サブスクとレンタル廃止とDJの話

DJとかにおいて最近若い人が始めるにあたって、自分が始めたころと結構状況が違うなと思うことが増えてきました。なので、一応整理も兼ねて記事を書いてみます。

特に音楽を普段聞くためのメディアがサブスクにシフトした、大手レンタルショップがレンタルを廃止する流れになったというのが背景として大きいのかな、と思ってるところです。

店舗でのCDレンタル、実質終了へ。

以前予言的にCDレンタルが終わる的な話を書きました。わたしも終わってほしくはなかったし、終わってない店舗もあるんですが、少なくともTSUTAYAでCDを大量レンタルするという手段に頼れなくなってくるのは確かだと思います。

特に日本最大の在庫を誇る渋谷TSUTAYAのCDレンタル廃止は多くのDJにとって衝撃だったのではないでしょうか。

CDレンタル自体はたしかに一世を風靡しましたが、現在、音楽を聴く手段のメインはサブスクおよび動画サイトがメインになってきたんじゃないかな、と。

そうなってくると音源をMP3やFLACなどのデータとして扱うDJの界隈でも、いろいろと感覚が変化してくると思っています。

サブスクの台頭。


そういやSpotifyの登場っていつからだったかっていうと2016年で、流行り始めてわたしも使い始めたのは2018年頃からですね。

今ではわたしの両親くらいの世代(60代以降)もSpotifyなどのサブスクを使うようになりました。うちの母は職場までの通勤や旅行の際はSpotifyを聴いてますし、父は休日にAmazonPrimeで映画を見てます。

ようは若者以外にもサブスクが浸透してきました。極端にいうと「80-90代の高齢者にSpotifyで演歌や歌謡曲を聴いてる」人がいたとしても驚かない時代まで来た感覚があります。

ましてや若い人が音楽を聴くとなった場合、趣味が多様化している昨今だからこそ、手元の端末で検索してすぐに話題の楽曲にアクセスできるというサブスク&動画サイトの利点は大きくなってきたと思います。SNSとの連携や好きな曲の気軽な布教もできますし、レンタルより安価で手軽になったので、ほとんどの人はサブスクを選ぶんじゃないでしょうか。

現代の音楽とデータ所持の事情。

・多くの店舗でCDレンタルが終了
・サブスクや動画サイトが浸透
・CDドライブのないPCが増加

これらによって、
・CDを買ったことない
・CDを取り込んだことがない
・iTunesを開いたことない
・もしかするとダウンロード販売も利用する必要がないので使ったことがない
・ストレージ(SSDや HDD)に音楽を溜めておく概念がそもそもない

というのが普通になります。
最近の若いモノは...って老害ぶったことを言いたくなるかもですが、例えるなら「30-40代の人は音楽が自分で稼いだお金で買えるようになった頃にはCD全盛期だったのでレコード触ったことない人も多い」「10-20代の人がMDやカセットにCDから好きな音楽を入れて聴く手順を説明書無しでできるか怪しい」、それの時代が数段進んで以前までの方法が必要ないから習得の機会がなかっただけのお話です。

さきほども申し上げたとおり、

・音源の入手方法がわからない
・ダウンロード販売で音源を買う体験すらしたことがない(サブスクで聞けるのに何で買わなきゃならないんですか?という感覚)
・CDの取り込みをしたことがない
・CDはお布施や記念品の感覚でよほどの推しじゃないと買わない
・ストレージ管理をしたことないのでビットレートや容量感についての感覚があんまりない
・下手したら.mp3の拡張子すら知らない

という人の割合は私たちが思ってるより多いのです。
「勉強しろよ!!」って思う人もいるかもしれませんが、こういったことを知らなくてもいろんな音楽にアクセスできるようになったら、DJとかダンスとかの音源を使ったライフワークをしない限りは音源がファイルである感すらなくなってくると思います(実際サブスク以降の時代、わたしもDJやってなかったら音源をiTunes Storeや Moraをわざわざ開いて買うまではしないと思います。)

