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(8)松戸のソーシャルファーム日記 ちいさなかぶ

 3月18日木曜日。今日も外でラジオ体操。胸をそらすと視線は自然と青空へ。何とも健康的な職場。

夏も近づく

 もう完全に春の陽気だ。暑い中、長袖の作業着を腕まくりしていたがポロシャツが支給される。明日も出勤なので、次は朝からこれを着よう。
 ハウス内も日差しが強いので、天井のロールカーテンを作業場所に合わせて閉めたりもする。3月でこれだと、夏はホントにどうなるのか。

小説と日記

 20分作業したら、20分休憩。特に暑ければ、作業時間15分になるときも。お昼に45分、3時に15分の休憩しかなかった前職とは大きな違いだ。
 休憩中に、紙のメモに日記のネタや思い浮かんだことを書き込んでゆく。この日記も、いつまで続けられるだろうか。

 新入りのあいさつで、私は作家・ライターをしていると名乗った。たとえ売れていなくても、本人がそう思えばそうだ。この日記は職場や上司非公認なので、あまり会社や農園に都合の悪いことを書けば怒られるだろう。最悪それでせっかく得た職を失うかもしれない。だからほどほどに加減はしつつ身の回りのことを書いていこうと思う。そろそろ農園体験だけでは見えないことも分かるようになってきたが、ポジティブな側面に目を向けたい。

 作家にとって一番のネタは、身の周りにあるから。文筆業で芽が出るまでは農園でお世話になろうと思う。もしかすると、この先ずっとかも。

 宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」を発表するつもりが無かった。自分のためだけに書いた物語だという説を、だいぶ前にテレビで見た覚えがある。私の小説ワルネカも、それでいいんじゃないかと思う。売れることが第一ではないのだから。ただし、私はまだこの未完成な物語に満足していない。いずれプロ編集者さんの手を借りて、きちんとした形に仕上げたいものだ。

ちいさなかぶ

 今日は小カブの収穫をした。ハサミは使わず、ピンポン玉くらいに育ったのを手で引っこ抜く。上半分くらい地面に露出しているので簡単に抜けた。根っこは、カブの下に細長いのが伸びているだけ。パミスサンド全体が塊になるくらい根を張る他の野菜と比べれば、ずいぶんあっさりしている。

 ここで、思わずロシア民話「おおきなかぶ」を連想する。運動会の玉転がしくらい巨大なカブだったら、その重量も相当なものだろう。だから抜くのが大変な理由は「根っこではなく、カブ自体の重量」ではないかと思う。

 夕方帰宅すると、父がもう味噌汁の支度を終えていた。お土産の小カブは明日の分の味噌汁に使う予定だ。

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