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新型コロナがインスパイアした愛すべき作品たち

新型コロナウイルス(以後、コロナちゃんと呼称)は、情報の嵐としても、巷を席巻していますね。
その脅威とか不安とか正確な情報の拡散などは、他の人にお任せするとして、私は私の領域で発信したいことがあります。
それは、コロナちゃんが我々人類をつついてもたらしてくれた創造性です。
コロナちゃんの影響力は、いかんせん、人の手の及ばない程に大きくなりつつあると思っています。(その中でも、人として最善を尽くすのですが。)
しかし、コロナちゃんには甚大な破壊力と同時に、強くてユニークな創造力も感じられるのです。

古来、日本人は、人の手に負えないものについては、政(まつりごと)ではなく祭(まつりごと)、つまり祭祀として扱ってきました。
両方とも音は同じだけど、現代人は分けて考えた方がわかりやすいかな。
日本の祭祀は大変シンプル。原則は以下の2つです。

・豊かな恵みの部分(にぎみたま)は、感謝したり褒めたりする。
・恐ろしい脅威の部分(あらみたま)は、鎮めたりなだめたりする。

この2つの原則から、今の状況を見てみるとどうでしょうか?
コロナちゃんについては、あらみたまパートばかりが取り上げられやすい。
そこで、私としては、にぎみたまというか、もたらされた恵みにも着目したいと思うのです。

これからも、まだまだたくさんの新しいものが創造されてくるでしょう。
全てを挙げることは叶いませんが、まず私が心動かされた数々の創作作品をマイリスト的にまとめてみます。
多くは「作品」として世に出たものではないです。
でも、私にとって「これはすごい!素敵な作品だ!」と思えたものを列挙しています。
「感動編①~③」と「おもしろ編④~⑥」の全6作品、それではどうぞ~!

【感動編①】新型コロナウイルスが蔓延している武漢の様子を記録した映像作品(1/25)

ほんの2か月前ですが、あの頃はまだ対岸の火事でしたね……(しみじみ)
私は、昔、行ったことがあっただけに、人が全く歩いてない通りに驚愕しつつ、でも廃墟のような美しさに魅入られました。
なんといっても感動的だったのは、この作品が人の心が通うさまを核として風景を映しているように見えたことでした。
春節直前の中国でこの時期は年末、この年に一度だけのチャンスに故郷へ帰る人も多い中で、拡散させないために武漢に残った人たちのリアルな生活。
おりしも今は日本の年度末で、食料品を買い込んで引きこもる流れなど、この動画に映っている2か月前の武漢の人たちと同じ動きをしています。
そんなことを考えてると時空を超えたようで、なんとも不思議な気分です。
そして、公開直後くらいに見た時も感動したけれど、今の東京を経験してから見ることで、やっぱり味わいが深くなった気もします。

武漢は4/8に「開城」だそうです。
中国語で都市は「城市 cheng shi」、開城は都市封鎖解除という意味だけど、私たちは日本語の開城の意味も重ねて受け取ってしまうから、何重にも意味深い気がします。
私たちも、このやさしさと勇気と共にいられますように。

【感動編②】武漢からチャーター機で帰国した人への勝浦市民のエール(2/8)

ニュースで砂浜のメッセージや竹あかりを見て、まず「勝浦市民、ぐっじょぶ!」と思いました。
でも、その後、それ以上に心震えた場面があったのです。
それは、チャーター機で帰国した人全てが経過観察を終えて帰宅した後、政府の方(内閣官房・山口英樹内閣審議官でしょうか)が会見で地元の人々への感謝を口にしたシーンでした。
その話に触れた時、その方は、少し目を潤ませ、声を震わせたように見えました。
(帰国者ももちろんだろうけど、何より、この人自身が心打たれたんだ)
そう伝わってくるような声でした。

今、コロナちゃんの対応に当たる公務員さんたちは、何が正解かもわからない中で膨大な批判に晒されることも多いでしょう。
そういう状況下で、砂浜の「まけるな」「あと少しがんばろう」の文字とか、浜に灯された竹あかりが、どれほど心強く響いたのか、聴こえてくる気がしたのでした。

【感動編③】テノール歌手が自宅バルコニーで熱唱(3/15)

こちらは、友人のFacebookで流れてきた動画でした。
あちこち封鎖状態のイタリアの風景、バルコニーから街に向かって発している、その声の力強いこと!!
今、歌詞を調べていたら、ラストのフレーズの言葉もすごいですね。

 消え去れ、夜よ!
 沈め、星よ!
 夜明けに私は勝つ!
 私は勝つ!

どんなに閉じ込められていても抗えない「歌いたい!」「歌を聴きたい!」という欲求
それがイタリア人の命の根源に流れているのかもしれないですね。
今の状況を重ねてこの歌の言葉を聴くと、これはもう祝詞とか魔法みたい。
スタイリッシュで感動的な、私好みの魔法です。

【おもしろ編④】令和のネット民と奈良時代のリバイバル(3/3頃)

我が国のクリエイティビティは、一部の人だけにあるのではなく、大衆の連鎖反応に確かに存在している。そう実感したのが、この件です。
「都に疫病が流行り、人々が"蘇"を作り……なんか奈良時代みたい」
「たぶんこの次は大仏建立」
「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA、10/1にオープン、今度は動く」
「ガンダムは政教分離時代の大仏だったのか!」
「あと残る奈良イベントは遷都だけ?」
「テレワークのおかげで遷都捗るかも」
いやはや、イタリア人の命が歌なら、日本人の命はパロディと連歌ですねw
発想力と展開が素晴らしい!!
こういう一連の流れがたまらなく好きです。

【おもしろ編⑤】アマビエ祭り(3/10頃から?)

アマビエというのは「妖怪というか神さまというか」的な方だそうです。
江戸時代後期の熊本県あたりに現れ「疫病が流行した際には私の姿を描いた絵を人々に見せよ」と告げたとのこと。
素直で信仰心が篤く(笑)、流行に敏感で、遊び心もあるみなさんが、いろんなタイプのアマビエさまを描いては発信しています。

ちなみに、私のお気に入りはこちらの方!

元々の江戸時代の絵がちょっと落書きっぽいのは、「私の絵を描いて!」と願いを込めてハードルを下げてくれてるのかも。
私の趣味はアニミズム(自然のものを神さまとして扱うこと)ですが、こういう流れを見つける時がホントに楽しい!!
この国は、何万年も、こんなことをやって遊ぶ人たちで成り立ってるんじゃないでしょうか。

【おもしろ編⑥】花いっぱいプロジェクト by農水省(3/12)

ホント、衝撃でした。一見して、というよりは、じわじわくる感じで。
この手作り感。
淡々とした声色。
ナゾに増えていく花、花、花!!!

「花には、心を癒す、季節感を醸す、部屋が華やぐ、心が豊かになる、などの魅力があります」

そんなことを言いながら、動画中ではピクリとも笑わない無表情なお二人。
しかし、ゴージャスにお花の飾られた局長室の写真では、心なしか口角の上がって微笑みを見せています。
おお、「花いっぱいプロジェクト」のコンセプト通りなのか!?
まさかこんなシュールな動画を国家公務員がオフィシャルに公開できるなんて!!!(失礼!)
いやぁ、いい時代になったものです。

さて、私のお気に入り6作品、いかがでしたしょうか?
外出自粛はまだ続くかもしれませんが、これを機に自分でも何か創作してみるのもいいし、身近なところで素敵な作品を見出すのも楽しそうですね。
たくさん笑ってたくさん泣いて、彩り豊かな日々をおすごしください。

2020年3月29日

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