なのでDJなどの音源管理を教える際には、音源の購入や取り込みから教えることになると思います。

特に5歳以上年下の子にDJを教えるとしたら、「その人が音源をデータとして管理をしたことがない」という前提でお話をしていかなくてはならないというのはジェネレーションギャップとして互いに受け入れなくてはなりません。

たぶんセットリスト組む人は増える

セットリストってSNSで呟くだけでDJみんな石を投げたくなる禁忌の話題なんですけど、スタートの音源数を考慮すると、今始めるって人ほどセットリストを組む人が増えるとは思います。

セットリスト組む組まないの良し悪しはおいといて、これからは
Spotifyなどのサブスクで普段曲を聴く→BPM等をタップで計測する→使いたい曲を厳選して買ってセットリストを組む。
そういう人が増えてくるんじゃないかな?と。
(これが悪いとかじゃなくてシンプルに環境と使えるお金の関係で音源が集まるまではこうせざるを得ないのです)

DJは客層を見て音源を選んでかけるもんやで!!って指導する人もいますし、最終的にそうなるのは全然いいんですがそういうDJができるようになるにはまず音源を集めることが必要になります。

私がDJ始めた頃はレンタル全盛期だったこともあり自分のライブラリに4000曲くらいある状態からスタートできましたが、今の子達は人によっては0曲からスタートです。当時は20枚2000円とかでレンタルできましたが、今は同じことをやろうとしてDiscasを使うと5往復かかりますし、ダウンロード販売だと1枚が2000円とかになります。(単品レンタルを使うともっと多くは借りれるみたいですが在庫限られると思います)

以前までのDJより、今DJを始めたひとのほうが音源が揃うまでにかかる時間も金額も膨大になりました。扱うコンテンツも広く聴き込みが難しい昨今、客層を見たその場選曲ができるかというと「音源が揃ってない最初からは厳しい」んじゃないかなと思いますし、音源を集めてるうちに出れるはずだった現場を逃すよりは、セットリストを組んででもひとつでも多くの場所に出たほうが得るものが大きいんじゃないでしょうか。

サブスクとDJシステムについて

先日ですがApple MusicがDJソフトと連携できるようになるとのニュースがありました。

Djayは昔Spotifyと連携できたのですが、当時のサブスクはどちらかというと聴けるコンテンツが限られてたのもありほぼ全曲が聴ける昨今とは状況が異なっていました。今回のDjay×Apple Musicについては将来的にほぼ全ての最新曲が買わなくてもDJで利用可になるかも?なDJライフの未来を示してるようにも見えます。

↑今はできませんがSpotifyにコンテンツが充実する前、そういう流れはありました

また、メーカーは変わりますがDENONの機種でAmazon Musicと連携が取れるものもあります。

まだまだシステム•権利関係で課題はいろいろあるものの、サブスク× DJの流れはいろいろ試行錯誤される時代にはなるんじゃないでしょうか。

もちろんサブスク楽曲だけでDJできるようになるまでは整備に時間がかかるかもしれませんが、音源を試しにロードしてセットリストにうまくはまったら買うみたいな流れはかなり近いうちにできてくるんじゃないかな?と考えてます。

前回のSpotifyと同様いきなり取り下げになることもあったり回線もなんとも言えないので音源をデータとしても所持する文化はしばらくは続くかもしれませんが画期的なプロダクトが打ち出されれば何か変わってくる可能性があります。動きに注目したいところです。

結語

サブスクの台頭により、データを所持する感覚がない若者がたぶん現在進行形で増えてるという記事でした。

とりあえず2024年現在ですが若い人にDJを教える時に先述の「音源のデータ所持感がない」「聴き込んでから曲を買う」「音源を多数所持するための環境が数年前よりも厳しくなっている」ということは根底として理解しておかないとならないことは増えてくると思います。

2024年になりイベントが復活してきており各地で練習会とかも増えてくるかも?なので書いてみた記事でした。視点として参考になれば幸いです。




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