイナルジャッジ。
邦ちゃんがウエストランド!大吉先生がさや香で割れる!
そのあとさや香が続くかと思いきや、ウエストランドの赤が続き、
志らく師匠で止まる確定演出!結果6対1でウエストランド優勝!

大会前、ウエストランドがここまで躍動し、
優勝まで掻っ攫う事を誰が予想したでしょうか。
さや香も本当に素晴らしい漫才で優勝に足る評価でしたが、
ここ近年のコンプライアンスやルッキズムに縛られて、
バラエティ、お笑いのネタに対するやりづらい閉塞感
を、
今回この大舞台、しかも生放送で爽快なまでにウエストランドが
ぶち壊してくれた事
で審査員の票を集めたのかなと思います。

デビュー早くからいいともレギュラーを獲得して、
キャリアでいえばもっと先に進んでてもおかしくない
ウエストランドが階段をガンガン足踏みしてしまって、
二人は、特に井口は本当に歯がゆかったと思いますが、
それでもずっと刃を研ぐのだけは止めなかった。
舌を回転させることだけは止めなかった事が、
最高の結果を手繰り寄せたのだと思います。

吉本は2年連続他事務所に栄冠を奪われる
M-1初の事態
になり、漫才王国のプライドから
来年はなりふり構わず獲りに来るでしょうし、
他事務所、特に関東勢はチャンスの間口が広がったと、
ますます群雄割拠していくことだと思います。

また熱は冷めないですが、また来年を楽しみにしながら、
一旦止めさせていただきます(オズワルド)




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