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学童事業をやると決めた背景と地域課題

こんにちは。静岡県島田市で学童保育施設づくりに奔走している田中です。
今回は、この事業をやることになった背景と、そこに横たわる地域課題、社会課題について記したいと思います。まじめ会です!


学童の必要性の高まり

島田市では学童保育施設(放課後児童クラブ)が不足しており、市からの通知である「令和5年度の公設児童クラブ申し込み状況のお知らせ」のなかでは新2年生からの待機児童発生について言及があり、社会問題として全国的に大きく取り上げられた。(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/388712?display=1共働き世帯の増加核家族化で、放課後の保育を必要としている家庭は増加している。

特に、小学校低学年の子どもを預かってもらえないとなると、『夫婦共働き』かつ『近くに親族がいない』場合は問題が深刻で、保護者(主には母親)が仕事の勤務形態を変更したり、仕事を変えたりしてなんとか凌いでいる状況である。

サイレント社会課題

また、施設が不足しているので、学童に通う子ども達の人数は常にひっ迫しており、集団としてルールに従って生活することが求められ現状では個別のケアが難しくなっている。狭い部屋でたくさんの子ども達が窮屈に過ごし、公園へ行けば近隣住民に「うるさい」と苦情を出され、元気な子ども達が自由に遊べる場所は限られる。時間がくれば駄菓子を与えられ、DVDを見させられ、本を読まされ…子ども達は「保育」ではなく「管理」されていると感じる。その一方で、運営者や支援者にも十分な報酬があるとは言えず、そうせざるをえない状況に陥ってしまっている。

さながら、こういった現状を知ることになった私は、アヒルが狭い場所で強制給仕されフォアグラとして出荷される映像が脳裏に浮かんで離れなかった。

たくましい子、大人にとっての都合の良い行動をとることに長けた子はそれでもその環境に馴染もうとしているかもしれない。でも、そうではない子供たちの声は、かき消され表に出ることはない。「学童に行きたくないから、学校に行きたくない。」という深刻なケースもある。

例え学童に入れたとしても、そもそもの環境が”子どもの最善の利益”を前提にしたものとは乖離している場合、そっと親は仕事を辞めて、子どもは学童を退所することになる。仕事は失うが、一方で子どもを守ることはできたから、それを問題だと大きな声をあげる人もいない。
本当にこれでいいのだろうか。

子ども達に「将来の夢はなに?」としつこく聞きながら、目の前の課題に見て見ぬふりをして時代に流される大人達。
「しょうがない」
「今だけ我慢すれば」
「自分が担当の時期さえ過ぎてしまえば」
そんな自分でありたくはなかった。
この問題は氷山の一角に過ぎない。

それを知らなかった世界に私はもう戻れなかった。知ってしまったから。
村上春樹作品にあるように、私は1984年ではなく1Q84年に迷い込んでしまったのか。いや違う、これは令和5年、2023年の現実の話なんだ!!!

卵が先か鶏が先か

幼稚園に子供を預けている家庭の母親は、「子どもが小学校に上がったら、もっと仕事をしよう」という考 えがあったとしても、祖父母の家が近かったり、雇用形態がパート・アルバイトだったりした場合は学童の選考 に漏れてしまうケースがある。
「学童に入れるから働けるのか、働けるから学童に応募できるのか」という “卵が先か鶏が先か”、のような問題が潜在課題としてある。待機児童問題が解消され「必要な時に子供を預けられる」という環境が整うことで、母親が希望する雇用形態での就労や自己実現も可能になる と考えられる。

非認知能力と習い事

小学校低学年時は非認知能力(主体性・柔軟性・想像力・自制心・やり抜く力・社会性等)を伸ばすのに適した時期でもあり、それらは暮らしや遊びの中で伸ばすことができる能力のため、放課後時間が有効活用できたら一石二鳥である。

さらに、設立予定エリアには近場に習い事(KUMON、学研、プール、英語教室、書道教室など)があるが、平日に学童からこれらに通うことはできない。そのため、習い事をさせたい保護者にとって、土日は習い事の行脚になってしまう家庭もある。そのため、子どもと一緒に過ごす時間は平日のみならず、土日も少ない。放課後時間を利用して習い事が実施できれば、共働きの世帯でも「子どもと一緒に過ごす時間」を捻出することができると考えた。また、近場の習い事施設の運用者にとっては、これまでターゲットにできなかった層を取り込むことができ、売上アップが期待できる。

原体験

私は幼い頃祖父母と同居していたので、両親が仕事で忙しい時は祖父母が面倒を見てくれていた。そして、社会人になり静岡で子育てを経験したが、私の父母も、夫の父母も所在が遠く、頼れる人がそばにいないという環境の中での子育ての大変さを痛感しており、働く保護者のライフラインとして学童保育は非常に重要と考える。

しかし、島田のほとんどの学区では、学校内にある公設学童の1択しか学童の選択肢がなく、学童における機能としては「預かり」のみで、放課後時間をもっと有効に活用してほしいと感じていた。預ける時間が長い児童の親ほど、その思いは強いと思う。

都会では、様々なサービスがプラスされた高付加価値型の学童保育施設が多くあり、環境の格差を感じていた。地域資源を活用した、高付加価値型の学童がこのエリアに誕生することで、子を持つ世帯の選択肢を増やしたいと考えている。


以上の事を、創業支援補助金の事業計画書にしたためました。
次回のnoteでは、上記の課題をどうやって解決すると考えているのかのビジネスプランと、本気スイッチを押されるきっかけとなった二人のママ友とのエピソードを書きたいと思っています~


今困っていること(2023年8月時点)
・民営なので、どうしても利用料が高くなってしまい、利用できる人が限られてしまう。それにより、経営に不安がある。
・認知の広げ方
・物件は契約しているが、もっと子ども達がのびのびと過ごせる環境と充分な駐車スペースが欲しい
・ジャンボタクシーかマイクロバスが欲しい
・一緒に働いてくれるベテランの支援員さんと出会いたい
・学童保育のない時間帯(平日午前、休日)の施設活用の仕方に悩んでいる。今のところ、場所貸しか、幼稚園ママ&産休育休ママのリスキリングの場にするか。。。と思っている。


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