情熱のろくろを回す / 白河を冒険して(なるる)#Season2
9月12日。第6回目のフィールドワークでは、白河を冒険してきました。フィールドワークでは、U-18の「やってみたいかも?」をみつけるために、全6地域を冒険し、その未来をつくるアイデアを考えることに挑みます!
そして、白河の冒険が最終回!いったいどんな冒険になるのだろうか!!
ワクワクが止まらない!!!
このnoteでは、
1・どんな地域に行ったのか?
2・どんな人に出会ったのか?
3・U-18のシェアで感じたこと!
を書いていきたいと思います。
今回の冒険、福島県白河は、
福島県の県南に存在しているのが、白河市です!
昨年度は、白河だるまでお世話になった福島県白河市。白河には、伝統工芸品がいまだに残っています。
今回、訪れたのは白河で焼き物をつくる職人の方。実は、白河には白河焼という今は失われてしまった焼き物もあるとか。一体その職人さんは、どんな焼き物を作っているのでしょうか。
今回、白河でお会いしたのは、地域を案内してくれるナビゲーターで、一般社団法人未来の準備室の青砥和希さん、そして、地域で活動をしてるローカル・プレイヤーで、大堀相馬焼いかりや商店の山田慎一さんにお会いしました!
(左から山田さん、青砥さんです!二人の服の色は焼き物をイメージしているのでしょうか?色合いが綺麗ですね)
山田さんは、もともと福島県の浪江町というところの出身。40年ほどそこで暮らしていました。実家も、窯元で「相馬焼」という焼き物をつくっていて、小さな頃から焼き物が身近なところにあったそうです。
そんな山田さんは、青年期、好きだった絵の道に進むか、それとも焼き物の道に進かを迷っていたとのことでした。
ところが、絵の道に進んだ親戚から「絵の道は苦労するから」との助言を受け、「では、焼き物の道に進もう」と決意。
そうして、焼き物を本格的にそして専門的に2年間の間、学校で勉強されたそうです。
その後、卒業し、実家の浪江町で職人として働いていたある日のことでした。東日本大震災が起こります。
山田さんのいた地域は、放射線被害を受け、浪江町を出ることを余儀なくされます。
一旦は、東京に出てきたものの山田さんの奥様が白河の近くで働いていたのを受けて、一家は白河に移住します。
(インタビューをする青砥さんと、インタビューに答える山田さん)
白河に移住したものの、焼き物をつくるための設備がありません。
一時は焼き物をつくることを諦めたと言います。職業紹介所にいき、職探しもしましたが、焼き物一筋だった山田さんにはいい条件の仕事を探すのは難しい状況でした。
その後、職人として焼き物をつくることからは離れていたものの、「焼き物を作らないか」と誘われ、家族にも相談し、白河の地で焼き物をつくり始めます。
つくる焼き物は、もちろんかつて浪江町で作っていた「相馬焼」。定住できる工房が見つからず、8年間プレハブの工房での製作が続いていたそうです。
また、白河は焼き物の町として有名なわけではありません。なので、焼き物を使って生計を立てるのは試行錯誤の連続だったと思います。それでも続けることができたのは、白河の人々の暖かさだそうです。
そして、ようやく定住できる工房が完成し、今回はそこからの中継とのことでした。
そんな相馬焼きについて、説明させてください!
(相馬焼の特徴を説明する山田さんと!模様が綺麗ですね〜!!)
相馬焼の特徴は大きく三つ!
1・青ひび
緑がかった焼き物の上に、細かなヒビが入っているのが分かります。この青ひびというのが相馬焼の特徴。
2・穴の存在
二重構造になっており、間に空間があるそうです。これにより保温効果が生み出され、熱いものは熱く、冷たいものは冷たいまま飲むことができるそうです。また熱くても、二重構造になっているので焼き物自体に熱が伝わりにくく、持ちやすい設計になっているとのことです!
3・馬の絵
山田さんのかつて住んでいた浪江町から北に行ったところにあるのが、相馬という町です。かつて、その相馬のさらに北には伊達政宗率いる伊達藩がありました、そのため相馬藩はいつでも大ピンチ。農耕馬を戦馬として育て、戦の際にはその馬を用いて戦ったとのことです。なので、相馬焼には相馬の町を守るシンボルとして馬の絵が描かれています。
ちなみに、相馬焼に描かれる馬の絵は、窯元によって違います。それぞれの窯元で馬の絵を引き継いでいくので、それぞれ違った馬の絵を楽しむことができます。
この三つが伝統的な相馬焼の特徴です!山田さんの作られる相馬焼も少し覗いてみましょう!
