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たどり着いたカメラ、Leica M10-D

"距離計"に恋し"ライカ"にも恋したのは何がきっかけだったのか正確には思い出せない。でも、きっと見た目やその所作がカッコがいいという理由は上位にあったと思う。

はじめて買ったライカは初代のLeica M Monochrom。
その時に迷ったのはモデル末期のM9-P。当たり前だがM9-Pではカラー写真が撮れる。悩みに悩みまくりトップカバーに刻印すら入っていない真っ黒なM Monochromを購入した。それまで特段モノクロ写真を好んでいた訳ではないし、M Monochromの解像力云々もどうでも良かった。LeicaというドイツのメーカーのPhilosophyに惚れ込んだのだと思う。背面液晶の解像度など色々と不便はあったがライカというカメラをとても楽しんだと思う。

距離計という分野では、フィルムカメラのCosina Voigtlander Bessa R3Mも使うようになった。大好きなレンズのNokton classic 40mm F1.4 MCを主に使うためだが、素通しのファインダーで両目を開けて撮影できるR3Mはとてもいい相棒だった。Bessaの話は今日の話にとって非常に重要な部分なのだが、とても長くなりそうなのでこの辺りは別の機会にするが、子どもの写真をフィルムで撮りたいという欲求が強かったためだ。

その後、Typ240系が発売され、Pモデルの発売を待ってM-P(Typ240)を購入。憧れだったシルバークロームモデルを手にした。Typ240は時代の流れもあったと思うが動画も撮れてしまう盛り込み型のカメラだった。その代償としてサイズも大きくなり、バッテリーも大型化し重量も増した。不安定なホワイトバランスに悩みながら結構な年月をかけて満足の行く仕上がりには持っていけるようにはなったと思う。

その辺りから自分の置かれていた状況もあり写真を撮る機会が減った。厳密にはGRIIを持って山の写真ばかり撮っていたので、撮っていない訳ではないが、距離計からは距離を置いていた。自分の状況も少しずつ変化し少しばかり落ち着き出した頃、改めて自分のiPhoneのカメラロールを見てみると、山の写真を除いては満足の行く写真が一枚もなかった。ライカで撮った写真もあるが、同じようなものだ。そもそも写真ともカメラとも向き合っていなかったように思う。
そんな時、たまたまSNSで目に入ってきた写真がいくつかあった。その写真はピントの合っていない写真もたくさんあったが、写真から楽しさが伝わってくるものが多かったし、写真で何かを伝えようとしているもの、また、被写体に対する愛も感じる事のできる写真だった。
その感覚というものは自分にとっては今日この場で語っていないBessaの話に近いのだと思うが、改めてもう一度写真とも向き合いたいなと感じた。

その間も、時代というものは急速に進化している。また自分のライフスタイルも変化している。それは時代がフィルムカメラからデジタルカメラに移行していった時のようなものにも近いかもしれない。これまでのように写真を撮って後日じっくりとMacで現像する、という行為自体に時間の捻出も含めて疑問を持つようになった。当然じっくりと現像する行為自体は何ら悪くないのだが、もっとフランクに写真やライカと付き合いたいと思い、自分のワークフローを見直すことにした。その中でいくつかの機能をカメラに必要とした。WifiとiOSに対応したDNGデータだった。残念ながらM-P(Typ240)にはひとつも当てはまらなかった。そうと分かれば新しい機材が必要になる。
現時点のライカラインナップを見る限りM10、M10-Pというモデルが存在する。Twitter上でもそのような事はつぶやいていた。これしかない、という思いだったし、周りからもそう思われていたと思う。その数日後ぼくはお世話になっているライカ京都店へ連絡するのだが、その後しばらくして手に持っているライカはM10-Pからモニターまわりを取り払ったLeica M10-Dだった。

はじめて買ったライカが"色"という概念を取り払ったM Monochromだったが、今たどり着いたライカは"確認"という概念を取り払ったM10-Dだ。今のぼくにはファインダーを通したその瞬間に集中できるこのライカがベストだと感じたし、またしてもライカのPhilosophyに惚れ込んでしまったようだ。


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