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紀勢線が好き!

私はちょくちょく旅行で熊野へ行きます。交通手段はいろいろあり、熊野のどこへ行くかによっても変えるのですが、一番多く利用しているのが鉄道です。私は東京在住のため、紀伊半島までは長時間の列車旅にはなるのですが、これがまた楽しいのです。

東海道新幹線~紀勢線 この国の形を概観する列車旅

東京駅から新幹線で名古屋へ。熊野への旅の最初の部分では、車内の乗客にはビジネスモードの方も多く、旅行者としてはちょっと恐縮ですが、窓の外の光景が都市から郊外へと変わってくると、そのうちに富士山が見えてきて旅気分を少しずつ引き出してくれます。右列の窓側の席にうまく座れたりすると尚のことうれしい! 新幹線の小さな座席に合わせていた焦点が、広い裾野を持つ山に近づくにつれてゆるんで、日頃の気の張り具合も徐々にほどかれてくる気がします。

名古屋からは、私の大好きな紀勢線。降車駅は、その時に行きたい場所に合わせて尾鷲、熊野市、新宮、紀伊勝浦、古座、白浜、紀伊田辺等々。田園あり、山あり、海ありと、車窓は次々とこの国の美しい風景を見せてくれます。窓が大きく、座席がゆったりしていて、景色の中を列車が走る感覚に身を任せていると本当に気持ちがいいです。

紀勢線は線路が海のすごく近くを通っています。その車窓はこんな感じ。

また、紀伊半島の山々から流れてきた川が海と出会う場所も、この列車は何度も越えていきます。

海から少し離れたところを走ると、家々や田畑が間近に見えます。

時には、こんな景色も。

(ホントは山深いところや、緑の中でキラキラ光る小川も、紀勢線から見えるのですが、私の写真技術の未熟さでは綺麗に撮れず、今回は掲載断念... )

こういう景色を見ながらつらつらモノゴトを考えていると、私たちのご先祖様各位は、時代ごとに、山野を文字通り切り拓いて、今の私たちの暮らしを創ってきてくれたんだなぁという思いがすぅっと五感で入ってきます。

都市部で生活していると、私はつい忘れてしまうのですが、紀勢線に乗っていると、「この国は、大半が緑色なんだ」ということを思い出します。そのくらい視界に占める緑の印象割合が強い。この導入編を通って熊野に入ることは、現代の熊野古道旅行者としては、素敵な入り口だなぁと思うのです。

Well-designed な聖地 熊野

「熊野」は、特定の場所のことを指すのではなく、先人たちによってデザインされたイニシエーションの旅路テーマパークなんだろうと思います。どの道を通って来ても、行程そのものに気づきがあるようになっている。私にとっては、東京や名古屋や大阪から熊野へ入ってくる列車から、「熊野」はすでに始まっているように感じるのです。

ちなみに、私がよくお世話になっているのが、JR東海さんの南紀・熊野古道フリー切符。特急『ワイドビュー南紀』の指定席往復分(これだけでも南紀の指定席普通料金より数千円お得のはず)に加え、JRとバスのフリー区間がセットになっています。JR線の熊野エリア区間乗り放題だけでなく、バスのフリー区間が付いているのがなんともありがたいのです。私が熊野に通い始めた頃は、やはり熊野三山(本宮・新宮・那智)を効率よく回りたかったため、このバスのフリーチケットをフル活用していました。JR東海の駅でしか買えないので、東京からお越しの方は、一旦、名古屋で新幹線改札を出て、窓口に向かう時間を作ることをオススメします。

友人たちに熊野旅を勧めると、「前から気にはなってたけど...」とか「遠い。時間がかかりすぎる!」とか、いろいろ言われます(笑)。でも、行ってから帰るまでの道行きさえも楽しいのが熊野なのです。

2018年5月27日


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