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【2024セミナー】農村イノベーション


篠山イノベーターズスクール最初のセミナー「農村イノベーション」の全4回の講義が終了しました!

講師はこのスクールのディレクターでもある神戸大学農学研究科の中塚雅也教授です。

今年から全員受講必須となった「農村イノベーション」。この講義では、長年、丹波篠山市をはじめ、日本の農村の現状に向き合い、農村発展を考えてきた中塚先生から、農村部での起業を考えるうえで、非常に重要で欠かせないエッセンスを学ぶことができます。

スケジュール

第1回7/10(水) 19:40 - 21:10 地域資源とイノベーションの関係
第2回7/20(土) 13:10 - 14:40 イノベーションの生み出し方:理論編
第3回7/20(土) 14:55 - 16:25 イノベーションの生み出し方:技術編
第4回7/24(水) 19:40 - 21:10 農村イノベーションの理論と実践

今年度は、全4回のうち2回が対面、2回は平日夜に完全オンラインで開催され、受講生は講義を通して、農村の現状と課題を知ったうえで、農村部でのイノベーションの必要性、イノベーションの理論・手法、そして農村でのイノベーションの実践と事業化までを学びます。

講義を通して

”イノベーション”は、最近よく耳にする言葉となってきましたが、イノベーションとは何か、なぜ農村部でイノベーションが必要なのか、実はあまりわからない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、講義の冒頭を一部紹介します。

■イノベーションとは?
イノベーションと聞くと、なにか大きな発見や革命を成し遂げなければならないものと思いがちです。しかし、イノベーションとは、日本語で「新結合」とも訳されるように、既存のものの組み合わせや発想の転換で新たな価値を生み出すことだと言います。

例えば、丹波篠山の名産、黒大豆。元々は水田の漏水対策として畦で栽培されていた黒大豆ですが、それを田んぼの中で栽培してみる。乾燥させて黒大豆として売っていたものを枝豆、枝つきの状態で販売してみる。
今となっては当たり前になっていますが、当時そのような発想がなかった中、新たな仕組みや売り方を生み出したことは、大きなイノベーションと言えます。

ですので、私たちでも、考え方や、どこに身を置くかをコントロールすることでイノベーションを起こせる可能性があるのです。

■なぜ、いま農村でイノベーションが必要なのか?
農村は、食料の生産や国土の保全、景観の形成や文化の伝承など、様々な役割があり、国民全体にとって必要不可欠な存在と言えます。

しかし農村の仕組みや構造がこの数十年で大きく変わり、今後も高齢化や人口減少が進み、農村部は維持できなくなると考えられます。
既存のセクターの成⻑はあまり期待できず、今後劇的に雇用が増えることも期待できません。

つまり、農村部では、これまでと同じようなやり方でのビジネスや、地域の維持管理活動は通用しなくなってくるのです。
今後、農村部を維持発展させていくためには、まったく新しい商品・サービス、仕組み、働き方をつくりだすことが求められます。
そのような新たな価値を生み出すことが”農村でのイノベーション”であり、農村でビジネスを考える際にはこの考え方を持つことが重要とされます。

このように、講義では一から丁寧に農村部でのビジネスに必要なイノベーションの視点を、理論を交えながら学ぶことができます。

また、理論だけではなく、実際に、自分たちでイノベーションを起こす体験も行いました。
例えば、「自分自身のビジネスモデルを分解しながら再構築してみよう」というテーマで、自分のビジネスアイディア(商品やサービス)の面白いと思う要素を抽出し、それを
・転用(用途を変えてみる)
・変更(違うものにしてみる:色・形・意味・使い方など)
・代用(他のものに変えてみる/消去してみる:素材・アプローチなど)
といった方法で、新たなアイデアに気づくことができるワークショップを実践しました。
ワークショップでは簡易的な体験でしたが、これを今後も繰り返していくことで、全く新しいイノベーティブなアイデアに結び付く可能性を秘めていると言います。
アイデア出しやそのアイデアを発散させたり、まとめたりする方法、一度まとめたアイデアの崩し方などを中塚先生の指導のもと実践していき、普段なかなかすることのない思考法に、受講生の方々は戸惑いながらも楽しみながら賑やかなワークショップとなりました。

おわりに

農村での起業において、必ずしも全員がイノベーションを起こす必要はありませんが、農村部でしごとをしていく上で、イノベーションを起こすことはとても重要な視点です。
授業は終了しましたが、受講生の皆様がこれから活動を進めていくそれぞれの段階で、この講義の内容が活きる場面も多いと思います。
この講義が、受講生の皆様のアイデアの実現への原動力の一歩となることを願っています。