(先程見たのとは、ずいぶん違うような気がしますね。)
こちらが、山田さんが作られた焼き物たち。華やかすぎず、素朴な色合いで食材を美味しく引き立てることを目的に作った食器だそうです。
山田さんは、こうおっしゃっていました。
「伝統とは古臭いものではなく、伝統を今どう発展させていくのか」
相馬焼の特徴である青ひびを生かしながらも、それを次の世代に使ってもらうためにどうしたらいいのか。山田さんは新たな相馬焼の形を模索しています。
山田さんのチャレンジはそれだけではありません。
かつて、白河に存在した「白河焼」。かの松平定信が、命じて作らせたと言われる焼き物です。ところが、いつの間にかこの白河焼は失われ、誰も作り方を知らなくなったと言われています。そしていつしか、白河に住む人々でさえその存在を忘れてしまっていました。
山田さんは、資料をあたり、文献を読み、もう一度「白河焼」を復活させようとしています。白河に住む人々に、その地にあった伝統工芸品を再び思い出して地域に対して愛着を持ってもらいたいと語っていました。
インタビューで、地域のこと、ローカル・プレイヤーの活動のこと、を知った上で、自分たちの考える未来をワークショップで考えていきます。
今回の冒険先では、焼き物の話、相馬焼の特徴や、伝統について、さまざまなことをお聞きしましたが、U-18はどのようなアイデアを考えてくれるのでしょうか。
ある大学生メンターは、チームでのワークショップをこう振り返ってくれています。
大堀相馬焼の「素朴な色だから、食材を引き立てる」というポイントを踏まえて、U-18が焼き物はものや人を引き立てられる可能性を持つと言っていた点に驚きました。
なんと!!そんな洞察力のある発言をしたU-18がいたんですね。確かに、工芸品を持つことで、その人の生活を彩るだけではなく、その人自身にも彩を与えてくれそうですね。
今日は最後の冒険なので、もう一人くらい紹介してみましょう。
好き、ワクワクがみつかったというシェア(をしてくれたのが印象的だった)
非常にシンプルな振り返りですが。僕にとっては非常に重みがあります。この大学生メンターは、自分のファシリテーション能力をどうやったらもっとあげられるか、どうやったらU-18たちが「好き」「ワクワク」をみつけられるのだろうか、と模索していました。
その中で迎えた、最終回の冒険。そのワークショップの終わりにU-18たちからこの言葉を大学生メンターに言ってくれたのだと思います。
毎回の冒険を通じて、U-18もそうですが、それに伴走する大学生メンターも学びながら走り続けてきました。最終回までにこの大学生メンターが、この言葉を聞けることができて本当に良かったと思っています。
それでは、U-18が好きやワクワクがみつかったと言ってくれたアイデアは一体どういうものがあったのでしょうか!!
グラレコは、Akita Graphic Recorders!のみなさんによるものです!
わーー!いいですね!アイデア名もさることながら、アイデアの中身も面白い。陶芸をもっと身近にするには?陶芸の価値を高めるには?そんな切り口からワークをしたのでしょうか。魅力的なアイデアが多いように感じます。
今回は福島県白河を冒険しました。
そこには、東日本大震災に被災しながらも焼き物づくりを続けた一人の男がいました。
その人はなくなってしまった白河焼を復活させるという情熱を持っていました。その人は伝統を守るために変革することを恐れない人でした。
焼き物は、粘土の状態のまま、ろくろの上に乗せて成形をしていきます。
その人はまさに今も、伝統を守るために、新しい伝統をつくるために、情熱のろくろを回しているのだと思います。
なるる
>>>Season 2の全6地域の冒険を終えて>>>
全6回の冒険談を読んでいただき、ありがとうございます。
これからリフレクションという回があります。そこでは、U-18はどんな「やってみたいかも?」をみつけたのかを深掘りしFINDコースをまとめていく回になります。
そのあとは、いよいよ「やってみたい!」をかたちにするinnovationGO MAKEコースの開始です。
僕らの冒険は、続きます。
<この記事を書いた人>
なるる。武蔵野美術大学造形構造学部に在学中。innovationGOの運営をするi.clubでインターンをしており、大学生メンターとしてinnovationGOに関わる。普段は、社会とデザインをどう結びつけるか、を考えている。森や川、海、山など自然の創り出す空気が好き。実は・・・なるるが本名ではない。
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