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人間にしかできないこと。夏休みにお薦めの展覧会~田中達也展「みたてのくみたて」~

「見立て」というのは、人間にしかできないのではないか。
様々な画像など「パターン」を「学習」するAIは、それが「何であるか」の特定や判別が得意だ(というか、そのために作られている)が、逆に、それが「別の何かに見えちゃう」ということは(きっと)不得手だ(というか、それは「間違い」と(人間が)判断してしまう)。

たとえば、天上のシミが「人」の顔に見えちゃう。
AIならパターン認識で「この人です」と、誰だか知らないが確かに現存する(した)人を答えてくれるかもしれないが、我々はそれが「誰か」ということが知りたいのではない。
「人」は漠然と「人」であって、何となく自分の記憶にありそうでなさそうで……そういう「何か」を見ている。
とはいえ、恐らく「何かに見えてしまう(見立てる)」とは、「自分の記憶にありそうでなさそうで……」と、漠とした「もどかしさ」が必要なのではないか。

「ミニチュア作家・見立て作家」の田中達也は言う。

「見立て」は「ものまね」に似ています。みんなが知っているものを、みんなが知っているものに変換するからこそ面白さが伝わる。

たとえば、iPhoneの背面のカメラレンズの部分が「お風呂」に見えてしまう

iPhone Pro、ならぬ「iPhone風呂」

そんな、日常にあるものにミニチュアの何かを置くことによって、別の世界を「見立て」てしまう田中の展覧会「みたてのくみたて」が、東京の日本橋高島屋で開催中だ。

田中達也展「みたてのくみたて」
2024年8月1日~8月28日(午前10時30分~午後7時。午後7時半閉場)
日本橋高島屋 S.C. 本館8階ホール
一般:1,200円、大学・高校生:1,000円、中学生以下:無料
図録は2,200円。https://www.takashimaya.co.jp/store/special/tatsuya_tanaka_nihombashi/index.html

これが本当によく「見立て」られていて、子どもだけでなく大人も夢中になる。
基本的に展示物の写真撮影は許可されており、また、幾つかの作品は人間大になり、作品世界に自分が入って写真撮影することもできる。

東京駅から徒歩でも行ける距離で、高島屋の東館には「ポケモンセンタートウキョーDX & ポケモンカフェ」もある。
夏休みの思い出にピッタリの場所と展覧会だ。

「甘いひととき」
「甘い生活」
「おしっこの切れが悪い」
「会議は巻きでお願いします」
「弓道ネギ」
「アイスることを誓います」
「ガチャはいくらでもあるぞ」

写真展示の作品の額縁の端っこには、ミニチュアが置かれていたりもする。

「豆板醤、XO醤、麻雀」
「おすしが ふくを かいにきた」
ふくをかいにきた おすしの 等身大オブジェ
「戦争反対 NO WAR」

※表題写真の作品名は「紅葉の効用」


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