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FF3女子旅【9】棒人間の呪い

「ぼくたちは、どうしようか?」
「後を追いかけたって、しょうがない。先回りしてカズスに行こうぜ」

 ユッフィー姫たちヴィダル城へ向かうのを見た、ルーネスとアルクゥ。彼らは独自に、南の鉱山街カズスへ向かいました。

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 あ! ワルガキ組飛空艇取られちゃいましたよ!?
 さすが、機転がききますね。別の世界で主人公なだけあります。

 いっぽう、ユッフィー姫たち4人は、ワルガキ組の動向を知る術もなく。ヴィダル城の兵士イングズの案内で、城の入り口にやって来ました。

「まあ、これは…」

 ユッフィー姫が驚きのあまり、思わず口元に手をあてています。城の住人が全員棒人間めいたペラペラな姿になってしまって。老若男女の区別すら、付かなくなってしまいました。

「横から見たら、紙みたいだね!」
「透明なとこって、穴空いてるんですかぁ?」

 マリスが棒人間たちを横から眺めたり、エルルちゃんに至っては顔に腕を突っ込もうとしています。キミたちもワルガキだね!

「ええいおぬしら、遊ぶでないわっ!」

 呪いで姿を変えられた人たちの気持ちも、少しは考えよと。精神的には、間違いなく年長者のアリサがふたりを叱ります。

「姫様、まずは国王陛下にお目通りを」
「分かりましたの」

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 イングズに言われるまま、4人がヴィダル王に謁見すると。彼もまた棒人間の姿でした。

「おお、ユッフィー姫! 無事だったか!」
「その声、お父様ですのね?」

 外見はみんな同じでも、声で父と分かったユッフィーがホッと胸を撫で下ろします。
 原作だと、飛空艇で封印の洞窟まで行ってサラ姫連れてこないと聞けないセリフですが。ユッフィー姫は最初からパーティにいますね。

「ユッフィーよ、ミスリルの指輪は持っておるな?」
「はい、ここに」

 姫の右手中指に光る、銀色の指輪。祭壇の洞窟での冒険以前からずっと、はめています。指輪はつける場所によって効果が変わるとされ、右手中指は以下のような感じに。まさにサラ姫のイメージですね!

・邪気を払う
・行動力や迅速さを発揮
・意志を強くする

「ミスリルって確か、魔除けのチカラがあったっけ?」
「マリスちゃんはぁ、カズスの鍛冶屋さんとこのレフィアちゃんとお友達ですからねぇ」

 シドじいさんの養女マリスは、飛空艇を整備する手伝いでカズスの鍛冶屋に出入りすることが多く。鍛冶屋タカじいさんの養女レフィアとも、自然に仲良くなっていました。
 マリスは飛空艇に興味を持ち、よく機械いじりをしてましたが。レフィアは鍛冶屋の修行を嫌がり、よくシドの飛空艇に転がり込んでサボっていました。マリスとレフィアは一緒に過ごす時間も長く、気が合うようです。

「さよう。昔カズスから、姫の無事な成長を願い贈られた指輪には、悪しきものを封じるチカラが備わっておる」

 マリスの指摘に、ヴィダル王もうなずきます。

「ですが姫様、ジンが潜む封印の洞窟アンデッドどもの巣窟と聞きます。護衛に私をお連れください!」

 姫のお付きとなれば、当然の流れでしょうか。イングズは、少女たちへの同行を申し出ます。

「ユッフィーちゃん、よかったですねぇ!」
「ええ。イングズなら剣の腕は信頼できますし、心強いですの」

 こちらの世界では、サラ姫相当のユッフィーが主人公に含まれる代わりに。お城の兵士イングズゲスト加入です。

「よろしく頼むのう。戦える者が多いに越したことはない」

 アリサももちろん、兵士イングズの同行を歓迎します。するとそのとき。封印の洞窟方面からシドの飛空艇がフラフラしながら飛んできて、ヴィダル城の前に危なっかしく着陸するのがお城のバルコニーから見えました。

「誰が操縦してますの?」
「まさか、レフィアちゃん!?」

 ユッフィー姫の疑問に、マリスが心配そうに声をあげます。一同は急いで飛空艇のところへ走りました。

「いててて…」
「だからやめようって言ったんだよ、ルーネス
「生きてただけ、運が良かったと思いなさいよ」

 中から出てきたのは、ルーネスとアルクゥに、レフィアの3人。中でも、ルーネスは明らかに怪我をしています。傷口を手でおさえる姿が痛々しい。

「ルーネスさぁん!」

 同郷の幼なじみの傷ついた姿に、エルルちゃんも心配そうな顔をします。

「ちょっと待っててくださぁい!」

 エルルちゃんがお城の物陰に駆け込むと、そこからパッと光が漏れます。

「どうしたの、その格好?」
「いたいのぉいたいのぉ、とんでけぇ! ケアルぅ!!」

 赤い三角模様の入った、白いフード付きローブに早着替えしてきたエルルを不思議そうに見てたアルクゥですが。エルルが習ってもいないはずの魔法を発動させたことに驚きます。

「えっ…!?」

 エルルが使った白魔法ケアルが、みるみるうちにルーネスの傷をふさいでいきます。治してもらった本人もびっくり。

「良かったですの!」
「とりあえず応急処置は済んだの。じゃが体力までは回復できておるまい」

 ユッフィーとアリサも近くに来て、ルーネスの様子を確かめます。

「飛空艇、レフィアちゃんが動かしてたの?」
「うん。でもマリスちゃんみたいには行かなくて」

 当初は、ルーネスが飛空艇を操縦していたけど。3人だけで封印の洞窟へ行ったら、アンデッドたちにボコボコにされて逃げ帰ってきたと。レフィアが事情を説明してくれました。怪我してたら、舵輪は握れませんよね。

「僕は止めたんだけどね…」

 アルクゥが、ウラナイ村の集会場で4人娘だけに向けられた話を盗み聞きしてたことと。ルーネスがクリスタルの啓示を受けた4人に対抗意識を持っていることを話しました。当の本人は黙ったまま、不機嫌そうにしてます。

 まあ、ワルガキならこんなもんですよね。冒険したいお年頃ですもの。

「ジンは、わたくしたちが。この指輪で封印してきますの」
「あたしお城のベッドで、アルクゥと一緒にルーネスを見張ってるから」

 レフィアとアルクゥに、両脇から支えられて。ルーネスがお城のベッドで休むように促されます。

「…負けね〜からな!」

 精一杯の意地を張って、ルーネスが4人をにらむと。

「ルーネスさぁん、ファイトですぅ!」
「元気な男の子は、嫌いじゃありませんの」
「レフィアちゃんに看病してもらえるの、うっらやまし〜♪」
「男子三日会わざれば…さて、どうなるやら」

 なんでしょうね、この好意的な反応。もしかしてモテモテ?

「ほら、行くわよ」
「顔…赤いよ?」
「う、うっせ〜!」

 お城の中へ消えた3人を、目で追って。イングズがひとりつぶやきます。

「やれやれだな」

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