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関係性の話(なるる/10)

innovationGOが、始まってから一ヶ月たった。

プログラムが何もないところから、出来上がって行く様子を改めて客観視してみると、すごいとしか言いようがない。

このプログラムに参加してくれているU-18の子たちは、サイトを見てくれたり、SNSの広報を見たりして、参加を決めてくれた。

なんて、説明すれば良いのだろうか。

もともと関わりのなかった全国のU-18が、innovationGOを通して、顔見知りになり、友達になり、ゆくゆくは仲間になっていく。

この感じ。関係性が構築されていく感じ。

i.clubでインターンを始めるとき、小川さんとZOOMで話をした。そのときに、僕が話したi.clubへの期待が「関係性の構築を見てみたい」という話だった。そのときの僕は、relational artというアートに興味があったのだ。

ニコラ•ブリオーというキュレーターが1990年代に出したアート概念で、「他者と関係を作っていく様子を表現する」や「既存の関係性(資本家と労働者、国家と国民など)の正しい在り方を探すための問いを提出すること」が、このアートの簡単な説明になると思う。

そして、今僕は「見知らぬ人同士が、関係性を構築し合う様」見ている。もちろん、そこにはクレア•ビショップが指摘するように、「敵対的な他者」や「異質な他者」の存在が(relational art的には)必要かもしれない。

けれど、innovationGOには必要ない。

冒険先の地域という共通の話題を持って、お互いがお互いの意見を引き出し、未来をつくるアイデアを出している。だから、そこに敵対的な他者は必要ない。

それは、まるでリクリット・ティラヴァーニャの『Untitled(Free / Still)』のような世界観を作り出している。Untitled (Free / Still)は1990年代前半に、美術館内でタイカレーを振る舞うというパフォーマンスで新しい芸術のあり方を示した作品である。これは、観客が作品の一部になり、カレーを食べながら談笑するという行為が、作品を現在進行形で創り出すという挑戦的な作品である。

innovationGOという場で行われているのは、初めて出会う仲間と、地域の未来について考える、問いを見つけるということ。その行為は、非常にアート的だと思う。

あのとき面談で話した「関係性の構築を見てみたい」ということ。

それは、確実に実現されている。


なるる

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