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Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022

『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022』を見た。

「ライヴでコンサートをやりきる体力がない。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」

実質、ラストコンサート宣言とも受け取れるような発表が、坂本龍一、本人から予告されて当日を迎えた。今回の映像は事前に数曲に区切って収録され、あとから一本のライブに見えるように繋ぎ合わされた形式だった。

全体的に暗めでモノクロの映像、黒い服装。闘病で痩せたその体型を少しでも感じさせないような演出だった。今年の春に坂本龍一が主催するオーケストラのコンサートで登壇した姿を見た時にも「痩せたなぁ」と思った。その時よりも更に細くなっていたかもしれない。その時に少しだけピアノを弾いている姿を見ることができたの幸運だった。

全ての音を拾うため、完璧に配置されたマイクはまるで針が落ちる音も逃さないようだった。ピアノの音、ペダルを踏む音、坂本龍一の呼吸の音も全て聞こえた。

緊張感的に満ちた演奏は見ているこちらを引き込んだ。

オンラインライブだから、と気軽に構えてテーブルの上に置いていた水を演奏中に飲むことさえできなかった。
ちょっと寒いけどもエアコンも切って、ヘッドホンもして聞いていた。

僕が1番聞きたいと思っていたのは『Aqua』だった。その曲が素晴らしいのはもちろんのこと、弾き終えて顔を上げるときにズレた眼鏡を直す仕草がとても印象的だった。

『The Last Emperor』はこの配信でもかなり力が入ってるように感じた。とても繊細で、それでいて力強い演奏だった。

1時間と少しの間に13曲が演奏された。

どの曲も弾いてる姿を見ることができるのは最後かもしれないと思うと込み上げてくるものがあった。

12時、18時、0時、翌朝の6時に配信される。
1曲、1曲を大切に聞きたいからいつでも見れてしまうアーカイブ配信はなくて良かったかもしれない。とても理想的な形だ。

出来たら本当のコンサートに行ってみたかった。しかし、オンラインライブとはいえこのような場を設けてくれた教授とスタッフには感謝しかない。

記事で見たが、今回のライブにはドキュメンタリー映画用の撮影もされているようだ。その公開も楽しみにしたい。

 

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