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2022.02.11_くるりの25回転を見に行った話

「25年間、日本の経済成長は低迷しています!」
 仕事帰りにJR新宿駅の前を通った時にそう演説をしている人がいた。25年前、その言葉を何度も耳にした2021年。バファローズの前々回優勝(前回優勝は2021年)した年でもある。

 25年前、僕はまだかろうじて可愛げが残っていた2歳のクソガキだったことは間違いない。バファローズが優勝して、日本の経済の低迷が始まって、そして、京都ではくるりが結成された。

 くるりについてはそれほど多くを語ることはできない。なぜなら僕がくるりを知ったのはほんの2年前くらいだったからだ。サカナクションのネイティブダンサーとくるりのばらの花いい感じにミックスした曲をラジオで聴いたのがきっかけだったと思う。


 それからばらの花を聞いて、その歌詞が好きになった。
 もどかしさというか、忘れてしまった初々しさみたいなものを不意に思いださせた。以下は僕が今まで生きてきた中で1番素晴らしいと思った歌詞の引用だ。

僕らお互い弱虫すぎて
踏み込めないまま朝を迎える 
ばらの花・くるり

 年が明けて2022年、なんとなく調べていたら、くるり結成25周年のライブがあることを知ってダメ元で抽選に申し込んだら当選したので、無事にくるりの25回転に参加できたというわけだ。

 はじめてのくるり、それが25周年のライブになるとあれば初期から最新までを振り返るわけであるから初心者の僕にはハードルが高いのではないかと思った。
 東京公演の前に大阪公演があったので、ひとまず大阪公演のセットリストを聴き込んで、最大限の予習をしてからライブに臨んだ。

 定刻になり、いざライブが始まると僕はくるりの世界観にどっぷりと浸かった。初期のアルバムから順々に演奏にしていった。丁寧に、丁寧に1曲ずつを区切って。

 そして、念願のばらの花のイントロが聞こえてきたときには、もう全てが叶ってしまったと思った。一度はライブで聴いてみたいと思っていた曲を聴くことができて僕はもう満たされていた。

 恥ずかしながらくるりのおふたりが演奏しているのをはじめてみた。特に岸田繁さんのギターは本当に楽しそうに聞こえた。バックバンドの方達の音もひとつひとつがしっかり聞こえてきて、それは東京ガーデンシアター設備のおかげがそれともスピーカーの性能の賜物かはわからないがとにかくよかった。

 25周年がギュッと詰まった3時間のライブが終わって、退場する時に改めて気がついた。くるりを観にくるお客様の皆さんは僕よりも2回りくらい先輩の方が多い気がした。 
 それもそうだ。25年前、ちょうど僕がくるりを知った歳くらいに先輩方は僕ぐらいの歳だった。25年間、しっかりと心を掴んできたお陰で、僕もくるりの魅力を同じ空間で味わうことができたのだ。

 1番印象に残っているのは本編最後の曲、「ながながとやります」と岸田さんが言ってから始めたソングラインだ。

所詮君はひとりぼっちじゃないでしょう
生きて死ねば それで終わりじゃないでしょう
ソングライン・くるり

 岸田さんが演奏の最後に弾き語りでゆっくりと歌った。僕はくるりが伝えたかったことをわかったように気になった。たぶん、会場にいた人たちもそう思ったのではないだろうか。

 とても満足感の高いライブでした。
 よかったライブの感想はしばらく「よかった」しか出てこないものである。ほんとうに。
 また30回転目も50回転目も100回転目もお待ちしています。

おまけ
 自分用のお土産に『琥珀色の街、上海蟹の朝』の7インチシングルを会場で見つけたので買って帰りました。こちらは33回転でした。裏面のHello Radioもめちゃくちゃ好き。

琥珀色の街、上海蟹の朝 
7インチシングル

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